MTP開発ノート17|EAが入らないのは異常ではない。フィルタは安全装置である。
こんにちは、つもです。
この記事は、MTP開発ノートの17本目です。
前回は、MTPを動かし始めた最初の1週間で見るポイントを整理しました。
最初の1週間は、利益を見る期間ではない。
MTPが設計どおりに動いているかを見る期間である。
そういう話をしました。
Dashboardの更新時刻を見る。
口座健全率を見る。
有効証拠金を見る。
保有ポジションとロットを見る。
Slaveが入らなかった理由を見る。
エキスパートタブのログを見る。
ここまで見て、ようやく運用の輪郭が見えてきます。
今回は、その中でも特に大事な話です。
MTP Slaveが入らない時の話です。
コピー元EAはエントリーした。
MTP Masterも認識している。
でも、MTP Slaveが入らない。
この時、多くの人は不安になります。
「設定を間違えたのか?」
「EAが壊れているのか?」
「通信できていないのか?」
「もっと条件を緩めた方がいいのか?」
焦る気持ちは分かります。
でも、最初に言い切ります。
EAが入らないことは、必ずしも異常ではありません。
むしろ、MTPでは「入らない判断」こそ重要です。
MTPは、コピー元EAの動きを何でもそのまま拾うためのEAではありません。
危ない場面では止まる。
条件が整うまで待つ。
口座状態が悪い時は新規追従しない。
勢いに逆らう方向は避ける。
重要指標前後は入らない。
そのために、フィルタがあります。
フィルタは邪魔者ではありません。
口座を守るための安全装置です。
今回整理すること
今回整理するのは、MTPが入らない理由です。
主に次の内容を扱います。
EAが入らない状態には2種類ある。
正常な待機と、設定ミス・エラーを分ける。
追従開始段数で待つ理由。
有利エントリーで待つ理由。
RSIフィルタで止める理由。
指標停止フィルタで止める理由。
口座健全率フィルタで止める理由。
最小エントリー間隔で止める理由。
止まった時に見る場所。
フィルタをOFFにする前に考えること。
この記事の目的は、フィルタを細かく調整することではありません。
まず、MTPがなぜ止まるのかを理解することです。
止まる理由が分かれば、運用中に慌てなくなります。
慌てて設定を触る回数も減ります。
これが大事です。
「入らない」は、全部同じではない
MTP Slaveが入らない時、まず分けて考えるべきことがあります。
それは、
正常に待っているのか。
設定ミスやエラーで動けていないのか。
この2つです。
ここを分けずに見ると、判断を間違えます。
正常に待っているだけなのに、フィルタを弱めてしまう。
設定ミスで動いていないのに、フィルタのせいだと思って放置する。
どちらも危険です。
「入らない」という現象だけ見れば同じです。
でも、原因はまったく違います。
MTP運用で最初に見るべきなのは、ここです。
入らない理由を切り分ける。
正常に待っているケース
まず、正常に待っているケースです。
これは、MTPが設計どおりに仕事をしている状態です。
たとえば、次のような場合です。
追従開始段数にまだ到達していない。
有利エントリーの条件を待っている。
RSIフィルタで逆張りを止めている。
重要指標前後で指標停止フィルタが効いている。
口座健全率が低下して、新規追従を止めている。
最小エントリー間隔に引っかかっている。
ロット上限や証拠金条件で見送っている。
これは、MTPがサボっているのではありません。
判断しています。
入らないという判断です。
自動売買で一番怖いのは、何でも入ってしまうことです。
入るべき時に入る。
入らない方がいい時は入らない。
この両方があって、はじめて運用になります。
設定ミス・エラーで動けていないケース
一方で、本当に設定ミスやエラーで動けていない場合もあります。
たとえば、次のようなケースです。
EAタグがMaster側とSlave側で違う。
MT4本体の自動売買がOFF。
EA設置時の自動売買許可がOFF。
DLLの使用許可がOFF。
MTP SlaveがReal口座側に入っていない。
Real口座用MT4にログインできていない。
通貨ペアが合っていない。
ロット設定が不正。
証拠金不足。
エキスパートタブに注文エラーが出ている。
ファイルアクセスエラーが出ている。
これは正常な待機ではありません。
修正が必要です。
だから、MTP Slaveが入らない時は、すぐにフィルタのせいにしない。
逆に、すぐにEAの故障とも決めつけない。
まず、正常待機なのか、設定ミスなのかを分けます。
追従開始段数で待つ
MTPでよくある「入らない理由」の一つが、追従開始段数です。
たとえば、
追従開始段数 = 3
にしている場合、コピー元EAの1段目、2段目ではMTP Slaveは追従しません。
3段目から追従候補になります。
つまり、コピー元EAが1段目でエントリーしても、Slaveが入らないのは正常です。
これは故障ではありません。
設定どおりに待っています。
ここを理解していないと、初回確認で必ず不安になります。
「コピー元EAが入ったのに、Slaveが入らない」
そう見えるからです。
でも、追従開始段数が3なら、それは予定どおりです。
初回の浅いエントリーをあえて見送る。
後続段から追従する。
リスクを少し抑える。
これが追従開始段数の考え方です。
追従開始段数は、エントリーを減らすための設計
追従開始段数は、単なる数字ではありません。
運用思想そのものです。
1段目から全部追うのか。
2段目から追うのか。
3段目から追うのか。
これによって、MTP Slaveの入り方は大きく変わります。
1段目から追えば、エントリー機会は増えます。
でも、コピー元EAの初回エントリーをそのまま受けることになります。
3段目から追えば、エントリー機会は減ります。
でも、相場がある程度逆行した後から追従できる可能性があります。
どちらが正しい、という話ではありません。
コピー元EAの性格、通貨ペア、資金量、ロット設計によって変わります。
ただし、導入初期は、設定どおりに待っているかを見ることが先です。
入らないからといって、すぐ追従開始段数を下げない方がいいです。
有利エントリーで待つ
次に、有利エントリーです。
MTP Slaveは、コピー元EAがエントリーしたからといって、すぐ同じ価格帯で入るとは限りません。
有利エントリーが有効な場合、Slave側にとって有利な位置まで待ちます。
たとえばBUYの場合。
コピー元EAがBUYで入る。
その後、価格が下がる。
Slave側にとって有利な方向へ動く。
さらに極値を更新する。
そこから反発したところでエントリー候補になる。
このような動きを見ます。
つまり、MTPは飛び乗りません。
待ちます。
ここで入らないのは、故障ではありません。
有利な価格になるのを待っているだけです。
MTPは、エントリー回数を増やすためではなく、入る位置を選ぶために待ちます。
有利エントリーは、待つから意味がある
有利エントリーは、エントリーを遅らせる機能です。
だから、当然ながらエントリー回数が減ることがあります。
コピー元EAは入った。
でも、MTP Slaveは入らなかった。
このようなケースが出ます。
でも、それは有利エントリーの仕様です。
「全部拾わない」ことに意味があります。
相場が有利な方向へ動かなければ、入らない。
起動距離に達しなければ、入らない。
極値から反発しなければ、入らない。
この待ちがあるから、MTPは単なるコピーではなくなります。
コピー元EAの動きを受けながらも、Slave側で条件を見ます。
ここを理解せずに、有利エントリーをすぐ弱めると、MTPの良さが薄れます。
RSIフィルタで止める
RSIフィルタは、急騰中・暴落中の逆張りを避けるためのフィルタです。
ここは、誤解されやすいです。
RSIフィルタは、すべてのエントリーを止めるものではありません。
勢いに逆らう方向を止めます。
たとえば、RSIが70を超えている場合。
これは買われすぎ、つまり急騰中の可能性があります。
この時にSELLで入ると、強い上昇に逆らう形になります。
そのため、SELL追従を制限します。
逆に、RSIが30を下回っている場合。
これは売られすぎ、つまり暴落中の可能性があります。
この時にBUYで入ると、強い下落に逆らう形になります。
そのため、BUY追従を制限します。
整理すると、こうです。
RSIが70以上
→ 買われすぎ
→ 急騰中
→ SELL追従を制限
RSIが30以下
→ 売られすぎ
→ 暴落中
→ BUY追従を制限
RSIフィルタで止まるのは、MTPが勢いに逆らう方向を避けている状態です。
これは安全装置です。
RSIフィルタは、チャンスを逃すこともある
正直に言います。
RSIフィルタで止めた結果、取れたはずの利益を逃すことはあります。
急騰中にSELLを止めた。
その後、相場が反転して下がった。
入っていれば取れていた。
こういうことはあります。
でも、それだけを見てRSIフィルタが悪いとは言えません。
問題は、1回の結果ではありません。
強い勢いに逆らうエントリーを、長期的にどう扱うかです。
急騰中のSELL。
暴落中のBUY。
これは、一度うまくいくこともあります。
でも、踏み上げや下落継続に巻き込まれると、一気に苦しくなります。
フィルタは、すべてのチャンスを取るためのものではありません。
危ない場面を減らすためのものです。
指標停止フィルタで止める
指標停止フィルタは、重要指標前後のエントリーを止めるためのフィルタです。
重要指標の前後は、相場が通常とは違う動きをします。
スプレッドが広がる。
価格が飛ぶ。
約定が滑る。
一瞬のヒゲが出る。
想定より悪い価格で約定する。
決済がずれる。
こういうことが起きやすいです。
たとえば、
重要度 = 3
指標前停止 = 60分
指標後再開 = 60分
なら、高重要度指標の60分前からエントリーを止め、指標後60分まで再開しない設計です。
この時間帯にMTP Slaveが入らない場合、それは正常です。
指標リスクを避けています。
ここで無理にフィルタをOFFにすると、MTPが避けようとしていたリスクを自分で取りに行くことになります。
それは、ブレーキを外して坂道に入るようなものです。
気合いでは止まりません。
口座健全率フィルタで止める
口座健全率フィルタは、MTPの中でもかなり重要な安全装置です。
口座健全率は、残高に対して有効証拠金がどれだけ残っているかを見る考え方です。
口座健全率 = 有効証拠金 ÷ 残高 × 100
たとえば、
残高:100,000円
有効証拠金:98,000円
口座健全率:98%
この場合、まだ大きく削られていません。
一方で、
残高:100,000円
有効証拠金:92,000円
口座健全率:92%
この場合、残高に対して8%削られています。
最低残高率が95%なら、この状態では新規追従を止めます。
ここで大事なのは、MTPが見ているのは、
「まだロスカットされないか」
だけではないということです。
MTPが見ているのは、
「この状態で、さらに新しく入ってよいか」
です。
証拠金維持率がまだ高くても、口座健全率が下がっているなら、口座は削られています。
そこで新規追従を止める。
これは正常な判断です。
証拠金維持率だけでは見えないもの
証拠金維持率も大事です。
でも、証拠金維持率だけを見ると、危険を見落とす場合があります。
理由は、レバレッジによって見え方が変わるからです。
たとえば、
残高:100,000円
有効証拠金:75,000円
必要証拠金:15,000円
証拠金維持率:500%
口座健全率:75%
証拠金維持率は500%です。
一見、余裕があるように見えます。
でも、口座健全率は75%です。
残高に対して25%削られています。
MTPが見たいのは、ここです。
まだ強制ロスカットされないから大丈夫、ではありません。
この状態でさらに追従してよいのか。
それを判断するために、口座健全率を見ます。
最小エントリー間隔で止める
最小エントリー間隔は、近すぎる位置でポジションが増えすぎるのを防ぐための設定です。
ナンピン系のコピー元EAでは、短い間隔で次々とポジションを持つことがあります。
それをSlave側でそのまま全部拾うと、ポジションが密集します。
ポジションが密集すると、相場が逆行した時に含み損が急に膨らみやすくなります。
そこで、最小エントリー間隔を使います。
たとえば、
最小エントリー間隔[pips] = 10.0
なら、同じ方向の直近エントリーから一定距離がないと、新しいエントリーを制限します。
これも、入らない判断です。
近すぎるナンピンをそのまま拾わない。
この考え方は、MTPのリスク管理としてかなり大事です。
フィルタで止まった時に見る場所
MTPが止まった時は、まず見る場所を決めます。
いきなり設定を触らない。
まず確認です。
見る場所は、主に次の5つです。
Dashboard。
HUD。
エキスパートタブ。
取引タブ。
操作履歴。
順番としては、こうです。
1. Dashboardを見る
2. HUDを見る
3. エキスパートタブを見る
4. 取引タブで保有状況を見る
5. 操作履歴で注文結果を見る
Dashboardで全体を見る。
HUDでチャート上の状態を見る。
エキスパートタブでログを見る。
取引タブでポジションを見る。
操作履歴で注文結果を見る。
この順番です。
理由を確認せずに設定を変えると、原因が分からなくなります。
EA運用で一番やってはいけないのは、原因不明のまま触ることです。
触れば触るほど、迷子になります。
フィルタをOFFにする前に考えること
フィルタで止まった時、すぐOFFにしたくなるかもしれません。
でも、その前に考えることがあります。
なぜ止まったのか。
その停止は正常だったのか。
止まったことで避けられたリスクはないか。
コピー元EAの動きは荒くなかったか。
口座健全率は下がっていなかったか。
重要指標前後ではなかったか。
RSIは過熱していなかったか。
ポジション間隔は近すぎなかったか。
ロットは大きすぎなかったか。
これを見ずにフィルタをOFFにするのは危険です。
フィルタは、都合の悪い時だけ外すものではありません。
危ない時に効くから意味があります。
特に、口座健全率フィルタと指標停止フィルタは、軽く扱わない方がいいです。
フィルタは利益を減らすことがある
ここも正直に書きます。
フィルタは、利益を減らすことがあります。
入っていれば勝てた場面を見送ることがあるからです。
でも、リスク管理とはそういうものです。
すべての利益を取りに行く設計は、すべての危険にも近づきます。
フィルタは、利益を最大化するためだけのものではありません。
口座が壊れる可能性を下げるためのものです。
相場では、取れなかった利益より、避けられなかった損失の方が痛いです。
しかも、後者は口座に残ります。
だから、MTPは止まります。
全部取らない。
危ないところは見送る。
口座が削られている時は入らない。
これが安全装置の考え方です。
フィルタはサボりではなく判断
フィルタで止まると、EAが仕事をしていないように見えるかもしれません。
でも、それは違います。
MTPは、止まる判断をしています。
裁量トレードでも同じです。
危ない時に見送る。
指標前は入らない。
口座状態が悪い時はロットを増やさない。
勢いが強すぎる時は逆張りしない。
近すぎる位置では追加しない。
これは立派な判断です。
むしろ、自動売買で一番難しいのは、入ることよりも入らないことです。
エントリーするEAはたくさんあります。
でも、入らない理由を持っているEAは、それだけで運用の考え方が違います。
MTPのフィルタは、この「入らない判断」を仕組みにしています。

今回の確認ポイント
今回の話を整理します。
EAが入らないことは、必ずしも異常ではない。
正常な待機と、設定ミス・エラーを分ける。
追従開始段数に未到達なら入らない。
有利エントリーは、条件が整うまで待つ。
RSIフィルタは、勢いに逆らう方向を止める。
指標停止フィルタは、重要指標前後を避ける。
口座健全率フィルタは、削られた口座で新規追従しないために使う。
証拠金維持率だけでは、口座の削られ方が見えない場合がある。
最小エントリー間隔は、近すぎるナンピンをそのまま拾わないためにある。
止まった時は、Dashboard、HUD、エキスパートタブを確認する。
理由を確認せずにフィルタをOFFにしない。
フィルタは邪魔者ではなく、安全装置である。
ここまで理解できると、MTP Slaveが入らない時に慌てにくくなります。
最後に
MTP開発ノート17では、EAが入らないのは異常ではない、という話をしました。
MTPは、何でも拾うためのEAではありません。
入るべき時に入る。
待つべき時に待つ。
止まるべき時に止まる。
この判断を持たせるために、フィルタがあります。
追従開始段数。
有利エントリー。
RSIフィルタ。
指標停止フィルタ。
口座健全率フィルタ。
最小エントリー間隔。
これらは、エントリーを邪魔するためのものではありません。
口座を守るための安全装置です。
今日の結論は、シンプルです。
フィルタはエントリーを邪魔するものではありません。口座を壊さないために、入らない判断をEAに持たせる仕組みです。
次回は、出口設計の話をします。
EAは入口だけでは不十分です。
含み益をどう利益に変えるか。
平均建値をどう見るか。
有利クローズでどう逃げるか。
MTPの出口設計について整理します。
リスク注意書き
※この記事はMTPのフィルタ機能に関する一般的な考え方を整理したものです。
※MTP Slaveが入らない場合でも、正常な待機と設定ミス・エラーの両方の可能性があります。Dashboard、HUD、エキスパートタブ等で必ず確認してください。
※フィルタをOFFにしたり、条件を緩めたりすると、リスクが高まる可能性があります。
※ロット設定やフィルタ設定は、資金量、口座タイプ、コピー元EAの性格、相場状況によって調整が必要です。
※Dashboardや通知は運用状況を確認するための補助機能であり、利益を保証するものではありません。
※MTPは損失を防ぐものではありません。コピー元EAの挙動や相場状況によって損失が発生する可能性があります。
※FX・自動売買・海外FXには大きなリスクがあります。
※EA利用、口座開設、入金、運用は自己責任で行ってください。
