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私の癖

ずいぶんと時間が経ったのだろう。夜に閉じた淡い水色のカーテンの隙間から漏れる灯は、一筋も無かった。

いつもより仄暗い朝の中、上着だけを羽織り重い体に誘導され外へ出る。足は近所のコンビニエンスストアへと吸い込まれるように上手に動かしている。

私には、変わった癖がある。自分を「変わった」と表現するのは好きではないが、まぁ人より変とも思える癖で。

小さい頃、チョコミント味のアイスクリームを頬張って、口の中がどうにもならない程の苦手を意識した。その苦手を大事そうにレジまで運び、よくわからないまま会計を済ませた。

帰り道、白い光が並べる街灯はいくつもの月に見えた。あの、何かのゲームの復活ポーションを拾うかのようにして、その月に沿って進んでいく。

エアコンの起動音とベッドに沈む音だけが響いた。憂鬱が感情の波をさらってゆく。高い高い波も上からねじ伏せられるように、ものすごい怪力で。毎日、同じ読み物の同じページを繰り返している私は、水平線をひたすらに眺めていたいというのに。あまりにも苦しい。



前に作った、あれだ。あれだよ、泥団子をひたすらに磨き上げて、ピカピカの球体にするあれだ。あんな泥の塊にも敵うはずがない事も知っている。悲しい事に、磨きあげる、というよりか丸い形に固まる事をすら出来ない私は、いつもどこか足りなくて、どこか多い。



アイスクリームの蓋を、さほど遠くもない距離にあるゴミ箱へ放り込もうとして留まった。付属のプラスチックのスプーンを使わずに、メッキの剥がれた少しだけ高価そうなスプーンで私の「苦手」を深く掬った。

口に入れると、すぐに可愛い色味からは想像がつかないなんとも言えない味が広がった。私はそれを確信した。すかさず丁寧に蓋をし、宝物を扱うようにゴミ袋に包んで棄てた。一口だ。



カーテンの隙間からの無造作な灯が、眩しいくてしょうがない。たった少しでも受け入れられると思った自分に落胆した。こんなもんだよ。

何事も無かったかのように、大好きなチョコレートがかかったバニラアイスを一口、また一口と進めていく。こんな人間は、ずっと独りなんだ。

誰かの「誰か」なんて私をみては居ないよ。歯形のついた平たい木の棒を天井にかざして、生温く重い布の下へ、下へと潜る。


誰もが、しょうもない自分を救えたのなら。

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