左手
左手に空洞があるのを見つけてしまう。
解剖学的嗅ぎタバコ入れのあたりに2、3の穴がある。
中を覗こうとして、首筋の寒さに気づく。
そしてショーケースには綺麗な左手が飾られている。
以前使っていて、今の物に取り替えてからもこうして保存している。
まだ腐っていないことを確認しようと目を凝らす。
5本の指が波打つように動く。
気のせいかと思い、メガネを外すと元に戻っている。
手首に縫い跡がなく、不思議に思う。
そういえば、空洞はずっと前からあったような気もする。
では、目の前に飾られた左手は何?
本来の姿をよく覚えていないから困る。
自分はすっかり右利きだと思って、左手に対する姿勢が甘くなっていたようだ。
反省の意を込めて右手首に切り込みを入れる。
ひとつ深くなる
