【エッセイ】聞こうとすることが、優しさだった
「一枚の絵から」 今日も人は 何かを感じとる。
〜 近い存在ほど、むずかしい…
聞こうとすることが、
優しさだった 〜
【BGM&エッセイ】
ぜひBGMを ポチッ♪ として、
エッセイを読んでみてください☆
やさしい夕陽に乗せて、 風が、ふと吹いた。
縁側の風鈴が、かすかに鳴った。
音が、すうっと、胸の奥の静かな場所に触れてきた。
隣にいる妹は、うつむいたまま。
さっきまで、ぽろぽろ泣いていた。
理由は、聞かない。
――いや、聞けなかった。
家の中では、家族がそれぞれ、
言葉じゃなく、時間で寄り添ってくれていた。
母が出してくれた麦茶。
父が無言で置いたスイカ。
兄としての僕は、なにもできなかったけど……
だけど今、こうして静かな時間(とき)の中で、
妹の隣にいる。

何かを言おうとして、
でもまだ言えずにいる僕の視線の先に、
妹の指先がかすかに揺れている。
風がまた、吹いた。
風鈴が、鳴った。
それが、彼女の心の音のように思えた。
「……どうしたの?」
その一言を、やっと言えた。
返事はなかったけれど、
妹の肩が、ほんのすこしだけ揺れた。
たぶん、それでよかったんだと思う。
そうだ、
ひとには、完全に察することなんて、
きっとできない。
だからこそ、
「わかりたい」と思って、勇気を出して聞いてみる。
それが、
きっと優しさなんだと思った。
何かしてあげたい、大切な家族だから。
どうか、この風鈴のやさしさが、
妹の心にも、そっと届きますように。
written by Tru2
