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話しかけおばさん予備軍

かびるんるん♪かびるんるん🎵いたずらだいすき〜っかびるんるん🎶

今朝、自転車を爆走させながら、気がついたらノリノリでこの歌を熱唱していて、とても恥ずかしかった。
救いがあったのは、前と後ろに三男と次男を乗せていたこと。
これがなければ、スッピン深キャップで顔隠しデブおばさんが汗だくで、なんかあんぱん関連のうたっぽいものを歌いながら、爆走しているという、見てないことにされるシチュレーションにしかなりようがない。

きっかけは、家を出る直前まで三男が見ていたYouTubeである。とても耳あたりが良い動画で、しかもなんか凄い。

私は初見だったが、既に三兄弟の中ではデフォの動画らしく、全員歌っていた。家では全員ノリノリだった。

しかしもうこの自転車の段階では、二人とも全く歌っていない。これから連れて行かれる保育園へと、心を整えながら、ぼーっとはなくそをほじり、無言で前を向いて自転車に乗っていたと思われる。

子どもを産んで自分が変わったな〜と思うことの一つに、人前で歌うことが恥ずかしくなくなった、ということがある。
子どもと一緒だと、童謡を歌うのも恥ずかしくないし、気がついたらおかあさんといっしょの月の歌を歌っていたこともあった。そんな私の脳内を平気で侵食し、変えてきた子どもカルチャーだけど、親になって変わったのは歌の知識にとどまらない。
世界の見え方というか、街の怪しいと思われがちな大人たちに対する解釈もガラリと変わった。

街中で突然子どもに「あら〜、ちいさな足だねぇ」「何がそんなに泣きたいんだい?」と話しかけてくるおばさまたち。独身時代はネットの話で、本当にいるのかなこんな人、と思っていた。

いるいる〜全然いる〜!長男を産んで初めてその場面に遭遇したときは、これがネットで見た『話しかけババア』と呼ばれるものか、と身構えたりもした。
特に、産後の睡眠不足で育児ノイローゼ気味だった頃なんて、心の中でうるせえな、ほっといて!と毒づいてしまうこともあった。心の余裕のなさを思い出すエピソードの一つである。
あの頃は、絶対こんなおばさんにはなるまい、と固く心に誓っていた。

はずだったのだけど。今の私を冷静に見てみると、絶賛話しかけおばさん予備軍だと思う。
この数年で、生活習慣病予備軍のレベルを飛び級レベルで上げたように、話かけおばさん予備軍のレベルもこの数年でめちゃめちゃ上がった。
街で新生児を見かけると、ぁあ・・・少しでいいからその新生児の香りを〜!と思ってしまう。あわよくば抱っこさせてほしい。絶対に口に出さないし顔にも出さないけど。
知り合いに赤ちゃんが産まれると知れば、赤ちゃんをありがとう!喜ぶ。

抱っこ紐からむちむちの太ももをのぞかせている赤ちゃんと目が合う瞬間があれば、親御さんに怪しまれないよう必死で死角をとりつつ、ギリギリの笑顔でアイコンタクトを図ろうとしている自分がいる。油断すると、あ〜可愛い!今何ヶ月ですか?と話しかけてしまいそうになり、理性で必死にブレーキをかける。

こうやって改めて文字にしたため、かなりヤバい私を、今自認した。


あの日うっとうしく思っていたおばさまたちの言動は、抑えきれずに漏れ出てしまったんだろうなと、今ではよく分かる。悪意など、全くない、純粋な好きなのだろう。

そして、親になって知ったもう一つの衝撃として、この愛の漏れ出し現象は女性限定ではないということ。世の中には話しかけおじさんもきちんと存在しているということがある。


すれ違いざまに我が子の頭を優しく撫でて去っていくおじさん。
「帽子ポン!」と謎のエールを送って風のように立ち去るダンディなおじさん。
私の視界の片隅で、後ろにいる子どもたちに変顔をぶちかましているおじさん。

昔の、育児ノイローゼ中の私なら、警戒していたかもしれない。けど、彼らもまた、子どもが大好きなのだろう。
自分の子育て時代を懐かしんでいるのかもしれないし、ただ目の前のかわいい存在に笑顔を返したくなっただけかもしれないし、子どもに関係する仕事をしているのかもしれない。まだ子どもの心がたっぷりと残ったおじさんなのかもしれない。

産前と産後で、街の大人たちを見る自分の目が、こんなにも温かいものに変わるとは思ってもみなかった。


話は変わるが、次男は今皮膚科に毎週通っている。
その治療が終わった後、ご褒美として一から始まるおやつ(百円台のおやつ)を探しに必ずスーパーに寄らされる。
先日、皮膚科帰りのスーパーのお菓子売り場で、次男がお菓子を選ぶのを待っていたときのこと。

遠くから「みつめこぞう!!!」「うみぼうず!!!」「ずんべらぼーう!!!」と、ノリノリで歌いながら近づいてくる男性の声が聞こえてきた。これは間違いなく、Eテレのようかいしりとりだ!!と耳がダンボになる。
歌い主は、私の近くを通るときに一瞬ボリュームダウンしたものの、隣に小さな娘さんを連れた、カゴをもったお父さんだった。
すれ違い際に確認させてもらったが、隣の娘さんは真顔だった。


あぁ、この人もこちら側の人だ、と勝手に猛烈な親近感が湧いた。この人は、娘さんが横にいなくても、気がついたらようかいしりとりを歌ってしまってハッ!!となるタイプの人に間違いない。自転車で、かびるんるんを爆走しながら歌う私のように。

話かけおじさんおばさんは撲滅できないと思う。

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