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実際『異世界マンチキン』はどれくらい『D&D』なのか?

~『異世界マンチキン』をTRPG側から解説してみた Part0~

先日、『異世界マンチキン』なる漫画のアニメ化が発表されました。
「なろう系」「異世界転生」 ― 二次創作SSやコンピューターおよびTRPGを問わないRPGのパロディにルーツを持つジャンル ― に属する作品の一つです。
本来プレイヤーが理解して操作するためだけに抽象化されるゲームのシステムを、物語に落とし込んでしまう上に、パロディの域を超越し、渾然一体としてしまう、逆転現象的な文学ジャンルであり、現在では海外にも届き、派生形として”litRPG”― “literature”(文学)と”RPG”を組み合わせた名称が成立しています。

しかし、長いブームを迎え、今時この手の作品など山ほどあります。
ですが、なぜ私がわざわざこれを取り上げているのかを説明しましょう。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』

今回私の記事で紹介する理由として、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下D&Dとも)を直接的なモチーフとしている所にあります。

この記事を読まれているような皆さんであれば、近年では映画やコンピューターゲームに関連して、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』という名前を目にされたことかと思われます。ですが、大本は「TRPG」―テーブルトップ・ロールプレイングゲーム、あるいはテーブルトーク・ロールプレイングゲーム―と呼ばれるもの―まだコンピューターゲームという概念が誕生する以前から存在する「RPG」です。

まず「TRPGとは何?」と思われている方はこちらをご覧ください。

余談:この動画の投稿者である炯遊あきらかえいり氏は毎週のようにD&D関連の配信をされています。「ゲームマーケット」や多数の他配信者とのコネクションを持つ氏は、まだ発展途上にある国内のD&Dコミュニティにおいて、最大手と言っても過言ではありません。

初版の表紙。

1974年に初版が発売された『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は、TRPG、ひいてはすべての「ロールプレイングゲーム」と名の付く物の祖にあたる存在であり、欧米圏でのD&Dの流行は、それまで、文学の世界においてSFジャンルの派生とみられていたファンタジーをより独立した存在として認められるようになったきっかけでもあります。

「すべてのRPGの祖」なので、RPGやその関連メディアであればだいたいD&Dと言えてしまうのですが、それでも元が古いシステムであったり、日本であまり受け入れられなかった要素もあるため、後発の作品に受け継がれていない要素などもあり、明確にD&Dと言える要素があるのです。

引き写す「RPG」として、そういった要素を持つ「なろう系」路線の作品も確かに存在しており、『異世界マンチキン』以外に、『ゴブリンスレイヤー』や『オーバーロード』も該当します。

「マンチキン」

では、他の作品と何が違うのか。
それは、「マンチキン」を主題とし、他作品以上にD&Dのシステム、メカニズム面をモチーフとし、描いている事です。

元は『オズの魔法使い』に登場する小人”munchkin”―あえて訳すなら「むしゃむしゃと食べる者」―ですが、彼らの陽気なイメージとは裏腹に、英語圏のTRPG界隈においては「自分のキャラクターの強さのためにルールを曲解したり破ったりするプレイヤー」を表すスラングになっています。

これが日本に渡ってきた際、日本人の秩序アライメント(これもD&Dが由来です)偏重の国民性からか、その意味合いは、ルールは破らないが曲解などする、いわゆる「和マンチ」へと派生しました。

翻訳者的な余談:アニメ化の際に海外配信向けに英名がつく事になると思いますが、”munchkin”の意味が少し違うことに気づかれないまま直訳された結果、TRPGに詳しい視聴者が勘違いして少しガッカリされそうで心配です。こういったプレイヤーは英語では主に"power gamer"と呼ばれます。

そして、異世界マンチキンのD&Dへの徹底はすさまじく、連載元の「水曜日のシリウス」公式ブログでは、単行本第1巻発売当初に、公式のルールブックを含め、D&D関連書籍を長く翻訳されている「d16」こと柳田やなぎだ真坂樹まさき氏にD&D視点からの解説記事が投稿されており、

さらに同氏は単行本の恵投先にもなっています。

実際どれくらいD&Dなのか?

これだけ語っておいて妙な話なのですが、実は常々話は聞いていた一方で、自分が気づいた頃には長く続いていたシリーズゆえか、自分自身で読む機会はありませんでした。

そこで、アニメ化に先立ち、どれぐらい『D&D』なのかを検証するため、無料公開されている原作漫画の第1~2話を読んできました。




感想:滅茶苦茶D&Dでした。

名前が出てこないだけで版元のウィザーズ・オブ・ザ・コーストから訴訟を逃れているレベルでD&Dでした。

開幕のジュネーブ条約違反の毒雲に射程距離がフィートで書いてあるし、「抵抗判定セーヴィング・スロー」って堂々と言ってるし、世界のすべてが記された書物にキャラクターシートのページがあるし内容が一個一個D&D5版だし、アイテムの名前がいかにも英語原文的な命名がされている!

元ネタの版としては現行の第5版に第3版~3.5版基準の要素が少し入り混じっている印象でした。
あまりの再現ぶりに、何も知らなくても多分見ているだけでなんとなくD&Dのルールを覚えてしまうかもしれません。

マジでアニメ化に際してウィザーズ日本支部から直接後援されなかったら「また商機逃すぞこの[ピー]ウィザーズお前は[ピー] [ピー] [ピー]」ってキレそうなぐらいD&Dでした。

次回予告

私は以前もD&Dの関連メディアを紹介する記事を書いていたのですが、それらと同様に、アニメの放送開始後、各話に登場するD&D要素を事細かに解説する記事を投稿することになりました。
下のマガジンをフォローしてお待ちください。

オススメ

原作者インタビュー!?

なんと11月21日、アニメ化を記念して、先述の炯遊あきらかえいり氏による原作者・編集者両名へのインタビュー配信が行われる運びとなっています。
本記事でカバーしきれなかった要素も多数紹介される事かと思いますので、是非ご覧ください。

他作品

異世界マンチキンとは逆に、ダイスを振って描かれるような物語を映像化した
『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』(ファミリーにオススメ!)や
『ヴォクス・マキナの伝説』(アメリカンなエログロだけ注意!)
もオススメです。

さらに、私の記事ではD&D第5版を原作とした『バルダーズ・ゲート3』についても紹介しています。

宣伝

実際のプレイ風景が気になるという方は、自分のYouTubeチャンネルでも日曜午後9:30(ない場合もあり)から、私自身のオリジナルの世界観でD&Dのプレイ風景を配信しています。
本記事公開当時は和風の地域を舞台としたキャンペーンが進行中です。粗末な配信ですが、お楽しみいただければ幸いです。


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