「問題社員」が生まれる会社で、起きていること
「正直、少し扱いづらい社員でして・・・」
人事の方から相談を受ける中で、
こうした言葉が出てくることがあります。
もちろん、悪意があって言っているわけではありません。
実際に、
指示が入りにくい
周囲との摩擦が多い
感情の起伏が激しい
など・・・
現場として困っているケースはあります。
ただ、ここで少し立ち止まりたいのです。
その社員は、
本当に“問題そのもの”なのでしょうか。
例えば、ある企業でのケースです。
ある若手社員が、
徐々に周囲と衝突するようになりました。
上司への反応も強く、
会議でも否定的な発言が増えていく。
現場では少しずつ、
「あの人は難しい」という空気ができ始めます。
やがて、
「問題社員かもしれない」という言葉が出てくる。
すると不思議なことに、
組織全体の見方が変わり始めます。
本人の言動を、
“問題がある人”という前提で見るようになるのです。
もちろん、
改善すべき行動があるケースもあります。
ただ、構造的に見ると、
ここで一つの危険が起きています。
それは、
「個人化による思考停止」です。
つまり、
問題を“その人自身”に集約することで、
組織側が構造を見なくなる。
本来であれば、
なぜその状態が起きたのか
どんな関係性の中で変化したのか
どのタイミングで孤立したのか
見るべき要素は複数あります。
しかし「問題社員」という言葉が出た瞬間、
視点が一気に狭くなることがあります。
さらに難しいのは、
この状態が無意識に起きることです。
現場は疲弊しています。
上司も、
何とか対応しようとしている。
人事も板挟みになっている。
だからこそ、
「原因を一つにしたくなる」。
これは自然な反応でもあります。
ただ、その結果として、
組織が見えなくなることがあります。
例えば、
相談しづらい空気はなかったか
期待値のズレはなかったか
孤立を止める関わりは機能していたか
そうした視点が抜け落ちる。
すると、
人が入れ替わっても、
また似たようなことが起きます。
なぜなら、
構造が変わっていないからです。
ここで重要なのは、
「本人に課題がない」という話ではありません。
課題はあるかもしれない。
ただ、
その人だけを切り離しても、
本質的な解決にならないケースがある、
ということです。
実際、
同じ組織で繰り返し
「問題社員」が生まれる会社もあります。
もしそうなら、
見るべきなのは個人だけではないかもしれません。
あくまで一つのアイデアですが、
「誰が悪いか」ではなく、
「どんな流れでその状態になったのか」
を整理してみることです。
行動だけではなく、
関係性やタイミングも含めて振り返る。
すると、
これまで“個人の問題”に見えていたものが、
違う形で見え始めることがあります。
ここまで読んで、
少しモヤモヤした気持ちになった方もいるかもしれません。
ただ、それは自然なことです。
組織の問題は、
誰か一人を悪者にした方が整理しやすい。
だからこそ、
多くの会社で同じことが起きます。
そして、
同じ悩みが繰り返されます。
もし今、
「また似たようなケースが起きている」
そんな感覚があるとしたら、
それは“人”の問題ではなく、
組織の見方そのものを見直すタイミングかもしれません。
あなたの会社では、
問題は“誰か”に集まっているでしょうか。
それとも、
“構造”として整理されているでしょうか。
