読むだけでD&Dが9割わかる!「判定」のルール解説【バルダーズ・ゲート3も!】
TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』。ここ数年で映画『アウトローたちの誇り』の公開などを機に遊んでみようと思われたり、あるいはそのルールを下敷きにした『バルダーズ・ゲート3』を遊ばれた方もいらっしゃるかと思います。
しかし、「複雑」と聞いて尻込みしてしまった、多少遊んだけどよくわからなかったと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、その大半は今回この記事で紹介する要素がベースなのです。基本も理解していないのに、一度に大量の要素を押し付けられて混乱していただけなのです。
それでは、ここさえ守っていればD&D5版を遊んでいるとさえ言える、「判定」のルールを見ていきましょう。
なお、この記事は2025年3月16日に自身のYouTubeチャンネルで配信した内容を記事向けに再編したものです。配信ではクイズなどを交えて解説していますので、併せてお楽しみください。
前提編
そもそも判定とは?
D&Dで主に描かれる物とは冒険であり、冒険とは常に危険と隣り合わせな物です。
何かに不確定要素がある時、D&D第5版では1d20(20面サイコロ1個)を振り、その出目が目標となる「難易度」(DC: Difficulty Class)と同じか、それ以上であれば成功となり、事態がプレイヤーに有利な方向に進むでしょう。

『クトゥルフ神話TRPG』を遊ばれている方はご注意を。
D&D(第5版)の判定は基本的に「高い方が有利」です。
6つの能力値
しかし、ただの1d20では成功率に差がなく、各プレイヤーキャラクターの個性が出ません。プレイヤー同士が協力するゲームである以上、得意な事や苦手な事があった方が協力している感が出ます。その個性付けの一つとして、「能力値」があります。
基本的に、D&Dに登場するクリーチャー(生物)は6つの「能力値」を持っており、能力によって非常に様々な形で参照されます。

筋力/Strength:物理的な強さ
敏捷力/Dexterity:素早さ、反射神経、バランスなど(D&Dでは「敏捷力」と訳されていますが、英語の「Dexterity」には「器用さ」などの意味も内包されています)
耐久力/Constitution:健康を維持する能力やスタミナ
知力/Intelligence:推理力、記憶力、理解力など
判断力/Wisdom:洞察力、勘の良さ、精神的強さなど
魅力/Charisma:自信、落ち着き、魅力、存在感
『クトゥルフ神話TRPG』を遊ばれている皆様へ:「外見」に関する能力値はありません。
能力値は最低の1から始まり、10が一般的な人間の平均、通常のキャラクター作成であれば20が上限、特殊な手段があれば最大30まで上昇します。

下の図のように、筋力9の冒険者であるリク君と、ヒグマが力比べになれば勝ち目は薄い事は歴然でしょう。

能力修正値
さて、能力値に関してここまで説明しましたが…
判定には一切使いません!!
判定で実際に使うのは「修正値」です。
元の能力値も一部ルールなどで参照される事はありますが、判定に使うという時点で使用頻度は断然修正値の方が上です。

https://dndjp.sakura.ne.jp/LIST.php
各修正値は元の能力値が1なら-5、元が2点上がる毎に+1され、元が10だと修正なしの±0、20で修正値+5、30ならなんと+10となります。
具体的な対応表は以下の通りです。

一応、基本的にキャラクターシートに書いておくものなので、常に覚えておく必要はありませんし、デジタルのキャラシなら計算してくれる事も多いでしょう。作成済みのキャラシであれば、修正値だけ書かれているケースも見かけるかもしれません。
この仕様があるので、能力値を成長させる際は、偶数にすると判定で無駄になりにくい、ということにもなります。
習熟ボーナス
さらに、判定には各キャラクターが特に得意な事を表す「習熟」という要素も関わってきます。
“習熟”している要素で判定する場合、d20の出目と能力値修正に加えて「習熟ボーナス」が足されます。

+2から始まり、レベルが4上がる毎に1ずつ上昇していき、以下の表の通りになります。

●ダンジョンマスターや召喚術使い、ドルイド等向け
各モンスターやNPCには固有のデータがありますが、その中の攻撃やセーヴの欄には、判定に使う能力値や習熟ボーナスの合計が最初から書き込まれています。
なお、習熟ボーナスは基本的にPCのレベル規準とは異なる「脅威度」を基準としています(一部特例アリ)が、習熟ボーナスが上がる値は同じです(1以下の脅威度は+2)。
判定編
前提となる要素はすべて紹介したので、実際の判定について説明しましょう。D&Dには大きく分けて「攻撃ロール」「セーヴィング・スロー」「能力値判定」の3種類の判定があります。

判定の種類が違うと、「そもそも判定とは?」で紹介した「難易度」の決め方が違います。

「難しそう」と思われてしまう理由の一つがこれ、という方もいらっしゃるかもしれません。ゆっくり、一つずつ見ていきましょう。
能力値判定(技能を用いた判定)
「能力値判定」とは、だいたい他の2種にあてはまらない判定の事です。
扉を蹴破る、鍵をピッキングするなど、さまざまなものがあります。

難易度は状況を見てDMが決めることがほとんどですが、たまに腕相撲など、能力値判定同士で対抗し、高い方が勝利するといったケースもあります。
そして、能力値判定では、プレイヤーは1d20 (20面サイコロ)を振り、使う能力修正値と、(もしあれば)「技能」への習熟を足して、難易度より高ければ成功となります。

「技能」という言葉が出てきました。この「技能」とは能力値だけでない専門分野を表したもので、「習熟」することで、「習熟ボーナス」を得ることのできる要素の一つです。
「技能」には数多く種類があり、基本的に特定の能力値と関連しています。

『バルダーズ・ゲート3』では、画面上に大きくd20が表示されたり、キャラクターたちの上にd20が表示されて自動的に判定されたりします。

攻撃ロール
D&Dの「攻撃ロール」とは、近接攻撃や飛び道具による攻撃が有効打となったかどうかを判定するものです。

攻撃ロールにおける「難易度」は目標が持つ「アーマー・クラス」(AC)です。
そして、プレイヤーは1d20 (20面サイコロ)を振り、使う能力修正値と、(もしあれば)攻撃手段への習熟を足して、相手のACより高ければ成功となります。

「アーマー・クラス」とは、その生物が有効打を回避する能力、すなわち防御や回避を総合したものです。
プレイヤーのような人型生物であれば、鎧がない場合のACは10+敏捷力修正値で、鎧には以下の3種類があります。
軽装鎧:鎧の基礎ACに敏捷力修正値をすべて足す
中装鎧:鎧の基礎ACに敏捷力修正値が+2まで反映される
重装鎧:鎧の基礎ACだけで、ACに敏捷力が一切影響しない
基本的にどの鎧を着ればいいのかはクラスによって決まるので、よく確認しましょう。
鎧が単純にダメージを軽減するのではなく、指定値に届かなければノーダメージというこの方式は、この手のゲームでは珍しい概念かもしれません。

●『ウィザードリィ』をご存じの方向け
ウィザードリィにおける「アーマー・クラス」も同様の概念ですが、そちらではD&Dでは『アドバンスドD&D 第2版』まで採用されていた「低ければ低いほどよい」方式です。
D&Dでは第3版(2000年)から現在の方式に変更されています。
使う能力値は攻撃手段によって変わります。
筋力:近接武器や投擲
敏捷力:遠隔武器や”妙技”の特性を持つ武器(ダガーやショートソードなど、投擲も含む)
また、キャラクターが習熟している武器でなければ、習熟ボーナスが得られないので、成功率が大きく落ちてしまいます。武器の習熟も主にクラスによって決まっています。

呪文で攻撃ロールを行うこともあります。その場合は、クラスによって指定された能力の修正値を判定に足します。習熟に関しては、自分が覚えた呪文なので習熟ボーナスを足さないという事は基本的にありません。
知力:ウィザード
判断力:クレリック、ドルイド
魅力:ソーサラー、バード、ウォーロック

例えば、魅力修正+4、レベル5(習熟ボーナス+3)のウォーロックが呪文で攻撃した場合、既に合計+7のボーナスがあるので、ヒグマのACを超えるのに必要な1d20の出目はわずか4です。出目1で5%なので、100-20で成功率80%です。余裕ですね。

この判定に成功すると攻撃手段が指定したダメージなどの効果が発生します。
このダメージにもダイスを振る(「ダメージロール」と呼ばれる)ことがほとんどで、攻撃ロールとダメージロールが紛らわしいことがありますが、基本的にd20を振るかどうかで区別できることでしょう。
『バルダーズ・ゲート3』では、攻撃時の判定は自動的に行われますが、戦闘ログを確認すると判定の内容が確認できます。

セーヴィング・スロー

「セーヴィング・スロー」の説明をするには、言葉の意味を説明するのが手っ取り早いでしょう。

"save"には様々な意味がありますが、ここでは「救う」「助ける」の意味として使われています。
自分自身を「救う」つまり、「身を守る」「抵抗」する判定です。

引きずり込まれる所から脱出するなら筋力セーヴ、ドラゴンのブレス攻撃を回避するなら敏捷力セーヴ、精神操作を耐えるなら判断力セーヴといった具合に、セーヴィング・スローを行うのは、鎧や回避では回避できない要素が基本です。
ちなみに、攻撃ロールは攻撃する側が行いますが、セーヴは受ける側が行います。
『バルダーズ・ゲート3』でも自動的に行われ、戦闘ログを確認すると判定の内容が確認できます。
難易度の決め方に関しては、能力値判定と同様にDMが決める、あるいはシナリオで既に指定されている場合があります。
また、キャラクターの能力に依存して決定されることもありますが…

あれ?どこかで見たような文字列ですね。
では受ける側が行う判定も…?

…全部同じじゃないですか!!
だいたい全部同じです
早い話、D&Dで1d20を振る時、振る判定は
「1d20+能力修正値+判定カテゴリへの習熟ボーナスの有無」
の1種類しかありません。

最初にお見せしたスライドの3つの判定は、種類こそ異なりますが、すべて同じ判定で行われていたのです。
そして、自分の能力だけを基準とした固定の難易度は一律
「8+能力修正値+判定カテゴリへの習熟ボーナスの有無」です。
これは呪文を扱うクラスであれば頻出なので、一緒に覚えておいて損はありません。
「有利」と「不利」
そして最後に、DM判断やキャラクターの能力によって判定に「有利」や「不利」がつくことがあります。
「有利」なら2つ振って高い方を、「不利」なら低い方を使用します。

『クトゥルフ神話TRPG』を遊ばれている方であれば、「ボーナスダイス」の概念に近いかもしれません。
まとめ
早い話、D&Dで1d20を振る時、振る判定は1種類しかありません。
自分が行う判定は”1d20+能力修正値+判定カテゴリへの習熟ボーナスの有無”です。
そして、「有利」があるなら2つ振って高い方を、「不利」なら2つ振って低い方を採用します。
また、呪文など、自分の能力を基準として行われる判定の難易度は”8+能力修正値+判定カテゴリへの習熟ボーナスの有無”です。
ここまで長々と説明しましたが、ここからは実際にプレイした方が早いかもしれません。また、思い出せないとなった時に、覚えるまで読み返してもいいでしょう。
それでは、また次回お会いするその時まで、あなたがD&Dの多元宇宙で冒険していますように。
