高市氏は否定した。では、誰が“公認っぽさ”を作ったのか~サナエトークン騒動に見る危機広報の失敗~
〜9月3日 19:00
サナエトークン騒動で、多くの人が知りたいのは、おそらく一つです。
結局、誰がまずかったのか。
高市氏側は、承認していない、関与していないという立場を示しました。
一方で、運営側・関係者側には、政治家の名前を冠したプロジェクトを展開したことへの説明責任があります。
では、これは高市氏側の問題なのか。
溝口氏側・運営側の問題なのか。
それとも、両者の間に生まれた“公認っぽさ”の問題なのか。
私は、この騒動の本質は、暗号資産そのものだけではなく、危機広報にあると思います。
なぜなら、この問題で社会が反応したのは、単に「怪しいトークンが出たから」ではないからです。
政治家の名前が使われた。
本人が承認しているように見えた。
しかし本人側は否定した。
運営側も説明を迫られた。
SNSでは疑念が広がった。
つまり、問題の中心にあるのは、トークンの仕組みだけではありません。
誰が、どこまで、何を知っていたのか。
誰が、承認されたように見える状態を作ったのか。
騒動後、誰が、何を説明しなかったのか。
この三つです。

私たちは、出来事そのものをそのまま見ているようでいて、実際には、そうではありません。
周囲には、発言、投稿、行動、注意書き、否定声明、支援者の反応、SNS拡散など、無数の事象があります。
しかし、それらはそのままでは、まだ単なる“事象の集まり”にすぎません。
それが“情報”になるのは、
何を明らかにしたいのかという“問い”が置かれたときです。
問いは、いわば懐中電灯のようなものです。
周囲に散らばる無数の事象の中から、問いに関係するものだけを照らし出し、選び取る。
すると、バラバラだった事象が、はじめて“つながりを持った情報”に変わります。
そして、その情報を並べ、順序づけ、関係づけることで、私たちはそこから“意味”を読み取ることができるようになります。
つまり、出来事が最初から意味を持っているのではありません。
どの問いで照らすかによって、選ばれる事象が変わり、情報が変わり、見えてくる意味も変わるのです。
サナエトークン騒動も同じです。
もしこの出来事に対して、
「法的に問題があったのか」
という問いを立てれば、規制や適法性の問題として見えてきます。
「誰が悪いのか」
という問いを立てれば、責任追及や犯人探しの話になります。
しかし、私が今回立てたい問いは、そこではありません。
私が照らしたいのは、
なぜ“公認っぽさ”が生まれたのか。
この問いです。
この問いで見たとき、初めて、高市氏側、溝口氏側・運営側、そして読者・支持者・利用者の間に生まれた認識のズレが、危機広報の問題として浮かび上がってきます。

危機広報で最も危険なのは、事実そのものよりも、事実と印象の間に生まれる空白です。
関係者は承認していないと言う。
しかし、見ている側には公認のように見える。
運営側は趣旨あるプロジェクトだと言う。
しかし、外部からは政治家の名前を使った投機的な動きに見える。
この空白が埋まらないと、騒動は終わりません。
むしろ、疑惑の物語として拡散していきます。
危機広報とは、ただ否定することではありません。
なぜ、そう見えたのか。
誰が、そう見える材料を作ったのか。
誰が、その誤認を解く責任を負っていたのか。
そこまで説明して初めて、危機広報になります。
今回の騒動を危機広報のフレームで見るなら、まず次の五つの問いを立てる必要があります。

ここで重要なのは、騒動をどう評価するかより前に、どの問いで騒動を見るのかを定めることです。
問いが定まらなければ、見える事象も定まらず、情報も整理されず、意味も曖昧なままです。
逆に言えば、問いが定まれば、無数の事象の中から、何を拾い、何を関係づけ、何を本質として読むべきかが見えてきます。
ここから先では、実際にこの五つの問いを使って、サナエトークン騒動を危機広報のフレームで分解していきます。
最初に見るのは、高市氏側の初動です。
「承認していない」という否定は、危機広報として正しかったのか。
正しかったとして、何が足りなかったのか。
そして、なぜその説明だけでは疑念が残ったのか。
次に、溝口氏側・運営側の説明を見ます。
政治家の名前を使う側として、どこまで説明責任を負うべきだったのか。
注意書きや謝罪は、危機広報として十分だったのか。
なぜ“公認っぽさ”が生まれてしまったのか。
最後に、この騒動を一枚の危機広報マップに整理します。
すると、今回の問題は、単なる暗号資産の炎上ではなく、
「信用の借用」と「関係性の曖昧さ」が引き起こした危機
だったことが見えてきます。
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8月4日 19:00 〜 9月3日 19:00
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