日中BizNavi|2026年7月24日|河童と上海、常識を映す二つの鏡
📆 今朝のトリビア
7月24日の主なトリビア
1.河童忌――芥川龍之介をしのぶ日
1927年7月24日、作家・芥川龍之介が35歳で亡くなりました。芥川は『羅生門』『鼻』『地獄変』など数多くの名作を残し、日本近代文学を代表する作家の一人です。
命日は、晩年の代表作『河童』や、芥川が河童の絵を好んで描いたことにちなみ、「河童忌」と呼ばれています。『河童』では、人間社会を河童の世界から眺めるというユニークな設定を通じて、社会の常識や価値観を問い直しました。
2026年は芥川の没後99年に当たり、数え方によっては百回忌の節目となります。時代が大きく変化する現在だからこそ、既存の常識を別の視点から見直す芥川の姿勢は、ビジネスや社会を見るうえでも参考になります。
2.劇画の日――漫画表現の可能性を広げた『ガロ』創刊
1964年7月24日、青林堂から漫画雑誌『ガロ』が創刊されました。この出来事にちなみ、7月24日は「劇画の日」とされています。
『ガロ』は、白土三平の『カムイ伝』をはじめ、つげ義春、水木しげるなど個性的な作家の作品を掲載し、従来の子ども向け漫画とは異なる、社会性や芸術性を持った表現の場となりました。
漫画が娯楽だけでなく、思想や文化を表現するメディアへ発展していく転機となった日ともいえます。
出典:青林堂、漫画文化関連資料
3.アポロ11号が地球へ帰還した日
1969年7月24日、人類初の月面着陸を成功させたアポロ11号が、太平洋上に無事帰還しました。
船長ニール・アームストロング、月着陸船操縦士バズ・オルドリン、司令船操縦士マイケル・コリンズの3人は、7月20日に月面着陸を達成した後、歴史的な飛行を終えて地球へ戻りました。
この成功は、科学技術の発展だけでなく、国際的な技術競争や産業発展にも大きな影響を与えました。現在の宇宙開発競争や先端技術開発にもつながる象徴的な出来事です。
4.テレワーク・デイ――働く場所を考えるきっかけの日
7月24日は「テレワーク・デイ」とされています。これは、東京2020オリンピックの開会予定日だった2020年7月24日に合わせ、首都圏の交通混雑緩和や柔軟な働き方の推進を目的として始まった取り組みです。
新型コロナ禍を経て、テレワークは一時的な対応策から、多様な働き方の選択肢へと広がりました。国境を越えた仕事やリモート協業が進む日中ビジネスにおいても、働く場所の意味を考える機会となっています。

📰 今日のニュース
🌱【エネルギー】中国、再生可能エネルギー「第15次5か年計画」を公表
中国国家発展改革委員会と国家エネルギー局は7月23日、「再生可能エネルギー発展第15次5か年計画」を公表した。計画は発電設備の拡大だけでなく、再生可能エネルギーの消費促進、市場制度の整備、電力システムの安定性向上を重点に据える。2030年までに風力・太陽光発電が電力網へ実際に安定供給できる割合を8%とし、夏冬の夕方の需要ピーク時に両電源が発電量の20%以上を担う目標も示した。公共機関や重点エネルギー消費産業での利用拡大、企業の情報開示への反映も盛り込んだ。
出典:国家発展改革委員会、財新網(2026年7月23日)
国家発展改革委員会の発表|財新網の記事
🤝【米中貿易】双方300億ドル規模の相互関税引き下げ、意見聴取を開始
中国商務省の孟華婷・外国投資管理司長は7月23日の国務院新聞弁公室記者会見で、米中双方の経済・貿易チームが「貿易理事会」の組織、機能、運営方式について協議を続けていると説明した。両国はそれぞれ300億ドル規模の品目を対象とする相互関税引き下げの枠組みを検討しており、中国側は国内企業、業界団体、地方政府などから意見を聴取している。対象品目を含む具体的な内容については、今後双方が協議して決定する。
出典:国務院新聞弁公室、第一財経(2026年7月23日)
国務院新聞弁公室の記者会見|第一財経の記事
🌐【APEC・AI】成都声明を採択、中小企業のデジタル化とAI利用を支援
アジア太平洋経済協力会議(APEC)のデジタル・AI担当閣僚会合が7月23日に成都で開かれ、「成都声明」を採択した。声明は、安全で信頼でき、利用しやすい通信インフラの整備、データ流通とデジタル取引への信頼向上を掲げた。製造業、農業、サービス業のデジタル・AI転換を促し、中小・零細企業には低価格で導入しやすい製品やソリューションを提供するよう各エコノミーに促した。AIリテラシー教育や、オンライン詐欺、情報漏えい、AIの悪用への対策も盛り込んだ。
出典:APEC事務局(2026年7月23日)
2026 APECデジタル・AI閣僚声明
📈【金融政策】中国証監会、市場安定へ逆周期調節を強化
中国証券監督管理委員会は7月23日、下半期の資本市場運営方針を公表した。市場の安定維持に向け、逆周期調節をより精密に実施し、中長期資金の市場参加規模と比率を高める。世界的な市場変動やリスクの国境を越えた波及に備えた政策準備も進める。財務不正、インサイダー取引、相場操縦への取り締まり、新型金融業務への監督、監督業務へのAI導入、企業の合併・再編促進、地方融資平台や不動産関連債券の債務不履行リスクへの対応など、七つの重点分野を示した。
出典:中国証券監督管理委員会、21世紀経済報道(2026年7月23日)
中国証券監督管理委員会の発表|21世紀経済報道の記事
🏭【外資】上半期の高技術産業向け外資、前年同期比33.2%増
中国商務省のデータによると、2026年上半期の実行ベース外資導入額は4021億4000万元で、5月と6月はいずれも前年同月比で増加した。新設された外資企業数は前年同期比5.3%増え、約4800社の既存外資企業が中国で追加投資を行った。高技術産業への外資導入額は33.2%増え、外資全体に占める比率は過去最高の42.4%となった。国家発展改革委員会は新たに13件、計134億ドル規模の重点外資プロジェクトを選定した。
出典:新華社(2026年7月23日)
新華社の記事
💾【半導体】長鑫科技、7月27日に上海・科創板へ上場
中国のDRAM大手、長鑫科技は、7月27日に上海証券取引所の科創板へ上場すると発表した。発行価格は1株8.66元で、募集額は約579億1900万元を見込む。IT之家が引用した市場調査会社Omdiaのデータでは、2025年第4四半期のDRAM売上高に基づく長鑫科技の世界市場シェアは7.67%で、世界4位、中国企業では首位だった。同社はDRAMの研究開発、設計、製造を一体的に手がける。
出典:IT之家(2026年7月23日)
IT之家の記事
🎮【デジタルコンテンツ】中国、7月分の国産オンラインゲーム193本を承認
中国国家新聞出版署は7月23日、2026年7月分の国産オンラインゲーム審査結果を公表した。承認日は7月22日で、一覧には193作品が掲載された。北京霊遊坊網絡科技が運営するアクションゲーム「影之刃零(Phantom Blade Zero)」は177番目に記載され、北京聯合出版が出版を担当する。このほか、上海、北京、広州、成都、杭州などの企業が運営するモバイルゲームやクライアントゲームが承認対象となった。
出典:中国国家新聞出版署(2026年7月23日)
2026年7月分・国産オンラインゲーム審査結果
🏙️ 科技金融|上海、「直接融資20条」で科技企業の資金調達支援を強化
第一財経は7月23日、上海市委金融弁公室、上海証監局、市科学技術委員会、市国資委が、科技企業向け金融支援策「直接融資20条」を説明したと報じた。正式名称は「上海市充分発揮直接融資功能進一步加強科技金融服務的若干措施」で、早期投資の主導能力向上、株式投資の継続メカニズム整備、資本市場機能の活用、多元的な長期資本供給、制度環境の最適化の5分野20項目から成る。
出典:第一財経/2026年7月23日 第一財経
🤖 テック・海外展開|中国テック企業、AIブームを追い風に海外売上を拡大
サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国のAI関連企業が国内競争の激化と世界的なAI投資拡大を背景に、ハードだけでなくクラウドソフトウエアや基盤モデルでも海外展開を進めていると報じた。記事は、2026年上半期の集積回路輸出額が1773億ドルで前年同期比96%増、自動データ処理設備輸出額が1381億ドルで41%超増、産業用ロボット出荷額が9.29億ドルで18%超増といった税関統計を紹介し、MiniMaxの海外収入比率にも触れている。
出典:SCMP/2026年7月23日 SCMP
🧠 業務AI|飛書aily、能動業務と複数エージェント協働を打ち出す
新華網系の科技記事は7月23日、飛書のAgent製品「飛書aily」が全面アップグレードしたと報じた。新機能として、能動的な業務追跡、チーム共有型エージェント、複数エージェント協働などが追加され、飛書のメッセージ、文書、カレンダー、会議、タスク、多維表格の情報を権限範囲内で利用しながら作業できるとされる。記事は、従来の個人向けAI助手から、実務参加型の「AI同僚」へ進む位置づけを示している。
出典:新華網/2026年7月23日 新華網
🏥中国、中医薬振興の第15次5か年計画を公表
中国国家中医薬管理局と国家発展改革委員会は7月23日、「中医薬振興発展第15次5か年計画」を公表した。計画では、人口1000人当たりの中医系医師数、公立中医病院における中医師の比率、中医系診療の利用割合、総合病院や婦幼保健機関での中医診療科設置、地域医療機関での人材・技術提供などを指標に設定している。
住民の中医薬に関する健康知識の向上や、中医薬分野の国際標準の拡充も掲げる。これは医療提供体制に関する政策計画であり、個々の治療法の有効性を示すものではない。
出典:国家発展改革委員会(2026年7月23日)
中医薬振興発展第15次5か年計画に関する説明
🔐 渡航・生活・帰国情報
1.夏季の海外渡航、麻しんなどの感染症に注意
在中国日本国大使館は7月22日、夏季休暇中の海外渡航者に向けた感染症情報を掲載しました。海外では日本にない感染症や、日本より高い頻度で発生する感染症があり、特に麻しんは一部の国・地域で流行が続いています。渡航先の発生状況を事前に確認し、帰国後も体調の変化に注意するよう呼びかけています。
出典:在中国日本国大使館(2026年7月22日)
海外での感染症予防について
2.中東経由の航空便、欠航や空域閉鎖の情報を確認
外務省は7月21日、中東情勢の緊迫化を受けた広域情報を発出しました。中東地域では航空便の欠航や一時的な空域閉鎖が起こる可能性があるとして、滞在国への影響やフライト情報を複数の情報源から確認するよう求めています。中東を経由する移動についても、航空会社の運航情報を出発前に確認する必要があります。
出典:外務省海外安全ホームページ(2026年7月21日)
中東情勢を受けた注意喚起
3.中国の領事・入管関連は大きな新規更新なし
在中国日本国大使館の新着一覧では、7月24日朝時点で、感染症予防情報以外に、中国のビザ、入国手続き、旅券、交通規制に関する新たな大規模更新は確認できませんでした。
💬 ビジネス成語
审时度势
ピンイン: shěn shí duó shì
日本語訳: 時勢を詳しく見極め、情勢の変化を判断する
市場環境や政策の変化を踏まえて、経営方針や投資時期を判断する場面で使われます。「度」はここでは「推し量る」という意味です。
使用例:
面对产业结构调整,企业需要审时度势。
産業構造の調整に直面するなか、企業は時勢を見極める必要があります。
🌐 ネット用語 Now
AI搭子
「搭子(dāzi)」は、食事、旅行、勉強など、特定の活動を一緒に行う相手を表すネット用語です。「AI搭子」は、就職活動、学習、運転、日常会話などを補助するAIを、気軽な相棒になぞらえた表現です。
2026年には「AI求职搭子(AI就活パートナー)」や「AI驾驶搭子(AI運転パートナー)」など、用途を前に付ける使い方が見られます。親しみやすい一方、正式な製品分類ではありません。ビジネス文書では、チャットボット、AIエージェント、車載AIなど、具体的な機能を明示した方が誤解を避けられます。
出典:CCTV「年轻人求职有了AI搭子」(2026年5月12日)
📜 経営金言 Navi
企業の目的は、顧客の創造である。
商品や技術そのものを目的にするのではなく、それによって誰のどんな需要を満たすのかを考える言葉です。AIやデジタル技術の導入でも、導入件数ではなく、顧客や利用者に生まれた価値を基準に評価する視点につながります。
📊 何でもランキング
2026年上半期、中国のGDP上位10省・直轄市
7月23日までに発表された各地の統計を基にした集計では、GDP総額の上位は次の通りです。
1位は広東省で7兆2281億500万元、2位は江蘇省で7兆387億3000万元、3位は山東省で5兆3173億元、4位は浙江省で4兆7937億元、5位は四川省で3兆3629億4500万元でした。
6位以下は河南省、湖北省、福建省、上海市、安徽省の順です。江蘇省は上半期として初めて7兆元を突破し、湖北省は初めて3兆元を超えました。成長率では浙江省が5.7%で上位10地域の首位となり、山東省、上海市、安徽省が5.6%で続きました。
出典:湖北日報・決策雑誌(2026年7月23日)
2026年上半期GDP上位10省
🛍️ 注目の新商品・サービス
中国市場向けのメルセデス・ベンツ純電動GLC
メルセデス・ベンツは7月8日、中国市場向けに開発した純電動GLC SUVを発売しました。新華社によると、中国の利用環境を想定した強化学習型の大規模モデルを搭載しています。中国市場で研究開発した機能を量産車へ組み込み、中国の消費者向けに仕様を最適化した点が特徴です。
出典:新華社(2026年7月23日掲載の外資企業特集)
新華社の記事
アリババ「Qwen-Image-3.0」
アリババグループの通義千問(Qwen)チームは7月21日、画像生成・編集モデル「Qwen-Image-3.0」を公開しました。
文章から画像を生成する機能に加え、既存画像の修正や構成変更にも対応します。公式発表では、複数の対象物や複雑な構図、画像内の文字表現、写実的な細部、知識を伴う画像制作などを重点的に改善したとしています。APIには高性能版の「qwen-image-3.0-pro」も用意され、広告、EC、メディア、デザインなど、画像を制作・加工する業務での利用が想定されます。
出典:Qwen公式ブログ「Qwen-Image-3.0」(2026年7月21日)
API資料:アリババクラウド「Qwen Image Generation and Editing API Reference」
📅 ビジネスイベント情報
2026 ChinaJoy
開催日: 2026年7月31日~8月3日
BTOB商談エリア: 7月31日~8月2日
場所: 上海新国際博覧センター
テーマ: 「与AI同游」――AIとともに遊ぶ
主催・運営: 中国音像・デジタル出版協会など
会場面積は14万平方メートルを超え、約900社が出展する予定です。このうち外資企業は275社で、39の国・地域から参加します。ゲーム、AI大規模モデル、ロボット、スマートウエアラブル、映像機器、デジタルコンテンツなどを扱い、BTOBエリアでは海外展開、広告、コンテンツ流通、技術提携に関する商談機会が設けられます。
公式情報:2026 ChinaJoy開催概要
🈚 難読漢字ドリル
問題:「慮る」は何と読む?
読み方: おもんぱかる
意味: 周囲の事情や将来への影響を、よく考え合わせることです。
「おもんばかる」と発音されることもありますが、辞書上の基本形は「おもんぱかる」です。
使用例:
取引先の事情を慮り、システムの移行期間を長めに設定しました。
出典:漢字ペディア「慮る」
🧬 メディカル・ウェルネス
中国の国家疾病予防控制局と中国気象局は、高温健康リスク警報で、暑熱による健康被害への注意を呼びかけています。一般向けには室内を涼しく保つこと、日中の高温時間帯の外出を減らすこと、こまめな水分補給と軽めの食事が示されています。高齢者、妊婦、子ども、心血管・呼吸器の慢性疾患がある人、屋外作業者については、より強い注意が促されています。 国家疾病予防控制局
✍️ 編集後記
河童と上海、常識を映す二つの鏡
7月24日は、芥川龍之介の命日である。今年で没後99年、来年には没後百年という節目を迎える。
1927年に発表された『河童』は、単なる怪異譚ではない。河童の国という異界を舞台に、人間社会の「当たり前」をわずかにずらして見せる風刺小説である。働き方、家族、恋愛、芸術——日頃疑うことのない制度や役割を裏返してみせることで、その奥に潜む不均衡や思い込みをあぶり出す。
遡ること六年、大正10年(1921年)に大阪毎日新聞社の命を受けて中国を訪れた芥川は、『上海游記』において、埠頭の喧騒、路面電車の音、赤煉瓦の街並み、そこを行き交う人々の表情を克明に描き出した。架空の河童の国と、現実の上海——一見すれば対極にある二つの世界だが、そこに注がれた視線は同じである。見慣れた景色を、あえて見慣れない角度から見つめ直す姿勢に他ならない。
異なる文化や制度に触れると、自分たちの常識が揺さぶられる。だがその違和感こそ、何を当然と思い込み、何を見落としてきたのかを知る手がかりとなる。
異文化との出会いは、自らの仕事や組織のありようを映し返す鏡となる。河童の国であれ上海の路上であれ、異なる都市や価値観を往復する経験こそが、新たな対話と発想を生み出す最初の一歩となるのだ。(耕雲)
#日中ビジネス #中国ビジネス #在中邦人 #駐在員 #上海 #中国経済
#再生可能エネルギー #APEC #人工知能 #半導体
いいなと思ったら応援しよう!
記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。お読みいただいた内容が少しでもお役に立てば幸いです。引き続き質の高い記事をお届けしてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。