認定医療ソーシャルワーカーが、退院支援の引き継ぎ方法を、ガチで教える
みなさんこんにちはKeiです。
救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士8年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。
毎月5,000PV以上のソーシャルワーク関連のブログやX (フォロワー1,800人以上)などを発信しています。
本日の内容は、医療ソーシャルワーカーが実践する「退院支援の引き継ぎ」についてお話しさせていただきたいと思います。
世間一般的に理論化されたものではなく、あくまで個人的な見解ではあるものの、かなり踏み込んだ内容になっております。
ソーシャルワーカーにも当然休みがあるので、誰かしらに退院支援の引き継がなければならない場合があります。
退院支援の引き継ぎに関する「確立されたマニュアル」ってみなさんの職場にありますか?
「身寄りなし」「健康保険未加入」「経済的困窮」といった危機介入アプローチが求められるケースや、「虐待」「ヤングケアラー」「夫婦で認知症」といった複雑な生活課題を抱えるケースを、後任のソーシャルワーカーに引き継ぐのってそれなりに難しいんです。
私が感じているもやもやをそのまま言語化すると、「引き継げないわけではないのだが、後任に任せるのは不安」といったイメージです。
複雑なケースの引き継ぎが、次の出勤日にバチッとはまったケースって、数えるくらいしかないと思うんですよね。
決して後任で支援したソーシャルワーカーのアプローチが上手くいっていないとかではなくて、「なんかもやもやするな〜」といった感じです。
#ケースを再開するときに違和感があったりする
退院支援の引き継ぎは、ToDoリストで引き継げるほど甘くない
多くの病院は、各々の属人性に任せて、なんとなく引き継ぎ用のフォーマットなり、書面なりのToDoリストで以下の内容を引き継いでいると思います。
今、こんな感じで調整してます(共有)
不在にしている間に、こういった動きがあるかもしれません(予想)
この対応を、お願いします(実行)
私が8年以上ソーシャルワーカーをした経験上、退院支援のケースを引き継ぐ際は、「ToDoリストを渡せば良い」という簡単な話ではないと考えています。
仮に、セブンイレブンのアルバイトであれば、ToDoリストで十分対応できるオペレーションが組まれているでしょう。
一方で、退院支援の引き継ぎにおいては、引き継ぐ側のソーシャルワーカーが重要視しなければならないのことがあります。
ToDoリストを用いたケースワークの引き継ぎをするのは前提として、「物語(ナラティブ)の引き継ぎ」をすることがもうめちゃくちゃ大事なんです。
多くのソーシャルワーカーは、退院支援引き継ぎを病名・支援計画・調整愛用といった「ケースの概要」までにとどめており、物語(ナラティブ)の引き継ぎをしていません。
患者さんを担当したソーシャルワーカーの言葉で「物語(ナラティブ)」を引き継ぐ
ここまでの話をまとめると、「患者さんと関わってきた物語(ナラティブ)の引き継ぎを、軽く考えてはいけないよ」といったところです。
物語(ナラティブ)を引き継ぐ重要性については、実例を交えて解説します。
社会的課題を複合的に抱える患者さんは、入院直後からソーシャルワーカーが介入するケースが多いです。
患者さんやその家族とのインテーク面接で得た信頼関係や、入院当初から関わった医師や、病棟スタッフとの情報共有の成熟さなど、目に見えないアドバンテージが蓄積されていきます。
#連携貯金(信頼関係の貯蓄)とでも言おうか
引き継いだ後任のソーシャルワーカーが俯瞰的にアプローチすることによって、結果的により良い退院支援になる可能性もあります。
しかし、こういった連携貯金に依存しない引き継ぎが有効なのは、ソーシャルワーカーではなく、看護師です。
後任のソーシャルワーカーによる俯瞰的なアプローチによるデメリットは、シンプルに「物語(ナラティブ)の成熟性」「思い入れ(熱量)」が引き継ぐ前のソーシャルワーカーより不足してしまうことです。
「俯瞰的」が「他人事」に置き換わってしまう可能性があります。
たとえば、「緊急入院によって絶対的貧困が顕在化され、生活保護の申請が検討されている患者さん」がいたとします。
Aソーシャルワーカーは、インテーク面接によって、“今日食事をするお金がない”といった「絶対的貧困」に対するアプローチとして「生活保護」の申請が有力であるとアセスメントしました。
客観的にみれば、生活保護の申請が通りそうでしたが、「車に乗れなくなる」といった生活の不便さや世間体を気にして、本人は生活保護申請を迷っていました。
「生活保護を申請する重要性」はAソーシャルワーカーであれば、インテーク面接で深く関わり、患者さんの生活実態の緊急性を肌で感じています。
一方で、生活保護の申請は“患者さんの意思に基づくもの”です。
後任のソーシャルワーカーが引き継いだ際に、「患者さんの意思に変化があって生活保護を申請しない」といった展開になる可能性もあります。
ここで、「そっかご自身が大事ですからね」といって、患者さんの意思決定を尊重してしまうのか、「いや、入院費や退院後の生活が再建できなくなるから申請した方がいいですよ!!!」と危機介入的に関わるのでは、患者さんの将来が大きく変わってしまいます。
「今日食べ物を買えるお金がない」「お金がなくて自宅のライフラインが止められている」といった「事実」を引き継ぐのは前提です。
併せて、「ソーシャルワーカーとしてアセスメントした結果、緊急的に生活保護の申請が必要である」という支援計画に至るまでの「物語(ナラティブ)」も引き継ぎます。
「公園の水で、飢えをしのいでいた」
「自動販売機に手を突っ込んで、お金がないか探し回っていた」
現在に至るまでの「物語(ナラティブ)」を伝えることで、「これは確かに生活保護が必要かもね」といった逼迫感を引き継ぐことができます。
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