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【創作三部作】ゆらぎ

~ あらすじ ~

人はみんな、少しずつ揺れている。
思考も、記憶も、言い訳も。

そしてその揺らぎは、ときに誰かの物語と重なり、ときにすれ違い、でもどこかでまた戻ってくる。

『有限会社タロチェキ』『らぶこーる』『戯曲』——
三つの物語は別々の顔をしていながら、読んでいくとじんわりと同じ体温が滲んでくる。

気づけば「ゆらぎ」という名の思考の森に迷い込み、その奥で、あなた自身の影に触れる。

そんなおはなしです。


有限会社タロチェキ


...コンクリートと踵が語り合う。

女性A「タロット占い ~ チェキ付 ~ って何」

女性B「しかも200円だってさ」

A&B 「入ってみようか!」

...障子ガラスに手をかける。

—— このひとたちのおかげで、タロチェキがゆ
   うめいになりました。

...アルミの階段から響く靴音。

ぼく 「ねぇー大家さん?」

大家 「何なに、どうしたのよそんな慌てて」

ぼく 「もし冒険者になるとしたら、魔法使いに
    なりたくてさ、考えたのよ」

大家 「ほんとういつも突拍子もないことを」

—— ぼくさん(=タロチェキさん)は、だがし
   やさんの上にすんでいる。ふたりはとても
   なかよしみたい。

ぼく 「タロット占いを独学で出来るようになっ
    たからさ、駄菓子屋の使ってないスペー
    スでやらしてよ!」

大家 「面白そうじゃないの、好きに使いなさ
    い。」

ぼく 「ありがとう!しかも、占い料金はタダな
    んだよ!早速準備してくるー!」

大家 「ん?今なんて言ったの?」

—— どれだけなかよしでも、このかんがえはり
   かいできなかったみたい。

女性A「えっ?これだけ占ってもらってタダな
    の?」

ぼく 「もちろん!実は魔法使いになりたくて始
    めたことなんで!」

女性B「この人はきっと変わり者なんだろうな」

ぼく 「このタロットの結果を物で残したかった
    ら、チェキ代の200円だけ貰ってます
    けど、どうします?」

女性A「もちろん残します!ください!」

—— このチェキがSNSでゆうめいになって、
   つぎの日からおきゃくさんがふえました。

   それから1か月ご...

駅員A「最近、ひかり国《ぐに》駅の利用者多く
    ないです?」

駅員B「娘が言ってたんだけど、この駅の近くの
    駄菓子屋でタロチェキとかいう無料で占
    ってくれる占いさんがいるらしいのよ
    ね。それでじゃん?」

駅員A「タロチェキ?無料で占い?WEBでよく
    みる生年月日いれて出てくるようなやつ
    ですか?」

駅員B「それがどうも違うらしくて、タロットで
    ちゃんと占ってくれて、その結果を物で
    残したい人にチェキ代の200円で持っ
    て帰れる、名の通り『タロチェキ』みた
    いよ。娘も近々友達と一緒に行ってくる
    って言ってたなー」

駅員A「まじですか?めちゃくちゃ興味あるんで
    すけど!今すぐ行きたいくらいです
    わ!...って言うか、めちゃくちゃ娘さん
    と仲良いんですね。いくつでした?」

駅員B「高校2年生だから、17歳かな。じゃな
    くて、先輩をおちょくるんじゃないよ!
    別に普通だよ!」

駅員A「おちょくってなんかないですよ!だいぶ
    教えてもらってるから、よく会話してる
    んだなって思っただけです」

——   こんなかんじで、ひとづてにタロチェキが
   どんどんゆうめいになっていきます。えき
   いんさんは、なんでちょっとてれてたんだ
   ろうね?まーいいや!

アナ 「私は今、ひかり国駅に来ております!早
    速なんですが、こちらの女子高生のおふ
    たりにお話を聞いてみたいと思います!
    タロチェキ占いは、今なんで流行ってい
    るのかな?」

女高A「もちろん!しっかりした占いをしてくれ
    るし、占いだけなら0円だし、結果をチ
    ェキでくれるから。ほら見てください!
    ケータイの裏に入れるのプリクラみたい
    に流行っているんですよ!」

女高B「私はタロギャル目指してまーす!なんち
    って!」

—— タロギャルは...はやったのかわからないん
   だけど、ケータイのうらにチェキをいれる
   のはよくみるようになったね!あのおんな
   のひとって、えきいんさんのむすめさんだ
   ったりして!もしかしたらね!

   それから半年ご...

ぼく 「お次の方どうぞ!はじめての方ですよ
    ね?いらっしゃいませ!何を占いたいと
    かありますか?」

男性 「どんな占いをやられているんですか?」

ぼく 「運気を8つ、タロットで出すことができ
    ますよ!【恋愛、転居、仕事、出会、人
    気、健康、金、出世】の8つですね!全
    て見ることももちろん出来ますし、特定
    の運気を出すこともできます!どうしま
    す?」

男性 「仕事と出世を見てもらいたいです!」

ぼく 「わっかりました!今展開していきます
    ね!仕事はソードの6、意味は【手助け
    をしてくれる人と手を取り、いい方向
    へ】です。出世はカップのキング、意味
    は、【親切で包容力のある人物との縁が
    あったり、好転する】です。仕事運と出
    世運両方で綺麗に繋がっ...」

...手から1枚の白い紙。

男性 「(スッ)営業時間終了後にお時間作って
    もらえたりしますでしょうか。」

ぼく 「名刺...あ、はい!大丈夫ですよ!」

男性 「占っていただいて、ありがとうございま
    す。力になりました。」

ぼく 「いえいえ!じゃあまた後で!」

—— あのおとこの人、いったいだれなんだろう
   ね。

   3時間ご...

ぼく 「えっ!あ、あの国道《くにみち》鉄道
    の?社長!」

社長 「そうなんですよ!半年前からひかり国駅
    の利用者が急激に増えちゃって、しかも
    自分がスピリチュアル大好きで!駅のお
    礼も含めて、お伺いしたかったんです
    よ!」

ぼく 「仕事運と出世運を気にしてたのっ
    て...」

社長 「そうです!私がタロチェキさんと一緒に
    お仕事をしたいと思った事が、上手くい
    くか気になって!運気次第であきらめて
    ました!」

ぼく 「一緒に仕事って言うのは...ぼくはお金の
    為に占いはしてないですよ?詳しくお話
    聞かせてください!」

社長 「是非とも、ひかり国駅のスペースで、今
    と変わらずの占いをしていただけないで
    しょうか!」

ぼく 「この駄菓子屋じゃだめなんですか?」

社長 「あなたと仕事がしたいんです!【有限会
    社タロチェキ】を!」

大家 「面白そうじゃないの。やっちゃいなさい
    よ。」

ぼく 「確かに、めちゃくちゃおもしろそうか
    も。」

社長 「今まで通り、タロチェキをやってい
    た...」

ぼ&大「だからやりますって!明日から!」

—— 大家さんのひとことで、すぐに【ゆうげん
   がいしゃタロチェキ】は生まれました。も
   ちろん、その日からえきは大もりあがり...
   だったんだけど、とつぜんアナウンサーさ
   んにタロチェキさんから手がみがとどいた
   みたい。【タロチェキをやめようと思いま
   す】ってね。

   すう日ご...

ぼく 「ふふーんふん、ふんふふーん、ぼくのこ
    の手ーはー♫」

アナ 「タロチェキさん!辞めるってどういうこ
    となんですか」

ぼく 「あ、きてくれた!すみません、急に呼ぶ
    ようなことを」

アナ 「そりゃあ辞めるって言われたら来ます
    よ!」

ぼく 「理由はちゃんとあるんですよ...」

アナ 「今もすごい人気なのにどうして」

ぼく 「それなんですよ」

アナ 「それ、と言うのは...」

ぼく 「フィルムが手に入らないんですー!」

アナ 「えーーー!そういうことですかー!」

ぼく 「ありがたいことにタロチェキが人気にな
    りまして、それを追っかけるよう、チェ
    キ自体に人気がでたようで...」

アナ 「そうでしたか...タロチェキさんには、放
    送局総出でお世話になりましたので、ど
    うしてもタロチェキさんのちからになり
    たいんです!」

—— アナウンサーさんやほうそうきょくさんの
   ごこういで、タロチェキとくしゅうをして
   いただくことになったみたい。そしたら、
   つぎの日にさっそくこうかがでたみたい
   よ!いったいなにがおきたんだろう...

...ピンポーン。

ぼく 「はーい!なんだろーなー...」

男性 「タロチェキさんですか?」

ぼく 「はい、そうですけど...どうなさいまし
    た?」

男性 「昨日、N放送の昼の生中継を見させてい
    ただきまして。タロチェキさんの活躍は
    随分と前から知っております。私はもち
    ろんのこと、会社全体がタロチェキさん
    のファンなんです!そんな中、フィルム
    の品薄により辞められるということだっ
    たので...」

ぼく 「ん?ちょっと待ってください!会社って
    いうのは...」

男性 「あ、大変申し訳ありません!申し遅れま
    した。わたくし、株式会社 山《マウ
    ン》ティふぃるむ 営業部長をしており
    ます。」

ぼく 「えっ!山ティふぃるむさん!お世話にな
    ってます!フィルムは必ず山ティさんの
    を使わせていただいてました!」

山ティ「こちらこそお世話になっております!も
    ちろん存じ上げております!...でです
    ね、よかったらこれを」

ぼく 「なんですか、この大量のダンボールは」

山ティ「大量にフィルムを持ってきました!会社
    でタロチェキさんの辞める発言が相当な
    ショックになりまして、急いで作らせて
    いただきました!なので、もう辞めない
    でください!」

ぼく 「山ティさん...ありがとうございます!国
    道の方に言っ...」

山ティ「もう連絡はさせていただいているので問
    題はありません!」

—— こうして、N放送局さん&山ティさんのお
   かげで、タロチェキさんは今までどうり占
   いをつづけることができるようになりまし
   た。

ぼく 「ふふふ、ふーふふふふー、あなたと一緒
    ならー、ふふふっふふふふーふー♫」

男の子「はじめまして」

ぼく 「おっ、坊や!おりこうさんやね、こんに
    ちは!」

坊や 「ほんとはずーっとはなしかけたかったん
    だけど...」

ぼく 「そうだったの...あっ、そう言えば!どこ
    かで見たことあるな...」

坊や 「だがしやさんで占いしてたでしょ?」

ぼく 「それだ!よくお母さんと来てたよねお菓
    子買いに!」

—— いまから7か月まえ...

坊や 「おかあさん、あれなに?」

母  「タロット&チェキ...お母さんもあまりよ
    くわからないけど、占いみたいね」

坊や 「うらない?なーにそれー...あっ、おばあ
    ちゃん!こんにちは!」

大家 「あら、坊や今日も元気ねー、こんにち
    は!」

坊や 「おばあちゃんラムネのみたーい!」

大家 「はいはい、わかったよ。とうもろこしも
    たべるかい?」

坊や 「たべたーい!やったーありがとう!」

母  「いつもお世話になってすみません」

ぼく 「大家さんね、あの子のこと相当気に入っ
    てるみたいなんですよ。見てわかるとは
    思いますけど!」

母  「あの子自身も、おばあちゃんのところで
    お菓子買いたいーって聞かないんです
    よ。私の母は早くになくなってしまっ
    て、おばあちゃんっていう存在があの子
    にはないからっていうのもあると思いま
    す。」

ぼく 「気にすることないですよ。あくまでもぼ
    くの考えですけど、会うべき人っている
    と思うんです。最初から決まっていると
    ぼくは思ってます。いま、奥さんとこう
    してお話できてるのも、巡り合わせだと
    思ってます。ね、気楽にいきましょう
    よ!」

母  「そうですね、ありがとうございます!」

ぼく 「いいんですって!ぼくも大家さんが楽し
    む姿みれて嬉しいんで」

—— おかあさんとタロチェキさんで、こんなつ
   ながりがあったのはしらなかった。

ぼく 「お母さん元気にしてる?」

坊や 「よくわらってますよ!」

ぼく 「そっかー、ならよかったよ!...で、坊や
    は何しにきたの?占いしたいってわけじ
    ゃないだろうし...」

坊や 「占いはいつかしてほしいんですけど、今
    日はなしにきたのは...」

ぼく 「きたのは?」

坊や 「タロチェキさんへ、インタビューがした
    くって!」

ぼく 「ん...インタビュー⁈」

—— これらは全てノンフィクションです。

ぼく 「なんだ、小学校の宿題か!懐かしいな
    ー。ぼくの頃もあった気がするよそんな
    の」

坊や 「ものがたりをじぶんでつくるっていうし
    ゅくだいなんだけど、なんかみんなとち
    がうことがしてみたくなって」

ぼく 「めちゃくちゃいいことじゃんか!それを
    実際、行動に移してるわけやろ?クラス
    のみんなと先生を驚かしてやろうぜよ
    ー!」

坊や 「そうだね!それと、ものがたりのさいご
    に【この物語は全てノンフィクションで
    す。】ってかきたいの!」

ぼく 「やりたいって思ってること、早速かたち
    にできそうやんか!よっしゃ、一回じゃ
    インタビューし足りないと思うし、これ
    から、営業時間の前にでも後にでもきて
    くれたら、いっぱい話聞かせてあげる
    よ!」

坊や 「ほんと?やったー、ありがとう!」

ぼく 「もちろんだよ!なんならさ、宿題関係な
    くタロチェキ本でも書いてみてよ、なん
    ちって!」

—— そんなこんなで、今まさに、えんちょうし
   てかいてるってわけなの!

坊や 「タロチェキさーん!」

ぼく 「おはよー!今日は何を聞きに来たの?」

坊や 「今日は、インタビューはおいておいて、
    がくせいのころのおもしろいはなしって
    ないかなーと思って!」

ぼく 「おっ、つまりは息抜きってわけやね?」

坊や 「もしいれてもいいならいれちゃうつもり
    だよ!」

ぼく 「おもしろいかはさておいて、短い話だと
    ひとつあるよ!」

坊や 「おもしろくなくてもいいからきかせ
    て!」

ぼく 「おけい!中学生の頃の話なんだけど、そ
    の日は授業で体育があったのよ、ただそ
    の授業の何十分か前に予報になかった大
    雨が降ってきて、どうするどうするって
    なったわけ。そうしたら、先生が教室に
    来て、保健に変更するから準備しておい
    てって言って去ってったのよ。おれ実
    は、意外と真面目でさ、勉強するわけで
    もないのに置き勉せずに全部家に持って
    帰ってたの」

坊や 「おきべん?ってなーに?」

ぼく 「そうやな!置き勉っていうのは、教科書
    とかノートを、教室に置いておくことな
    んだけど、先生からは置き勉禁止って言
    われるのよ!それを間に受けて全部持っ
    て帰ってたってわけ!」

坊や 「そういうことか!それでそれで?」

ぼく 「で、授業の時間になって、先生がきたか
    ら、ぼく置き勉してないんで、教科書も
    ノートも何もありませんって言いに行っ
    たの。したら、はぁー?置き勉しておけ
    よー!って学年主任に怒られたって話」

坊や 「がくねんしゅにんって先生のえらいひ
    と?」

ぼく 「そうそう!その人に置き勉するなって言
    われたのに怒られたのよ!」

坊や 「めちゃくちゃなはなしだね、ダメって言
    われたからもってかえってただけなの
    に!」

ぼく 「ほんとよー!ただ、それを機に置き勉す
    るようにしたから、ある意味楽にはなっ
    たよ!」

坊や 「たしかに!けっかてきによかったのかも
    ね!」

ぼく 「そういうこと!」

—— タロチェキさんのあらたないちめんをみれ
   てよかった!まじめな人ってね。

社長 「タロチェキさん!お久しぶりだね!」

ぼく 「社長、ご無沙汰です!どうしたんですか
    急に呼び出して」

社長 「それなんだけど、タロチェキとコラボを
    したいって訪ねてこられた方がいてね、
    その話をタロチェキさんに話したくて
    さ!」

ぼく 「コラボ?どなたです?」

社長 「キャメキャメさんはわかるかな?」

ぼく 「もちろん!若者に人気のファッション誌
    ですよね」

社長 「そうそう!それで、いまタロチェキはも
    ちろんなんだけど、チェキも同様に流行
    ってるわけじゃん?」

ぼく 「そうですね!危うく辞める羽目になりま
    したから!」

社長 「そんなこともあったね!というのもあっ
    て、是非って感じだったわけよ、どう?
    なんか考えつく?」

ぼく 「いま微かに頭をよぎってきてます、もう
    ちょびっと待ってもらっていいです
    か?」

社長 「もちろんよ!タロチェキはタロチェキさ
    んのものだから!」

—— 10分ご...

ぼく 「閃きました!」

社長 「待ってました!早速聞かせて!」

ぼく 「付録のような形で、番号がついた紙を雑
    誌に付けておくんです!」

社長 「ほうほう...それで?」

ぼく 「これはちょびっと手間を取らせてしまう
    かもしれないんですが、ミーナンバーカ
    ードってあるじゃないですか?それで購
    入制限をかけるんです」

社長 「番号はひとりひとつってわけだね?今ど
    きって感じ!」

ぼく 「それで、販売から1週間後に、ぼくのS
    NSアカウントで、番号を1000個発
    表していきます」

社長 「すごいめちゃくちゃおもしろそう!」

ぼく 「その1000個の番号に入った方は、そ
    の付録のカードを持ってタロチェキのと
    ころに来ていただくと、世に1000枚
    しかない【タロチェキカード】をお渡し
    出来るって言うのはどうでしょうか!」

社長 「やばい、すごい発想だ!もっと聞かせ
    て!そのカードの効果は?」

ぼく 「チェキ代永遠に無料です!」

社長 「最高だ!それにしよう!...と言うこと
    は、カードをこっちで準備したらいいん
    だよね?」

ぼく 「お願いできますか?」

社長 「もちろんだよ!タロチェキさんの中でい
    まどんな感じを思い描いてる?」

ぼく 「有限会社タロチェキとキャメキャメさん
    のコラボなので、カードはICカードっ
    ぽいデザインをイメージしてます!それ
    にうちとキャメキャメさんのロゴ+1〜
    1000までの番号をって感じですね!
    あと一番大事にしたいのは、チェキを入
    れるポケットを背面につけて欲しいで
    す!一枚入れば十分なので!」

社長 「よし、型は見えてきたぞ!これで話して
    くるよ!」

ぼく 「お願いします!」

—— はじめてのタロチェキコラボ!めちゃくち
   ゃこだわりをかんじるタロチェキさんらし
   いないようだったね!もちろん、キャメキ
   ャメはお母さんにたのんでかってもらう。
   ぜったいにね!

ぼく 「いやー、コラボの件上手くいくといいな
    ー!我ながらいいアイデアだったし!」

店員 「今日はお肉がお安くなっておりまー
    す!是非お買い求めくださーい!」

ぼく 「そうだ!今日は自分へのご褒美に、ハン
    バーグ作っちゃおっと!」

——   タロチェキさん、じつはりょうりするのが
   すきみたいで、ハンバーグはとくいりょう
   りのひとつみたいだよ!

ぼく 「ハンバーグたのしみだなー!そうだ、朝
    ごはん用にも何か買っておこっかな!」

女の子「はぁ...最近ついてないなー」

ぼく 「あれ?あの子って...タロギャルちゃんか
    な?どうしたんだろあんなとこで」

ギャル「あれ、タロチェキさん!」

ぼく 「やっぱりだ!タロギャルちゃんどうした
    のよ公園のベンチなんか座っちゃって」

ギャル「それが、お父さんと久しぶりに喧嘩しち
    ゃって。しかもそれだけじゃなくて、テ
    ストが最近あったんだけど、それも良い
    点取れなかったし、部活でもいい結果残
    せないし。とにかく悪いことが続いちゃ
    ってさ。」

ぼく 「それは落ち込んじゃうよね。よし!せっ
    かくこうやって話す機会が作れたわけや
    から、ちょっとしたアドバイスをしよう
    かな!」

ギャル「いつもありがとう...」

ぼく 「いいのいいの!悪いことが立て続けに起
    こるってことは、成長するタイミングだ
    ってぼくは思ってる!何事もそうだけ
    ど、失敗したり、経験をしないとわから
    ないことって沢山あるから!落ち込むこ
    とは悪いことじゃないよ、大事なのは落
    ち込んでから!このマイナスを自分でプ
    ラス思考にしていくの!これができた
    ら、マイナスなことが起ころうが、自分
    の都合の良いような解釈で気持ちが沈ま
    なくなるから、毎日楽しく過ごせるし、
    パフォーマンスが落ちることがまずない
    よ!」

ギャル「そんな簡単にできるのかなー」

ぼく 「ううん、簡単なことではないかな。た
    だ、この考え方ができるようになりたい
    なーって現時点で思えていれば、絶対に
    できる!」

ギャル「わかった!少しずつ考え方を変えてみる
    よ!ありがとうタロチェキさん!」

ぼく 「いいのよ!これがいいきっかけになった
    はずだから!これがすでに成長よ!」

ギャル「ほんとだ!普段こんなとこで落ち込むな
    んてしないもん」

ぼく 「ぼくも今日会社に呼ばれてなかったらこ
    こにきてないから!」

ギャル「いい流れになってるじゃん!こわっ!」

ぼく 「じゃあひとついい情報教えてあげる!」

ギャル「え、なになに?」

——   タロチェキさんは、こまっている人をたす
   けるばめんにそうぐうするのがとにかくお
   おい人だよね!これからもいろいろな人を
   たすけていくんだろうなー

ギャル「え?それほんと?」

ぼく 「提案が通れば確実だね!極秘よ?」

ギャル「絶対にほしい!まじで当てるわ!」

ぼく 「タロギャルちゃんには絶対に当ててほし
    い!ストラップとかつけれるように、穴
    あけとくけーさ!」

ギャル「まーじ?流石すぎんだけど!」

ぼく 「あ、待ってやばい!肉買ってたんだっ
    た!早よ帰らな、ごめんまた!」

ギャル「ちょっと、はよ帰って!助かったよ、い
    つもありがとうね!」

——   というわけで、さっそくハンバーグづくり
   がスタートしたみたいよ!

ぼく 「まーずは、挽肉ー!」

——   挽肉 でかいパックの半分くらい

ぼく 「これを袋に入れてっと、、、まずは味噌」

——   味噌 適当

ぼく 「つぎはー、バター」

——   バター 適当

ぼく 「生姜ー」

——   生姜 適当

ぼく 「インスタントコーヒー、、、いい匂い!」

——   コーヒー 適当

ぼく 「お酢はどうしようかなー、、、とりあえ
    ずいれとくか」

——   お酢 入れても入れなくても

ぼく 「パン粉は忘れずにー!」

——   パン粉 適当

ぼく 「1番大好きな調味料は絶対!」

——   ウーシャンフェン 適当

ぼく 「豆乳もいれよう!」

——   豆乳 適当

ぼく 「最後に卵をいれてー!」

——   卵 一個

ぼく 「よく混ぜたら、小判型にしてー、冷やす
    ことなく、熱したフライパンにおく!」

——   油はひつようないみたい!

ぼく 「片面をじっくり焼いてー、その時に塩コ
    ショウをふりかけるー!」

——   肉を見てかためんがいいかんじに色がつい
   てきたらフライ返しでもうかためんをやい
   ていくよー!

ぼく 「そうしたら、塩コショウをしてー、水を
    入れて蒸し焼きにする!」

——   これでやけたらかんせいみたいだよ!

ぼく 「そしたらー、同じフライパンにしょう
    ゆ、酒、みりんをすこしっついれて、タ
    レを作ってかんせーい!!」

——   ていうか、タロチェキさんひとりごとすご
   すぎない?いつもひとりではなしてるの
   か、こんどきいてみようかな!

   すう日ご...

ぼく 「一緒に写りますか?それとも結果単体で
    撮ります?」

男性A「単体の方がみやすいですもんね?」

ぼく 「そうですね!引くかたちになっちゃうん
    で!」

男性A「じゃあ単体でお願いします!」

ぼく 「わっかりました!」

男性A「ありがとうございました!また来ます
    ね!」

ぼく 「こちらこそー!覚えておくね!」

坊や 「タロチェキさーん!こんにちはー!」

ぼく 「お、坊や!ちょうどよかった!」

坊や 「ちょうどよかった?」

ぼく 「実はね、この後社長のとこ行くんだけ
    ど、ついてこない?もちろん社長は坊や
    のこと知っとるし大丈夫よ!」

坊や 「いきたい!でも、だいじなはなしなんじ
    ゃないの?」

ぼく 「だからこそよ!まあ、いいからついてき
    て!」

——   まさか、しゃちょうさんにあえるとはおも
   ってなかった!いろいろとはなせればいい
   なー!

ぼく 「社長!おつかれさまです!」

社長 「おつかれさまー!」

ぼく 「連れてきました!坊やです!」

坊や 「はじめまして!いろいろおはなしきかせ
    てください!」

社長 「きてくれたんだね!うれしいよ!早速な
    んだけど、タロチェキさんと坊やくん!
    コラボ決まったよ!」

ぼく 「承諾してもらえてよかった!」

社長 「でなんだけど、タロチェキカードの試作
    品を...」

坊や 「えー!ぼくもみちゃっていいんです
    か!」

社長 「もちろんだよ!あと、この試作品はタロ
    チェキさんのことをいろいろ書いてくれ
    てる坊やくんにプレゼント!」

坊や 「いいんですか?すごいうれしいです!あ
    りがとうございます!」

社長 「ただし、約束して!」

坊や 「なんですか?」

社長 「タロチェキ本を最後まで飽きても書き続
    けてほしい!」

坊や 「もちろんです!ちゃんと、さいごまでか
    きつづけますよ!」

社長 「ちゃんと最期まで書き続けてよね!おじ
    ちゃんとの約束だよー!」

坊や 「はい!カードありがとうございます!」

ぼく 「キャメキャメさんは今日はいらっしゃら
    ない感じですかね?」

社長 「試作品を見せたら、早急に話を進めま
    すって言って、なん時間か前に帰っちゃ
    ったよ!」

ぼく 「挨拶させてもらいたかったなー...」

社長 「キャメキャメさんもおんなじこと言って
    たよ!だから今度会いに行くってさ!」

ぼく 「なら、よかったです!」

社長 「とりあえずはこんなとこかな!」

ぼく 「わかりました!そうだ、坊や!」

坊や 「なーに?」

ぼく 「試作品もらったやろ?いい機会やから、
    占ってみるか?」

坊や 「うん!うしろのポケットにいれたい!」

ぼく 「よっしゃ!じゃあいこうか!」

社長 「坊やくん!」

坊や 「はい!なんですか?」

社長 「息抜きで、暇な時遊びきてよ!」

坊や 「やったー!ぜったいにいきますね!」

社長 「待ってるよ!またね!タロチェキさんも
    また!」

ぼく 「坊やに試作品の感想を伝えさせにいきま
    すね!それじゃ!」

——   すっごい、しあわせなじかんだったなー!

   次の日...

ぼく 「おっはよー!」

坊や 「おはようございます!」

ぼく 「じゃあ、早速だけど占ってみようか!」

坊や 「そうですね!まかせちゃいます!」

——   10分ご...

ぼく 「不思議やな...」

坊や 「そうですね、ぎゃくにおもしろい!」

ぼく 「小学生に向けての占いだと、この8運...
    まるで絡まないな!」

坊や 「たしかに!なやんでることもないし!」

ぼく 「せっかく発見できたから、これを機に新
    しいタロット展開を考えてみようかな」

坊や 「まじですか!めちゃくちゃたのしみ!」

ぼく 「わざわざきてくれたのにすまんね!」

坊や 「いいんですよ!ていうか、むしろよかっ
    た!タロチェキさんのレベルアップにた
    ちあえたのがうれしいんで!」

ぼく 「おれもめちゃくちゃうれしい!坊やに学
    ばせてもらったよ!」

坊や 「おたがいにいいじかんでしたね!」

ぼく 「そうやな!新しいの考えられたら、すぐ
    に教えるね!」

坊や 「それをポケットにいれます!」

ぼく 「そうしよそうしよ!」

——   次の日...

ぼく 「じゃあ説明するね!」

坊や 「まってまって!あの...かんがえつくのが
    はやすぎませんか?」

ぼく 「何言ってんのよー!タロチェキカードの
    案を出したのも、言われて10分そこら
    で出したくらいよ?坊やが帰ってすぐ
    に、ある程度考え終わってたよ!」

坊や 「やっぱり、タロチェキさんすごいや」

ぼく 「じゃあいくよ!」

——   こうして、あたらしくかんがえてくれたタ
   ロットてんかいで、はつ占いをしてもら
   い、カードのポケットにチェキをいれた。

   次の日...

社長 「坊やくんって、タロット1枚1枚に意味
    があることは知ってるよね?」

坊や 「もちろんです!」

社長 「そうだよね!愚問でした、なら...」

坊や 「なら?」

社長 「好きなタロットカードってある?」

坊や 「すきなカードかー...」

社長 「ぼくはあるの!聞いてくれる?」

坊や 「そうなんですね!きかせてください!」

社長 「ただし!ふたりだけの秘密ね?」

坊や 「それいいですね!やくそくですよ?」

——   社長のおはなしをきいて、ほんとうにタロ
   ット占いがすきなことがつたわってきた。
   このおはなしはまた、しかるべきときに...

   すう日ご...

キャメ「タロチェキさーん!」

ぼく 「キャメキャメさんですか!はじめまし
    て!コラボの件、ありがとうございまし
    た!」

キャメ「こちらこそですよ!すみません、ドタバ
    タしてて、挨拶が遅れてしまって...」

ぼく 「いえいえ!全然大丈夫ですよ!それよ
    り、売れ行きどうですか?力になれてま
    すか?」

キャメ「とんでもない売れ行きです!タロチェキ
    さんの人気が凄まじく影響してます!」

ぼく 「それならよかったです!一安心!」

キャメ「タロチェキカードの案も、社長さんに
    我々のコラボの話を聞いてすぐに思いつ
    いたみたいで...」

ぼく 「そうですね!不思議なことにパッと出て
    きましたね!」

キャメ「まだ発売して4日目なので、これからど
    んどん増えていくと思いますよ!」

——   はじめてのコラボは、もちろんだいせいこ
   うにおわりました!つぎはどんなコラボが
   じつげんするんだろうね!

   1年後...

山ティ「是非コラボ商品をだしたいんですが…」

ぼく 「社長!ぼくからもお願いです!」

坊や 「リーダー!チームペガサスでの初商品で
    すよ!」

社長 「そうなんだよね...わかってるのよ。わか
    ってはいるんだけどね」

——   半年前...

社長 「タロチェキさん、坊やくん!急に呼び出
    しちゃって悪いね!」

ぼく 「いえいえ全然!何かあったんですか?」

社長 「先程、山ティさんがこられてね」

ぼく 「山ティさんが!それで?」

社長 「山ティふぃるむの記念パーティにご招待
    を受けたのよ!」

ぼく 「やったじゃないですか!」

社長 「そのパーティの中の催し物で、3人1組
    で行うゲームがあるらしいのよ!」

ぼく 「社長、坊や、ぼくで、ちょうど3人って
    わけですね?」

社長 「そういうことなのよ!しかも、そのゲー
    ムで優勝したら、2泊3日の温泉旅館チ
    ケットがもらえるのー!」

坊や 「社長の目が見たことないくらい、光って
    るよタロチェキさん!」

ぼく 「温泉が好きだなんて知らなかったよ...」

社長 「もうこの3人で行くことは決めたんで、
    あとはチーム名をどうするかで楽しいお
    話し合いをしようと思ってね!」

ぼく 「社長のためならやったりますよ!」

坊や 「ぼくも同じくです!」

社長 「流石だ!ぼくが見込んだだけのことはあ
    るな!」

ぼく 「まずは、3人の共通点みつけますか!」

坊や 「かんたんなところだと、好きな〇〇か
    な?」

社長 「色は何がすき?」

社ぼ坊「青!ピンク!みどり!」

ぼく 「あかんね、つぎは動物!」

社ぼ坊「ゾウ!うさぎ!アライグマ!」

坊や 「ぜんぜんいっしょにならないんだけど…
    食べ物でいってみよ!」

社ぼ坊「冷やし中華!モンテクリスト!オムライ
    ス!」

ぼく 「ちょっと待って、バラバラすぎやしな
    い?」

社長 「麺、パン、米ってある意味すごいよ!」

坊や 「楽しくなってきましたねこれ!」

——   10分後...

ぼく 「生年月日教えてもらっていいですか?」

社長 「1966年の9月28日だね!」

ぼく 「えーっと...あ、いい感じだ!」

坊や 「ん?何をみてるの?」

ぼく 「坊やにかかってるよ!」

坊や 「2016年、8月の30日!」

ぼく 「うわー!」

社&坊「何!どうしたの!」

ぼく 「チーム名決まりました。」

社&坊「なになに?」

ぼく 「ペガサス!チームペガサスで!」

社長 「めちゃくちゃカッコいいじゃん!」

坊や 「やっぱりタロチェキさんはすごいや!」

社長 「どうしてペガサスがでてきたの?」

ぼく 「お教えしましょう!動物占いって知って
    いますでしょうか?」

坊や 「きいたことなーい!」

ぼく 「簡単に説明すると、生年月日をみるだけ
    で、この人はこういう性格で、相性がい
    いのはこの人かもっていうのがわかる占
    い方法なのね!もちろん、性格相性以外
    にもたくさんあるよ!」

社長 「そんなものがあるんだね!知らなかった
    よ!それでそれで?」

ぼく 「動物が12体いて、その中にも4つに分
    けられるんだけど、3人ともペガサスだ
    ったの。これはまじでやばいと思う!」

坊や 「さすがだねタロチェキさん!」

ぼく 「自分が1番びっくりしてる!」

社長 「チームペガサスでエントリーするね!」

ぼ&坊「たのしむぞー!」

——   というわけで、そのイベントでゆうしょう
   しちゃったってわけなの!

ペガ 「ぼくたちのチェキをだしたい?!」

山ティ「そうです!このタイミングしかないと思
    って!」

社長 「温泉旅行かコラボするかどっちかってこ
    とですよね?」

山ティ「そうなります!もちろん、どっちを選ん
    でいただいても構いません!」

ぼ&坊「コラボさせてもらいましょうよ!」

社長 「でもなー...温泉いきたいなーとも思...」

ぼ&坊「コラボさせてください!」

社長 「はい、お願いします...」

ぼく 「社長!ほら、元気出してよ!」

——   こうして、チームペガサスとしてのコラボ
   が決まった。

   すう週間ご...

ぼく 「社長!」

社長 「どうしたの!」

坊や 「おんせんりょこう!ペガサスで行きまし
    ょ!」

社長 「え!なになに!」

ぼく 「コラボも無事終えたことですし、社長に
    は当然のことながら感謝してますので、
    是非ともお預け状態だった温泉に行こう
    ではないかと!」

社長 「うれしいよー!ありがとーよー!」

坊や 「今回行くおんせんは、へやにろてんぶろ
    がついているタイプです!」

社長 「いいねー!3人でワイワイできるね!」

——   1週間後...

社長 「いやー、最高だよ!」

ぼ&坊「喜んでもらえてよかったです!」

坊や 「タロチェキさんが、なんか今行かなきゃ
    いけない気がする!って声かけてくれた
    んです!」

ぼく 「理由は特にないんですけど、なんか早く
    しなきゃいけない気がして!」

社長 「とにかく最高!いっぱい楽しもうよ!」

ぼ&坊「もちろんでーす!」

社長 「2人に出会えて、本当に幸せだったよ!
    ありがとう!」

ぼく 「社長!酔うとそんな感じなんですね!ぼ
    くも坊やも、なんなら大家のおばあちゃ
    ん、坊やのお母さん、みーんな!社長に
    感謝してますよ!ありがとうはこっちの
    セリフです!」

坊や 「そうですよ!学校のしゅくだいで、物語
    を書くのがでてなかったらぼくはタロチ
    ェキさんと話せてないです、ほんとうに
    よかった!ぼくをやさしくうけいれてく
    れて、ほんとうにありがとうございま
    す!いっしょうの思い出です!」

社長 「もー、泣いちゃうじゃんよー!」

ぼく 「いっぱい泣いてよー!そういう場ですか
    らー!ほら、もっと呑んでください!」

社長 「よっしゃ!おかわりもらっちゃおっか
    な!」

坊や 「ぼくはラムネくーださーい!」

ぼく 「ほんと小さい時からすきやなラムネ!」

社長 「じゃあ、ジンギスカン頼んじゃうか!」

ぼく 「いや、ラムね!ていうかメニューにない
    から!」

——   この1週間後、社長は帰らぬ人となりまし
   た。最期まで笑っていたみたいです。

...真っ白な葬儀場に満点の青空。

ぼく 「社長。ぼくはあなたに出会えてよかっ
    た。偶然ではなかったと思います。ぼく
    に声をかけてくれたこと。一緒に仕事を
    したいと言ってくれたこと。そう思って
    くれたこと。全てが必然だったんだと、
    そう思っています。もちろん寂しいで
    す。ただ、それ以上にあなたとの楽しか
    った想い出が蘇ります。ぼくだけじゃな
    く、坊やも同じ気持ちだと思います。た
    くさんの関係者がいま、この場にいま
    す。みなさん泣いていらっしゃいます。
    ただ、みなさんの顔は上を向いていま
    す。きっと、ぼくや坊やと同様に、沢山
    の幸せな想い出が蘇ってくるんでしょ
    う。あなたの人柄からもそれが伺えまし
    た。たくさんの愛に見守られている社長
    が羨ましく思うと同時に、あなたに追い
    ついて、並んで歩きたい。そう思いま
    す。貴重な時間を共に過ごせて、ほんと
    うによかった。社長!あなたが大好きで
    す!坊やに変わります。」

坊や 「社長、ちょーっとだけ手を動かします
    ね。あの時お話ししたこと、ずーっとお
    ぼえてますよ。なので、自分の気持ちも
    こめて、これをおかせてもらいます。ぼ
    くからは、これでおわります。ほんとう
    にありがとうございました!チームペガ
    サス。えいえんに。いつでも戻ってきて
    ね、リーダー。」

——   いつかの社長室...

坊や 「なんのカードですか?」

社長 「大アルカナの死神が1番すきなのよ!」

坊や 「しにがみのカードがすきなんですか!」

社長 「そうなの!理由ももちろんあってさ。見
    た目や名前に反してめちゃくちゃいいカ
    ードなのよ!」

坊や 「たしか、くぎりのカードでしたよね!」

社長 「そう!正位置が【終わりや別れなど、
    スッパリと切れるものがある】、逆位置
    が【状況が一変して、生まれ変わる】」

坊や 「ほんとだ!見た目となまえとちがう!」

社長 「でしょ?特に逆位置が好きなの!」

坊や 「ふたりだけのひみつですね!」

社長 「そうだね!内緒ね!」

——   なにごともなかったかのように、もどって
   きてくれるはずだよね。社長だもん。

   2日後...

ぼく 「坊や!見てほしいものがあってさ!」

坊や 「なになに!」

ぼく 「実は、絵を描くのがすきなんだけどね」

坊や 「そうだったんだ!」

ぼく 「このカードみてみて」

坊や 「え...タロチェキさん、どうして」

ぼく 「ふたりだけの秘密だなんて、ずるいじゃ
    んよ!たまたま社長に用あってさ、こっ
    そり外で聞いちゃったの!」

坊や 「最高のカードですねこれ。ぼくの大好き
    なタロットカード決まりました。」

ぼく 「生まれ変わってくれたみたいだね!」

——   この日から、タロチェキさんの使うタロッ
   トカードに死神はなくなった。ただし、見
   た目と名前だけね!

   次の日...

ぼく 「おっ!出た!」

女性C「もしかして、いいカードなんですか!」

ぼく 「いいなんてもんじゃないですよ!世界に
    1枚しかないんだから!」

女性C「世界に1枚!すごすぎじゃないですか!
    なんていうカードなんですか?」

ぼく 「このカード【ペガサス】って言って…」

——   チームペガサスはえいえんに。


らぶこーる


...ピピピッ ピピピー ピピピッ ピピピー。

ぼく 「はわぁー、よく寝た」

...仕事の日は、毎朝5時には布団から出る。

ぼく 「さーて、今日はなにを食べよっかな
    ー!ご飯にするか、パンにするか...」

...と言いながら、手には納豆を持っている。

ぼく 「よし、今日も仕事たのしむぞー!」

——   申し遅れました!ぼくは保育士をしていま
   す!社会的にみて、男性保育士はとにかく
   少ないです!ただ、そんな職業だからこそ
   毎日楽しむことを忘れてません!

ぼく 「おはようございます!」

園長 「おはようございます!今日も楽しもう
    ね!よろしく!」

——   今日も、いつもと変わらない日々を過ごせ
   ると思っていました。ただ今日は、いや、
   今日から、不思議な時間になりそうです。

子供A「せんせいおはよー!」

ぼく 「おはよー!あら、かわいいピン留めし
    て...って。」

子供A「ピンどめ?なんのこと?」

ぼく 「ごめんごめん、なんでもないよ!」

——   明らかに、見えてしまったんです。ピン留
   めかと思って見たものが、赤いバンダナを
   して、羽を生やしている、小さな小さな...
   人だったんです。笑ってたんです。自分で
   も今、何を言ってるんだかわからないんで
   す!お化けの類は見たことないんです...

母親B「先生、おはようございます!」

ぼく 「あ、はい!元気です!」

母親B「先生?どうしました?」

ぼく 「あ、あ、おはようございます!ごめんな
    さい、急に変なこと言っちゃって!」

母親B「もしかして、なんか考え事してるんじゃ
    ないのー?いくらでも話きくからね!」

ぼく 「近からず遠からずです!あはは...」

母親B「そう言えばさ、前教えてくれた料理!作
    ったけど、すんごい美味しかったよ!」

ぼく 「ほんとですか!よかったー!」

子供B「おいしかった」

ぼく 「あら、食べてくれたの?」

母親B「美味しいおいしいって言って1番食べて
    たよ、うちの子供が!」

ぼく 「それならよかった!ぼくの大好物なんで
    すよ!」

——   やっぱり、この子にもついてた。ただ、こ
   の子についてるのは、バンダナがなくて服
   の色だけの小人だった。青色の小人だ。

   そして、子どもたち全員が来た。色がバラ
   バラ、バンダナもしてるしてないがいる。
   このままじゃ埒が開かないので、みんなの
   お昼寝のタイミングで小人達に声をかけて
   みることにする。

ぼく 「すみませーん...」

小人 「…」

ぼく 「聞こえてますよねー...」

小人 「…」

ぼく 「目が合っちゃってるじゃんかー...」

小人 「…え、もしかしてみえてるの?」

ぼく 「うん、色までしっかりみえてる...」

小人 「ほんと?他の天使も?」

ぼく 「うん。おそらくだけど、ここにいる子ど
    もの人数分みえてる...って、天使?」

天使 「そう!ぼくは赤天使!」

ぼく 「赤天使?」

赤天使「しかもバンダナついてるでしょ?」

ぼく 「ここにいる赤色の中では、君しかつけて
    ないよね?」

赤天使「よく気づいたね!そうなの!ぼくはこの
    中の赤天使のリーダーなのだよ!」

ぼく 「リーダー?」

赤天使「今見たいに、ぼくたちが見える人に出会
    ったらこうして話すのが、天使界のルー
    ルなわけなんだけど...」

ぼく 「ん?ん、ちょっと待って!いろいろ引っ
    かかるよ赤天使くん!」

赤天使「まあいいから!最後まできいて!」

ぼく 「そうだね、ごめんごめん!」

赤天使「こうして、話しかけてきたら、話さなき
    ゃいけないんだけど、バンダナをつけて
    ない天使は、喋れないの!人間言葉を覚
    えてないの!まずここまでいい?」

ぼく 「おっけい!大丈夫!」

赤天使「そして次に、なんで天使が急に見えるよ
    うになったのかなんだけど...」

ぼく 「うんうん...」

赤天使「それに関しては全くわからない!」

ぼく 「いや、わかんないのかよ!」

赤天使「それは置いておいて、なぜ天使がいるの
    か!それは、小学校に入るまでの子ども
    に、個性を作るため!簡単に言えばだけ
    どね!詳しく話すとちょっとややこしく
    なっちゃうからさ!」

ぼく 「じゃあ、その話は最後に話してほしい!
    次は色の説明お願い!」

赤天使「おっけ!色ね!今見てわかるように8色
    あると思うのよ。【赤、黄、青、緑、
    黒、白、紫、ピンク】これが全色ね!」

ぼく 「個性をつけるためって話だから、全部の
    色に意味があるってわけね?」

赤天使「話が早いね!その通り!これもまたひと
    つひとつ話すと面倒くさいから、また今
    度話すね!」

ぼく 「わかった!」

——   あっという間にお昼寝の時間が終わってし
   まい、気になることがまだある状態で、今
   日の天使との会話ができる時間は終わって
   しまった。

   次の日...

   天使たちと出会ってまだ2日目。天使が何
   をしてるのかも詳しくはわからないし...と
   いうかまず、どうしてみえるようになった
   のかさえわかっていない。ただ、すでに違
   和感がなくなってきている。

ぼく 「天使さーん...」

赤天使「おはよー!」

ぼく 「お昼寝の時間だけどね...」

赤天使「たしかにそうね!」

ぼく 「ほんと元気だね...」

赤天使「もちろんだよ!だって赤色だよ?」

ぼく 「そうだ、今日はそれ聞かせてよ...」

赤天使「ぼくらの8色についてのことだよね!」

ぼく 「それそれ...」

赤天使「まず赤は、8色の中で1番強い力を持っ
    てるの!人としての魅力を引き出してい
    くのは得意分野だね!他人の魅力を引き
    出す力も合わせてね!」

ぼく 「まさに赤天使さんって感じだね...じゃあ
    さ、赤天使さんがついた子には、その力
    が加わるってことなの?...」

赤天使「それがちょっとややこしいところなんだ
    よね!」

ぼく 「じゃあわかった...色はそれぞれに意味が
    あるってので理解したから、そのややこ
    しいってところを教えてほしいな...」

赤天使「端的に言うと、天使の存在はあくまで付
    属品で、それを使えるか使えないかは小
    学校に入るまでの歳の子達の力次第って
    こと!」

ぼく 「確かに仕組みはややこしいね...各々の天
    使が全力尽くしても、変わらない子は変
    わらないってことだよね?...」

赤天使「例えるとさ、鉛筆みたいなんだよね!生
    まれてから小学生になるまでは角ばった
    状態なわけで、あ、削ってないからって
    ことね!そこからは、ひとりひとりがど
    こまで削ったら文字が書きやすいか、自
    分に合ってるかをみつけるわけなの!そ
    こに僕たち天使が各々の持ってる力をア
    ドバイスって形で渡していく感じになる
    んだよね!わかった?」

ぼく 「おもしろい例えだね...でも、なんでか今
    の例えでわかった感じはするね...」

赤天使「ほんと?よく例えがわかりにくいって言
    われるからさ、なんか嬉しいな!」

ぼく 「実はぼくも全く同じで、例えわかりにく
    いって言われちゃうから、赤天使さんは
    ぼくと似た匂いがするね...」

赤天使「あ、そう言えばだ!実は昨日、きみのこ
    とを調べてみたんだよ!そしたらさ、赤
    色の天使が付いてたみたいなんだよ!」

ぼく 「え?そうなの?...」

赤天使「しかも、ぼくのおじいちゃんが担当して
    た!すごい偶然じゃない?」

ぼく 「嘘でしょ?...すごすぎるね...」

赤天使「だからね、わざわざおじいちゃんに当時
    のこと覚えてるかって聞いてみたの!」

ぼく 「もう何十年も前だよ?...」

赤天使「そしたらさ、ちゃんと覚えてるって言う
    んだよ!なんせ、きみの力が強すぎて、
    何もできなかったって言うんだから!」

ぼく 「自覚はあるよ...とにかくわがままで言う
    ことも聞かないし、当時は謝ることが嫌
    いだった覚えもある...」

赤天使「おじいちゃんの言ってたとおりだ!ほん
    とうに鉛筆を削るのが早かったみたい
    で、芯が折れるギリギリくらいまで削っ
    ては、すぐに使って、先端が折れたり丸
    くなったりしたら、すぐに削っての繰り
    返しだったみたいだね!」

ぼく 「おっしゃるとおりです...」

赤天使「ただ、おじいちゃんこんなこと言ってた
    よ!」

ぼく 「なになに...」

赤天使「もう、真逆の人間になってるんじゃない
    かなって!」

ぼく 「というのは...」

赤天使「おじいちゃんっていう赤天使が付いてた
    って言うのももちろんあるとは思う!そ
    れとは別に、持って生まれたものがなに
    か他と違う気がしてたみたいだよ!」

ぼく 「君のお祖父様の力だと思うよ...どこか自
    分の中にあるものが赤天使さんに近い気
    がするって思うのも、恐らくね...」

赤天使「おじいちゃんが鉛筆の例えを教えてくれ
    たの!【鉛筆は、1ダースある。種類は
    人それぞれ。ふつうの黒い芯だけのもあ
    れば色鉛筆も。使い切らなければ新しい
    型には辿り着かないし、見えぬ世界を見
    ぬまま時が止まる。】って!」

ぼく 「素敵な考えだね...心に響くよ...」

赤天使「ぼくもこれを聞いて感動しちゃってさ、
    以来ずっと鉛筆の例えを使ってるの!」

ぼく 「お祖父様が仰ったことを軸に考えると、
    ぼくは鉛筆をよく削ってた、故に元から
    持っていたダースとは違う型に辿り着く
    スピードが他人よりも早い。チャンスも
    多い。ってことだよね...」

赤天使「そういうこと!おじいちゃんが天使とし
    て付いていたからこそ感化されたんだと
    思うよ!ちゃんとおじいちゃんの力を受
    け取ってたんだね!」

——   だが、お祖父様との記憶はまるでない。

   時は、半年後...

   半年も経つと、天使さん達への愛着が湧い
   てくる。あの子、最近ちょっとずつ言葉だ
   ったり動きだったりが変わってきているな
   と感じることがある。あと、これに関して
   は明らかにそうだろうと思ったこともあ
   る。何人かの子は、自分達に付いている天
   使さんを見て、喋りかけていた。

ぼく 「いやー、晴れてよかった!明日明後日も
    雨は降らないみたいだし!ちょっとした
    ことだけど、やっぱり嬉しいねー!」

——   とある休日のお話を。3連休をもらったの
   で、ずっと行ってみたかった遠方のとある
   場所に行く計画を立て、ついに当日です。

ぼく 「荷物はおっけいだね、よしおっけい!
    で、時間も余裕あるよー...ねっ!あとは
    切符と電気もろもろと、あとは、なんか
    忘れてないかなー、大丈夫そうやね!じ
    ゃあ、行ってくる...いや、水回りは一応
    ね、水流しとくか!」

——   今回みたいな旅行じゃなく、ちょっとお出
   かけするくらいでも、この独り言点検は欠
   かせません。あ、そう言えばそうでした!
   今から何をするのかを全く説明してません
   でしたね!今回は久しぶりの旅行というこ
   とで、2泊3日の旅をします!先程お伝え
   した、とある場所には2日目の早朝に行く
   予定です!そして、1日目と3日目は何も
   決めておりません!その時にしたいことを
   する予定で、2泊3日を楽しみたいと思っ
   ております!長々と説明失礼致しました。

   そして時は、2日目朝です...

ぼく 「よしよしよし!昨日はやく寝てよかっ
    た!急いで支度しなくちゃ...はわぁー」

——   ずっと行きたかったとある場所。それは山
   奥にある神社でした。最寄駅から山道を歩
   いていきます。普段からお詣りはするので
   すが、必ず早朝に行くというマイルールが
   あるので、今回の旅は2泊3日が必須事項
   でした!

   始発で最寄駅に到着...

ぼく 「すみませーん!」

男性 「はい!どうされました?」

ぼく 「ここにくるのが初めてで、もしよろしか
    ったらで大丈夫なので、一緒に行っても
    らっても...」

男性 「是非是非!一緒に行きましょ!」

ぼく 「ありがとうございます!」

   「普段からよく来られるんですか?」

男性 「1年前に初めて来たんですけど、それ以
    来この場所が大好きで、半年に1回、神
    様とお話をしに行ってます!だから今日
    で3回目ですね!」

ぼく 「そうだったんですね!どこか他の場所と
    は違う空気感ですよね...」

男性 「それをいま感じてるなら、お詣りし終わ
    った時、ニッコニコしてると思うよ!な
    にせぼくがそうだったから!」

ぼく 「もしかして、毎回始発ですか?」

男性 「そうそう!マイルールって感じかな!」

ぼく 「一緒です!ぼくもよくお詣りするんです
    けど、電車で行かなきゃいけない時は決
    まって始発なんです!」

男性 「偶然ってあるんですね!」

   「ん?って言うことは...」

ぼく 「どうされました?」

男性 「ううん!なんでもないよ!」

   「いろいろ質問してみてもいいかな?」

ぼく 「是非!なんでも!」

男性 「好きな動物って何?ぼくはキリン!」

ぼく 「ブタですかね!」

男性 「そうかそうか!次は好きな色!」

——   男性の表情は、駅前のときよりも笑顔にな
   っていて、とても喜んでいるように感じ
   た。怒涛の質問攻めで気がついたら本宮の
   鳥居が姿を現していた。

男性 「たくさん質問に答えてくれてありがとう
    ね!色々知れてよかった!」

ぼく 「こちらこそ、楽しかったです!」

男性 「じゃあ、ここからは時間差でお詣りしよ
    うか!先行っていいよ!ぼくからしたら
    お客様みたいなものだし!」

ぼく 「お言葉に甘えさせていただきます!」

——   灯籠に見守られながら階段を登っていく。
   手水舎で心身を清める。清め終わって気づ
   く、ハンカチを忘れていた。そこに、先程
   の男性が階段から上がってくる。

ぼく 「すみません、ハンカチ忘れちゃって」

男性 「おけおけ!せっかくだし、これはプレゼ
    ント!大事に使い続けてよねー!」

ぼく 「いいんですか!ありがとうございます!
    お兄さんのこと絶対忘れません!」

——   お兄さんから黄色のハンカチをもらった。
   ここで出会ったのも何かの縁なのかな...な
   んて思ったりして。神様に挨拶をする前
   に、すでに幸せな気持ちが溢れてきた。

ぼく 「お兄さんが行きで言ってた、ニッコニコ
    になってるよの意味がわかった。口角が
    上がりっぱなしだ!」

男性 「もしかして、待っててくれたの!あ、す
    んごいニコニコしてるじゃんよ!」

ぼく 「絶対にまた来ます!この場所が大好きに
    なりました!お兄さんがいたからこそで
    もありますよ!ありがとうございまし
    た!」

男性 「好きになってくれて嬉しいよ!どう?こ
    のあと軽くご飯でもいかない?」

ぼく 「行きたいです!行きましょ!」

——   今回の2泊3日の旅、【早起きは三文の
   徳】を、どんなことよりも感じるいいきっ
   かけになりました。にしても、あの男性、
   すごい不思議な雰囲気なんだけど、どこか
   安心感のある、とにかく異様な方でした。

   時は経ち...

   3月中旬。いつもなら、もう1年経ったの
   かと無の感情が流れていくのを感じる。と
   いう発言ができている今、そうじゃないこ
   とを不思議に感じながら懐かしさに浸る。

赤天使「たぶんそろそろお別れなんじゃないかな
    って思ってる。今日、急に悲しい気持ち
    になったから。」

ぼく 「そういうタイミングで来るものなんだ
    ね...」

赤天使「たぶんなんだけど、君が自分のことを詳
    しいところまで知ることができて、何も
    変わってはいないけど、新たな君になれ
    たからなんだと思うよ!最近、いろいろ
    君に聞いたじゃん?君はどういう人だと
    思う?的なやつ!」

ぼく 「君のことを知りたいからって言って聞い
    てきたやつね...」

——   不思議な出会いから一年足らず。そのうち
   に幾度となく、ありとあらゆる質問を受け
   て、自分自身を探る時間と見つける時間。
   今思うと、とても大切な時間だった。毎日
   を楽しく感じられていた。

赤天使「もし自分がグループのメンバー、何人組
    でもいいんだけど、その中にいて、順位
    をつけられるとしたら、何位の位置にい
    たい?」

ぼく 「すごい質問だね...」

   「そうだなー、1番下かな...」

赤天使「ほうほう!理由はある?」

ぼく 「自分が1番下ってことは、グループの底
    が自分の力ってことになるわけで、個が
    強くなればグループの強度が上がるって
    いう、言わば縁の下の力持ちになれるか
    らかな!動かすことが出来るから!...」

赤天使「たしかに!よく考えられてるし、自分を
    ちゃんと理解してるんだね!」

ぼく 「自分の成長が見易いことが、ぼくの中で
    は安心に繋がるんだと思う...」

——   また、ある時は...

赤天使「苦手な人物像ってどんな人?」

ぼく 「結構あるよ...人と話すことは好きだけ
    ど、人は好きじゃないから...」

赤天使「そうだったの?ちょっとどんな人が苦手
    か言ってみて!」

ぼく 「まずは自分の価値観とか好みを他人に押
    し付ける人はダメだね...」

赤天使「なるほどね!理由とかはある?」

ぼく 「もちろん...自分が見てる世界が全てだと
    思ってるから押し付けられる。他人の意
    見を聞いて、自分にはない発想だって感
    心することを諦めてるように思えて可哀
    想な人なんだなって感じちゃう...」

赤天使「君って、人に対して嫉妬とかしない?」

ぼく 「全然しないね...自分にないもので、優れ
    ているものを持っている人をみると、勉
    強になるなーとか、その考えを今自分が
    持ってるものと組み合わせたらまた違う
    ものになるんじゃないかなって、力を吸
    収しようとしちゃうから、むしろそうい
    う人に出会えたり、知れたりすると嬉し
    い気持ちになるかな...」

赤天使「上手く言語化できてるね!いい感じよ!
    他にはある?」

ぼく 「人を数字で見てる人かな...」

赤天使「というと?」

ぼく 「年齢とかであーだこーだ言う人いるでし
    ょ?歳上、歳下だからーってさ...そうい
    う人が無理だね...またこれをいい歳した
    大人が思ってるから考えられないんだよ
    ね...」

赤天使「さっきより熱が入ってるね!詳しく聞か
    せてよ!」

ぼく 「年齢ってふたつあるよね。精神年齢って
    ものがさ。外面の年齢って言うのは、言
    わば精神年齢の上限だと思うんだよね。
    どれだけ歳を取ろうが、何も考えずに生
    きてたら絶対に人としての成長はしてな
    い訳なのよ。その成長って言うのが精神
    年齢だと思ってる...」

赤天使「つまりは歳を気にしている、人を数字で
    見ている人は、成長が幼い時のままで止
    まってる可哀想な人って訳だね!」

ぼく 「そういう風にぼくは他人を見てるね...」

——   おそらく、自分の思想を言葉にしたこと
   で、より一層、自身を理解できた。

ぼく 「赤天使さんはこれからどうなっていく
    の...」

赤天使「今付いてる子が小学生になったら、君と
    同様にお別れをして、また違う子のとこ
    ろに向かうって感じだね!」

ぼく 「赤天使さんは、人のことをどう思ってい
    るの...」

赤天使「宝物だよ!全員が全員輝いてるんだも
    ん!ぼくたち天使は、その手入れを最初
    のうちにしてるだけ!」

ぼく 「素敵な考えだね...勉強になるよ...」

赤天使「そうだ!ぼくのこの赤いバンダナ!あげ
    るよ!」

ぼく 「嬉しい...ありがとう...一生大切にす
    る...」

赤天使「その代わり、絶対ぼくのこと忘れないで
    よね。」

ぼく 「当たり前じゃん...泣かないでよ...泣いち
    ゃうじゃんか...じゃあまたね...」

赤天使「元気でね!」

   「ピピッ...らぶこーる、終了しました。」

——   赤天使さんと出会って、【時間は大切にす
   るだけじゃダメ。記憶に残せなければいけ
   ない。】ということを痛感した。

...ピピピッ ピピピー ピピピッ ピピピー。

ぼく 「はわぁー、よく寝た。」

...目を覚ますために顔を洗う。

ぼく 「すっきりー!ってあれ、そうだった。タ
    オル洗濯しちゃったんだった!」

...机に置いてあった見慣れない赤いバンダナで、
 顔を拭いた。


戯曲


- 一重 -

...陶器の割れる音が響く。

ぼく 「何をやっているの?」

黒い靄「君は、こんなことを他人が言っているの
    を聞いたり、自分でふと思ったりしたこ
    とはないかな?」

ぼく 「なになに?」

黒い靄「前世ってなんだったと思う?来世は何に
    なりたい?死んじゃったらどうなるんだ
    ろう?って」

ぼく 「何度もある!」

黒い靄「俗に言う、死後の世界ってやつだね!」

ぼく 「...ん?俗に言うってことは、そうじゃな
    いってこと?」

黒い靄「するどいね!そうそう!もちろん、死後
    でも間違いじゃないのよ!ただ、ここに
    いる皆んなさ、ポジティブすぎるところ
    があるじゃないよ?」

ぼく 「ぼくがここにいる理由も、まさにだもん
    ね!」

黒い靄「そういうこと!...って言うのもあるし、
    こっちの仕組みを知ってるし、やってる
    の私らだからさ、余計に使わないわけ
    よ!」

ぼく 「なるほどね!それで仕組みって言うの
    は?」

黒い靄「物にも魂が宿っているって言う言葉は、
    聞いたことあるんじゃないかな?物を大
    事にしなさいよーって!」

ぼく 「もちろんあるよ!」

黒い靄「って言うことなんだよ!わかった?」

ぼく 「えっとね...難しい!」

黒い靄「そりゃそうよね!じゃあ説明するよ?」

ぼく 「よろしく頼みます!」

黒い靄「人間や動物、植物のように、目に見えて
    生きているってわかる命は、死んでしま
    ったら、何かない限り、再び先程言った
    存在には戻れません!」

ぼく 「はい!」

黒い靄「じゃあどうなるの?って話!私らは、と
    にかく何事も楽しみたい!ということ
    で、亡くなった方が次、何に生まれ変わ
    るか、カードを使って、ゲーム感覚で決
    めます!」

ぼく 「なんだって?」

黒い靄「ほんとなのよ!3枚から5枚、テーブル
    にカードが裏向きで出てくるわけ!その
    中から1枚、私らが決めて、めくったカ
    ードに描かれていたものに、次の魂とし
    て送り込まれるわけ!」

ぼく 「なんだその仕組み!すごい興味湧くんだ
    けど!もっと教えてよ!」

黒い靄「それで、私らが決めたものに魂を送り込
    んだら、一切の記憶もない状態って感
    じ!」

ぼく 「なるほどね!それで、お皿を割ってたの
    は何をやってたの?」

黒い靄「それはもちろん、新たに魂を送ったんだ
    よ!」

- 二重 -

...何やら勝鬨をあげている。

赤い靄「よっしゃきたきた!」

白い靄「あの反応は何回見ても堪らないね!」

ぼく 「何してるの?」

赤い靄「【チーター】見てみ?」

白い靄「そこの子らがさ、じゃんけんしてたのを
    ちょっと遊ばせてもらって、言い出しっ
    ぺを負けさせたの!」

ぼく 「それよくあるやつじゃん!あの現象っ
    て、ここからやってたの?」

白い靄「そうなのよー!」

赤い靄「ただ、もちろん【チーター】がないと遊
    べないからさ、このタイプのじゃんけん
    が同タイミングで起こっちゃうと、どっ
    ちかのじゃんけんは"言い出しっぺ負け
    あるある"が出来ずに終わっちゃうのよ
    ね!」

ぼく 「たしかに!言い出しっぺ以外が負けるこ
    ともたまにあるから、その時はどこかで
    全く同じことをやってるってことなん
    だ!」

白い靄「そうそう!面白いでしょ?」

ぼく 「めちゃくちゃ面白い!」

...パリンッ

- 三重 -

...何やら高声をあげている。

青い靄「あー!また言った!」

ぼく 「何なに!どうしたんですか!」

青い靄「これみてよ!よくこんなこと言えるよ
    ね!もうこんなやつしらないもんね!」

——   半透明の、どちらかと言えば分厚い板に謎
   の空間。文字も浮かび上がっている。

ぼく 「なんだこりゃ!」

青い靄「これはね、君の住む世界をどんな場所で
    も見ることができる板なのよ!みんなで
    【チーター】って呼んでるよ!分厚い板
    なだけにね!」

ぼく 「【ぶあちいいた】ってこと?」

青い靄「そういうこと!言葉遊びだね!...って言
    うのもあるし、不思議としっくりきたん
    だよね!」

ぼく 「この板に...あ、【チーター】にも、ぼく
    たちみたいに命があったりして!」

青い靄「そうかもしれないね!」

ぼく 「黄の靄も【チーター】持ってたけど、何
    頭いるの?」

青い靄「頭で数えるなんて流石だね!いい質問!
    全部で7頭いるの!ただ、その一頭一頭
    で出来ることが違うから、【チーター】
    をみんなで譲り合って遊んでいるんだ
    よ!」

ぼく 「なるほどね!」

青い靄「それで、私が今使っていたのは、神様関
    連のマイナス発言をした人に意地悪する
    ことができる【チーター】だよ!」

ぼく 「意地悪の度合いは?」

青い靄「ちょっとしたことよ!運勢を悪くする
    の!」

ぼく 「それはいい調整だね!悪口言ったから、
    どんどんついてないなーってなってくる
    わけなんだ!納得!」

青い靄「君は、自分自身めちゃくちゃ運いいなー
    って思ってるでしょ?」

ぼく 「もちろんだよ!神様に見守られてなきゃ
    こんな巡り合わせないでしょって思える
    くらいにね!」

青い靄「黄の靄のお気に入りだから当然よ!」

...アーッハッハッハー

- 四重 -

黄の靄「じゃあ、仕組みを先に教えておくね!」

ぼく 「教えてほしい!」

黄の靄「3人を会わせないように、こっちで調整
    してるのよ!」

——   何かしらをちょんちょんと触っている。

ぼく 「なんで会わせないようにするの?」

黄の靄「それが、全く何の意味もないの!仮に会
    っちゃったとしても、何も起こらない
    し!かと言って、こっちが無理やり会わ
    すことにメリットもないから、なんとな
    く、バラバラで生きていてもらおっかー
    って感じになったわけ!」

ぼく 「ドッペルゲンガーに会うと死んじゃうみ
    たいな話は?」

黄の靄「そんなこと全くないよ!それでほんとう
    に死んじゃってる例があるなら、たまた
    まよ!」

ぼく 「じゃあ会えるの?」

黄の靄「もちろん!会いたいんでしょ?君の頼み
    なら会わせてあげるよ!」

ぼく 「ありがとう!めちゃくちゃたのしみ!」

黄の靄「1人はね、近いうちに自然と会える未来
    が見えてるから、こっちでいじらなけれ
    ば大丈夫だ!もう1人はね...」

- 五重 -

...薄暗い世界に、黄色い影が忙しなく動く。

ぼく 「っん、な、どこ、ここ。ん?」

黄の靄「あー!気がついてくれた!おはよう!」

ぼく 「うわっ!何、どこからよ!」

黄の靄「そうかそうか!いまさ、黄色い影みえて
    る?」

ぼく 「うん、みえてるよ?」

黄の靄「そこから!」

ぼく 「そういうことね!もう慣れたから大丈
    夫!説明ありがと!」

黄の靄「早速!君をここに呼んだ理由を話すよ!
    いいね?」

ぼく 「わかった!」

黄の靄「ポジティブすぎる君と交流してみたかっ
    た!ただそれだけ!」

ぼく 「なんか、ぼくと同じにおいがする!」

黄の靄「ここにいる皆んな、君と一緒で、なんで
    も楽しくしようとするポジティブマンな
    んだよ!だからここに呼んだの!」

ぼく 「呼んでくれてありがとう!この時点です
    ごい楽しいよ!」

黄の靄「どう?何か聞きたいこととかなーい?頼
    みごとでも何でも!」

ぼく 「考えたらいろいろあると思うけど、いま
    パッと浮かんだのは、ドッペルゲンガー
    に会いたい!」

...適当に閉めたカーテンから、差し込む光。

ぼく 「初めて見た夢だった気がするなー、すご
    い楽しかったのは覚えてるんだけど...」

——   いつになく不思議な記憶。特に予定もなか
   ったはずだったのだが、気がつくと身支度
   を終えていた。隠しに小銭が入っているこ
   とを確認しながら、大きな扉を肩で押す。

- ゆらぎ 完 -

~ あとがき ~

この三作は「繋げよう」として繋がったわけではなく、気づいたら互いの余白に手を伸ばしていた。

人間関係みたいなもの。

始まりと終わりが一気に浮かんで、その間を歩きながら世界が勝手に生まれていく。

私がやっているのは、浮かんでくる“違和感”をひとつずつ拾って並べること。

好きな人は勝手に寄ってくるし、合わない人はそっと去っていく。

物語って、本来それくらい雑で、それくらい正直なものだと思う。

もしあなたの中にも"ゆらぎ"が生まれたなら、それは好みの問題でも理解度の話でもなく、あなた自身が揺れたというだけの話。

その揺れを楽しんでもらえたなら、それだけでこの作品たちは十分報われます。

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