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あづま通りをぬけてニョロニョロと名乗るカフェ“HATTIFNATT”へ|お散歩カフェ


HATTIFNATTハティフナットとはスウェーデン語で「ニョロニョロ」という意味で、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンによる「ムーミン」の物語に出てくる、白くて細長い、集団でゆらゆらしている謎の生き物のことである。


ピンポン玉くらいの白いたまごを地面にまくと
ニョロニョロが生まれてくる映像を楽しめるコーナー
2020年ムーミンバレーパークにて


言葉は話さないがいつも集まって奇数で移動し、雷から帯電して電気を発生させるニョロニョロは、フィンランドの森にはえる白いきのこから、はたまた海に光が差した様子からうまれたとさまざまな説があるようだ。

そんな不思議なキャラクターを名乗るカフェを最初に見つけたのは、数年前に井の頭公園へお花見に出かけた春の吉祥寺だった。


2019年“HATTIFNATT 吉祥寺のおうち”にて

「お店の扉は大柄なホビット用くらい?の
絶妙な小ささで、身長150cm以上のお客さんは
頭をかがめて出入りすることになる。」


「店内では壁の全てをキャンバスにして描かれた
絵本のような世界に包まれる。料理たちは小型の
エレベーターの箱に乗って1階のキッチンから2階に
上がってくるのだが、それがなんと手動なので
フロアスタッフのお姉さんが何度もハンドルを
ぐるぐるぐるぐる回して料理やお皿を
上げ下げしていたのが忘れられない。
もちろんカフェラテもケーキもとびきりおいしい!」

と、過去に吉祥寺のお散歩記事に書いている。


高円寺のおうち(公式サイトによると高円寺ではなくおうち丶丶丶と呼ぶ)があるのは知っていたが、通りがかったときには閉まっていたりとこれまで行くことがなかった。

しかしこの秋、高円寺にあるギャラリーでZINEのイベントに参加することになったので、作品集を納品した日に“HATTIFNATT 高円寺のおうち”を訪ねることにした。
方向音痴のためいつものようにマップを見ながらゆっくり歩いていると、カフェにたどり着く前に何やらとんでもない空気感を漂わせるお店を発見してしまった。


お店の外観からして吸い込まれるような魅力を感じる


誰かの小さな庭のようにさりげなく葉っぱだけの植物が並べられ、通行止めを思わせる形の白い木製の看板には、
Amleteron
という文字がある。
まるで惑星のような名前だ、と思った。

見上げると店先には開いた本型に”A”と彫られた木の看板が下がっている。
古びた白とベージュのテントにクリーム色の窓と扉。
とても好みで眺めていると落ち着く感じがする。
そこに無造作に猫や魔除けの絵が貼ってあり、近づいてよく見ると入店に際しての注意書きがあった。


アムレテロンはひとりになって愉しむお店です。

基本的におひとりでの入店をお願いしています。

2人以上で連れ立っての入店はご遠慮ください。交代で入店していただくなど、お願いします。

アムレテロン「ご来店に関するお願い」より


店内は3人までとも書いてある。
ガラスごしに覗いてみると、お客さんはふたり。
そっと扉を開けると
「どうぞ、大丈夫ですよ」
店主さんが声をかけてくれた。


アムレテロンの小さな空間ではひとりで過ごす時間を楽しんでいただきたいです。

アムレテロン「ご来店に関するお願い」より


ひたすら黙ってお静かにというのではなく、このお店ならではの空間をじっくり自分自身の感性と向き合って味わってほしいという意味なのだと受けとれる。
店内の写真はもちろん撮れない。
高い所までぎっしり埋まっている本棚は、1冊1冊ずつを選んで長い間並べ続けてこの景色になったのだと感じられた。
見たことのない本も、見たことのある本もあった。
建物はずいぶん古いようで、壁越しや天井の辺りから、時おりギシッギシッと軋む大きな足音が聞こえる。その天井からは個性的な装飾のおしゃれなランプが下がり、猫のオブジェが飾られ、テーブルや棚には一筆箋やポストカード、花や星空のレターセットが並んでいた。
それらははじめて出会うデザインで、手触りのよい紙でできていた。

先客のひとりは海外の方だったのだが、お会計のときにもうたまらない、という口調で
so, beautiful!
と感想を述べていた。
全く同感だった。

通路は気をつけないと鞄が品物に触れて落としてしまいそうになるくらい狭い。
じりじりと横歩きをしながら、気がついたら店内を3周くらいしていた。
そして詩集が並べられた窓際で、壁に留めてある紙に書かれた英語詩と翻訳から目が離せなくなった。
しかもその紙は封筒の糊付けを剥がして広げた状態のものなのだ。
開いた封筒の内側に記された、エミリ・ディキンズの静かな切ない詩だった。
写真は撮れないし暗記することもできず、もう思い出せないのが残念である。
しばらく動けないでいると店主さんがやって来て、詩集のことやそれに関連した書籍の展示をしているのだと教えてくれた。


“Amleteron”は「読書と手紙にまつわるお店」
とてもよい出会いだった。


出口カズミさんの変形ポストカード
「クリスマスにとべないとり」も購入。


あとで調べてみると、Amleteronとはエスペラント語で“love letter”という意味なのだった。
全くもって “so, beautiful!” である。

さらに驚くことに、自分が目指していたカフェ
“HATTIFNATT”は、このAmleteronのお隣に密着してあるではないか。


ちょうどおやつの時間に到着する
やはり絶妙な小ささの扉である


渡されたスプーンに書かれた数字がテーブル番号で
2階に上がって同じ数字を探して席につく。
そういえば急な階段を上がってきたとき、かなり大きく軋む音がしたのだが、まさにこれが隣のお店でさっき
響いていた足音というわけなのだった。


扉を隔ててもうひとつ奥の部屋がある


天井はとても高く2階にも急な階段梯子があり
秘密基地のようなロフト席へとつながっている


本日のオーダー

ほんわかカフェラテ
シフォンのショートケーキ・マロン


座った席の後ろの壁にはローマ字でメッセージが
読めばきっと1度は訪ねてみたくなるはず



ハティフナットヘヨウコソ
ミナサンガ ハイッテキタ オミセノ トビラハ
コドモノ セタケニ アワセテアルンデスヨ

ハティフナットデ オモイオモイノ ジカンヲ
ユックリ スゴシテクダサイネ
(中略)

チイサナ トビラヲ クグッタラ
イソガシイ ゲンダイシャカイヲ ワスレテ‥‥
(つづく)

HATTIFNATT 高円寺のおうち
1番テーブル後ろのピンク色の壁の文字より




✳︎



LOCAL ART BOOK FAIRにも行ってきました!

白地に水色の帯の小さな作品集をお迎えくださった方へ
きっといいことがありますようにと感謝の念を送ります

ウィンドウ前のベンチにはカードやフライヤーが並び
ZINEを作る人びとが楽しんでいることや熱が伝播する



高円寺にはまだまだ知らない個性の強いお店がたくさんある。
南口にある2軒の本屋さんにも立ち寄ってみた。

蟹ブックスさんの入口はマンション2階にあり
お店のドアを開けたときにはものすごく
どこでもドアー感があった
ずっと続いてほしい本の居場所


そぞろ書房さんもアパートの2階にある
(入口が目立たないため投稿されたという
Instagramのお写真をお借りしています)
誰かのおうちのままのような玄関からおじゃますると
本棚には作り手を強く感じる本がぎゅっと詰まっている


そぞろ書房さんの近くには
ラザニアしか売っていない
ラザニ屋」というお店があり
とってもおいしいのでオススメ🥄



帰り道に夕焼け雲の色とかたちを見てなぜか
コットンキャンディと呼びたくなってしまうのは
きっと高円寺で過ごしていたせいなのだろう



思いたくなる
よい出会いを
深いところで
味わった1日





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くまのマフィン ここまでお読みいただきありがとうございました。 思いのカケラが届きますように。