日中BizNavi|2026年8月14日|「遠い水系」が育てた発明家たち
📆 今朝のトリビア
日本の特許第1号は、ハイテクではなく「漆」だった
8月14日は「専売特許の日」です。
1885年4月、日本で近代的な特許制度の出発点となる「専売特許条例」が公布され、その約4か月後の1885年8月14日、日本で初めて特許が付与されました。
記念すべき特許第1号を取得したのは、彫刻家・漆工芸家の堀田瑞松(ほった・ずいしょう)。発明の名称は「堀田式錆止め塗料およびその塗法」で、鉄船の船底に生漆を主成分とした塗料を施し、錆を防ぐ技術でした。漆、柿渋、生姜など、日本で古くから使われてきた素材が近代的な防錆技術へ転用されたのです。
つまり、日本の知財史の第一歩は、当時の最先端機械ではなく、伝統素材を別の課題へ応用する発想から始まりました。
新しい価値は、必ずしも新しい素材から生まれるとは限りません。すでに存在する技術や知恵を「別の用途」に組み替え、それを権利として守る――140年前の特許第1号は、現代の知財経営にもつながる発想を示しています。
情報源:JAICI「8月14日は専売特許の日!」
https://www.jaici.or.jp/cas-scifinder-discovery-platform/column/column_030/
水泳の日
日本水泳連盟が制定し、2020年に8月14日の記念日として正式登録された。かつての「国民皆泳の日」を引き継ぎ、「命を守ることができるスポーツ」として水泳を普及し、水難事故を減らすことも目的としている。水上运动协会
パキスタン独立記念日
1947年8月14日、英領インドからパキスタンが独立したことを記念する国民的祝日である。南アジアの政治史だけでなく、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)などを通じた現在の中国との経済関係へ話を展開することもできる。独立日の事実についてはパキスタン政府・在日大使館も8月14日としている。外交部
📰 今日のニュース
🦺 中国、安全・緊急対応装備産業を2030年に1兆4000億元規模へ
中国工業情報化部と応急管理部は、「安全応急装備産業発展『十五五』規画」を共同で発表した。2030年までに重点分野の産業規模を1兆4000億元とし、重要な中核技術の突破と、国際的に先進的な製品の育成を進める方針を示した。あわせて、競争力の高い産業クラスターを10か所、特色ある産業園区を70か所整備する計画で、①産業革新、②装備普及、③企業育成、④産業エコシステム整備——の4分野にわたり、計15の具体的な任務を掲げた。
出典:新華社(2026年8月13日) https://www.xinhuanet.com/20260813/3e337c9a8fbe48e8a27bf85f78ba1cbe/c.html
🌐 中国、インド産シングルモード光ファイバーへの反ダンピング措置を5年延長
中国商務部は、インド原産の輸入シングルモード光ファイバーに対する反ダンピング措置について、期間満了に伴う見直し(期終審査)の結果を公表した。措置を終了すればダンピングおよび中国国内産業への損害が継続・再発するおそれがあると判断し、8月14日から5年間、反ダンピング税を継続する。税率は従来と同じ7.4〜30.6%で、企業ごとに異なる。中国は同製品への措置を2014年に開始し、2020年にも延長していた。
出典:中国商務部(2026年8月13日) https://trb.mofcom.gov.cn/myjjdc/art/2026/art_298c43b40beb4a54931fc77a4f02b9c6.html
出典:ロイター(2026年8月13日) https://www.reuters.com/world/china/china-keep-imposing-anti-dumping-duties-indian-single-mode-optical-fibre-imports-2026-08-13/
🧩 中芯国際(SMIC)、4〜6月期売上高30億ドル 前四半期比20%増
中国の半導体受託製造大手・中芯国際(SMIC)は、2026年第2四半期(4〜6月期)の売上高が30億ドルとなり、前四半期比20%増加したと発表した。粗利益率は25.3%で、前四半期から5.2ポイント上昇した。第3四半期の見通しについては、売上高を前四半期比2〜4%増、粗利益率を26〜28%と見込んでいる。同社は下半期についても、AI(人工知能)がもたらす産業への波及効果が続き、集積回路(IC)製造への幅広い需要を生むとの見方を示した。
出典:証券時報(2026年8月13日) https://www.stcn.com/article/detail/4073641.html
🤖 中国各地で「トークン経済」支援策が相次ぐ 北京・広東・江蘇が制度化
中国で、AIの「詞元(トークン、Token)」を産業政策の対象とする動きが広がっている。21世紀経済報道によると、広東省は6月、全国初となる省レベルの「トークン経済」専用政策を発表した。7月には江蘇省揚州市が「トークン券」政策を導入し、8月には北京経済技術開発区が北京市として初めて、トークン産業チェーン全体を対象とした支援策を打ち出した。同報道によれば、中国の1日あたり平均トークン呼び出し量は、2024年初めの1000億回から、2026年3月には140兆回を突破したという。
出典:21世紀経済報道(2026年8月13日) https://m.21jingji.com/article/20260813/herald/e5b93af7c3ad200d565e57435893e3a6.html
💬 テンセント、4〜6月期売上高11%増 AI広告・クラウド需要が寄与
テンセントが発表した2026年第2四半期(4〜6月期)決算は、売上高が前年同期比11%増の2048億元、粗利益が13%増の1184億元となった。マーケティングサービス売上高は22%増の436億元で、AIを活用した広告レコメンデーションモデルや自動広告運用機能などが増収に寄与した。フィンテック・ビジネスサービスは9%増の603億元となり、クラウドサービスでもAI関連需要の拡大が増収要因となった。WeixinとWeChatの合計月間アクティブユーザー数は14億3900万人だった。
出典:テンセント(2026年8月12日) https://www.tencent.com/wp-content/uploads/2026/08/Tencent-Announces-2026-Second-Quarter-Results.pdf
✈️ C919、初の国際商業路線に就航 北京〜ウランバートル
中国国産旅客機C919が8月12日、初の国際商業路線飛行を実施した。中国国際航空(エア・チャイナ)のCA723便として同日15時17分に北京を出発し、モンゴルの首都ウランバートルへ向かった。到着したウランバートル空港では、航空機を放水で迎える「ウォーターサルート」で歓迎を受けた。中国民航網は、この便をC919による初の国際商業路線飛行として報じている。
出典:中国民航網(2026年8月12日) https://www.caacnews.com.cn/1/6/202608/t20260812_1396700.html
🧠 DeepSeek、V4系APIを値上げ 8月17日から時間帯別料金も導入
中国AI企業DeepSeekは、「V4-Pro」「V4-Flash」のAPI料金を引き上げ、ピーク時間帯とオフピーク時間帯で異なる料金体系を導入する。ロイターによると、新料金はモデルやTokenの種類、利用時間帯に応じて現行料金より50〜1100%高く設定され、8月17日から適用される。今回の改定により、生成AIモデルのAPI利用料金が時間帯によって変動する仕組みが導入されることになる。
出典:ロイター(2026年8月13日) https://www.reuters.com/world/china/deepseek-raises-api-pricing-its-v4-models-2026-08-13/
🔐 渡航・生活・帰国情報
🛂 8月14日夕方からパスポートのオンライン申請が一時停止
法務省の戸籍情報連携システムのメンテナンスに伴い、8月14日18時から16日24時まで(日本時間)、パスポートのオンライン申請システムが利用できなくなります。作業状況によって終了時間が変更される可能性があります。オンラインで旅券申請を予定している場合は時間帯の確認が必要です。
情報源:在青島日本国総領事館
https://www.qingdao.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_02435.html
📱 8月25日から海外在住者もマイナポータルで旅券申請へ
8月25日8時(日本時間)以降、国外転出者向けマイナンバーカードを持つ海外在住者は、マイナポータルからパスポートをオンライン申請できる予定です。従来のオンライン在留届(ORRネット)からの申請も引き続き利用できます。マイナポータル申請では戸籍情報がシステム連携で取得されるため、一定の場合を除き戸籍謄本や電子戸籍パスを別途用意する必要がありません。
情報源:外務省・在シアトル日本国総領事館
https://www.seattle.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00772.html
💬 ビジネス成語
推陈出新/推陳出新
ピンイン: tuī chén chū xīn
日本語訳: 古いものを取り除き、新しいものを生み出す。既存のものを土台に革新する。
「ゼロから新しいものを作る」というより、既存の技術や経験を更新し、新しい価値へ変えるニュアンスがあります。
ビジネスでの使い方:
伝統技術、既存商品、成熟産業などを新用途へ展開するときに使いやすい成語です。日本初の特許が「漆」という既存素材を船底の防錆へ応用した技術だったことにもよく重なります。
例文:
企业要在传统工艺的基础上推陈出新,把材料优势转化为新的技术成果。
企業は伝統技術を土台に革新を進め、素材の強みを新たな技術成果へ転換する必要があります。
🌐 ネット用語 Now
活人感(huó rén gǎn)
直訳すれば「生きた人間らしさ」。2026年の中国SNS・消費文脈で目立つ表現の一つです。
36Krは、AI生成コンテンツが急増する環境で、若者が商品や発信者に「本物の人がそこにいると感じられる自然さ、温度、不完全さ」を求める現象を「活人感」と結び付けて紹介しています。
ブランド発信では、整いすぎた広告表現より、担当者の言葉、制作過程、ちょっとした失敗や舞台裏などが「活人感」を生みやすいと考えられます。ただし正式なマーケティング指標ではなく、「自然さ」を過剰に演出すると逆に作為的に見える点には注意が必要です。
情報源:36Kr(2026年3月19日)
https://m.36kr.com/p/3730554211762438
📜 経営金言 Navi
「新しいことをやれば、必ず、しくじる。」――本田宗一郎
失敗を避けて新しいことをしないのではなく、失敗から原理をつかみ、再び試す――発明や商品開発の現場にも通じる言葉です。
📊 何でもランキング
2026年「Fortune Global 500」売上高トップ5
2025年の売上高を基準とする2026年版「Fortune Global 500」では、アマゾンが首位となり、ウォルマートの12年連続首位を止めました。中国企業では国家電網(State Grid)が世界3位に入っています。500社の売上高合計は43兆1000億ドルでした。
1位:Amazon
2位:Walmart
3位:国家電網(State Grid)
4位:UnitedHealth Group
5位:Saudi Aramco
なお、中国石油天然気集団(CNPC)は世界10位、テンセントは97位から78位ではなく、前年から19ランク上昇して97位、アリババは7ランク上昇して56位となっています。
情報源:Fortune
https://fortune.com/ranking/global500/
🛍️ 注目の新商品・サービス
HONOR「Robot Phone」――スマホに可動式カメラの「身体」
中国スマートフォンメーカーのHONOR(栄耀)は8月12日、広州で「HONOR Robot Phone」を正式発表しました。
最大の特徴は、スマートフォン本体に4自由度のチタン合金可動ジンバルを組み込み、2億画素のメインカメラを機械的に動かせる構造です。AIによる自動構図や追尾撮影にも対応し、ARRIと共同開発した映像機能も搭載しています。12GB+512GBモデルは9999元、16GB+1TBモデルは1万2999元。8月12日に予約販売を開始し、正式発売は8月18日の予定です。
スマートフォン、AIエージェント、機械的な可動機構を一体化した製品で、映像制作だけでなく「具身AI」を消費者向け端末へどう落とし込むかを見る事例でもあります。
情報源:HONOR(2026年8月12日)
https://www.honor.com/cn/news/honor-robot-phone-launch/
📅 ビジネスイベント情報
第2回世界人形ロボット運動会|北京
開催日: 2026年8月22~26日
会場: 国家速滑館「氷絲帯(アイスリボン)」・北京
テーマ: 人型ロボットの競技・実環境タスク
今年は競技種目が前年の26から50種目へ増加します。短距離走などの競技だけでなく、家庭清掃、ホテルサービス、工業生産、緊急救援、図書管理、小売、オフィス業務、園林巡回、EV充電という9つの実環境を想定したタスクも設けられています。
人型ロボットの「走る・跳ぶ」能力だけでなく、認識、判断、手作業を組み合わせた実装力を比較できるのが特徴です。関連企業、ロボット開発者、AI・自動化分野の担当者にとって、技術の到達点と用途開発をまとめて確認しやすいイベントです。
情報源:北京市科学技術委員会・中関村科技園区管理委員会/北京市人民政府
https://kw.beijing.gov.cn/xwdt/kcyx/xwdtcyfz/202607/t20260730_4799789.html
https://www.beijing.gov.cn/fuwu/bmfw/sy/jrts/202608/t20260805_4809462.html
🈚 難読漢字ドリル
問題:「鍍金」は何と読む?
答え:めっき(「ときん」とも読む)
金属などの表面を別の金属の薄い膜で覆う加工を指します。装飾だけでなく、防錆、耐食性向上、導電性向上などを目的に幅広く使われます。
使用例:
「部品の耐食性を高めるため、表面にニッケル鍍金を施す」
中国語: 镀金(dù jīn)
「漆」で船底を錆から守った日本初の特許と、現代の表面処理技術をつなげて覚えたい言葉です。
🧬 メディカル・ウェルネス
猛暑期こそ「気温」だけでなくWBGTを確認
環境省は、熱中症警戒アラートが発表された地域では、屋内でエアコンなどを適切に使用し、涼しい環境で過ごすことに加え、こまめな休憩、水分・塩分補給を呼びかけています。
特に高齢者や子どもは熱中症になりやすいため、周囲からの声かけも重要です。また、環境省の熱中症予防情報サイトでは、地域ごとの暑さ指数(WBGT)や翌日の警戒情報を確認できます。
情報源:環境省「熱中症予防情報サイト」
https://www.wbgt.env.go.jp/alert.php
✍️ 編集者コラム
「遠い水系」が育てた発明家たち
静岡県西部の旧国名「遠江(とおとうみ)」は、元来「遠淡海(とほつあはうみ)」と呼ばれた。都に近い琵琶湖を擁する地が「近江」となったのに対し、都から遠く浜名湖を擁するこの地は「遠江」。古代の浜名湖は砂州によって遠州灘と隔てられ、淡水に近い湖として認識されていたという。文字どおり「遠い淡海」の国だった。
ところが、この「遠い」土地から、日本の産業史を動かす発明家が次々と現れる。森町出身の鈴木藤三郎は氷砂糖の製法や製糖機械などで159件もの特許を取得し、湖西市生まれの豊田佐吉とともに「発明王」「特許王」と並び称された。佐吉は専売特許条例制定の報に触れて発明を志し、1891年に木製人力織機で特許を得た。長男・喜一郎はその技術を自動車部門へと発展させ、トヨタ自動車の礎を築いた。「世界のトヨタ」の本拠地は愛知県豊田市にあるが、その技術の原点をたどれば遠江の地に行き着く。
浜松周辺から天竜川、太田川、馬込川といった遠州の水系にまで目を向けると、鈴木道雄(スズキ創業者)、本田宗一郎(ホンダ創業者)、河合小市(河合楽器創業者)、「テレビの父」高柳健次郎らの名も浮かぶ。織機、楽器、オートバイ、自動車、テレビ――分野は違えど、既存技術を粘り強く改良し実用品に磨き上げていく姿勢は共通していた。
「遠い海」と名づけられたこの土地は、こうしてやがて世界とつながった。発明とは天才の閃きだけではない。積み重ねた技術を誰かが少し磨き、次の産業へ渡していく――その連鎖こそが、遠州を発明家の土地に育てたのだろう。
余談だが、特許取得数で世界一のギネス世界記録を持つ山﨑舜平氏(2025年に2万件超と自己記録を更新)の出身校は静岡高校。同じ静岡県でも隣の「駿河」の生まれで水系も異なるが、遠江との接点はないものか、ふと気になるところである。
ちなみに、日本で初めて特許が認められたのは1885年8月14日。第1号は堀田瑞松が考案した、漆を主成分とする船底用の防錆塗料とその塗装法だった。8月14日は「専売特許の日」。(耕雲)

#日中ビジネス #中国ビジネス #在中邦人 #駐在員 #上海 #中国経済 #知的財産 #半導体 #人工知能 #ロボット
📘 バックナンバー:ニュースレター|日中BizNavi|耕雲|note
いいなと思ったら応援しよう!
記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。お読みいただいた内容が少しでもお役に立てば幸いです。引き続き質の高い記事をお届けしてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。