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5人で伝える「ひとり」の温度-タイトル未定 新曲「プラネタリウム」レビュー

2025年12月26日にリリースが決まった、アイドルグループ・タイトル未定の新曲「プラネタリウム」。
発売に先駆けて公開されたミュージックビデオは、これまでのタイトル未定とはガラリとイメージの変わったメンバーの表情が楽しめる。
MVの感想も交えながら、キラキラ切ない大人のシティポップ「プラネタリウム」の個人的解釈を書いていこう。

「らしさ」から離れたミュージックビデオ

今回のMVはアイドルらしさやタイトル未定らしさから随分とかけ離れた印象だ。
揃いの衣装やダンスシーン、弾けるような笑顔、北海道を感じさせる雄大な自然などはこの作品のどこにも存在しない。
グループをまだ知らない人がMVを見たらアイドルの楽曲とは思わない可能性も十分にあるのではないだろうか。

バラバラの服装・別々の場所で夜景をバックにひとりの時間を過ごすそれぞれのメンバー。
表情は憂いを帯び、MVの最初から最後までカメラ目線や5人が揃うシーンは1度も無く、歌割りも全てソロパートで構成されている。
見ているこちらも他人のプライベートな空間を覗いてしまったような気がして「いいのかな?」となんだか後ろめたいような気持ちにすらさせられる。
この不安定な気持ちこそが、作品の中の「私」が抱えている感情に近いのかもしれない。
すれ違いに戸惑う心の機微が切なくもリズミカルに表現された今作は、タイトル未定の楽曲では珍しい「満たされない恋愛ソング」だ。

手に取るように伝わる温度変化

さて、そんなタイトル未定の新境地を切り拓く楽曲、作詞作曲はTRIPLANEの江畑兵衛さん。過去にもグループへの楽曲提供をされているが、「プラネタリウム」もまたタイトル未定の大切な手札となる1曲になりそうだ。
先ほども記したがタイトル未定の楽曲には恋愛ソング自体が多くはなく、その内容も「君と僕のこれから」に淡い期待を抱くようなタイプの作風がほとんどだったように思う。
が、今作で描かれる「私」の恋愛はどう見ても幸せではなさそうだ。
けれど確かに相手に焦がれ、心が通い合った瞬間があったことが歌詞から見て取れる。

待ちぼうけの私が取り残されている「昨日」や、心や体が覚えている記憶、好きかなと思った日、「また今度」に想いを馳せたデート。これらはきっと恋愛の甘く楽しいひとときだったのだろう。
しかし上記に付随して、楽しかったはずの昨日を遠いものとして感じているような描写や、隣にいる「痛み」、腹を立てた日、バイバイ、といったネガティブなワードも登場する。

瞬きさえも忘れて私を不自由にしてほしかったのにな

サビで歌われるこのフレーズが関係性を明確にする。
「私を不自由にしてほしかった」=他に何も考えられないくらい夢中になってほしかった、なりたかったという気持ちが叶わなかったのだと分かる。温度差が生じ、2人の関係はもう熱を帯びていない。

上がった気分隠して 誘われただけって顔して
メイクだって今日は控えめ 悟られないように

2番の歌い出しからは、主導権を相手に握られていたような気配を感じる。
本当はもっと可愛い自分でいたいほど相手に会えて嬉しい気持ちを隠さないと飽きられてしまう、と不安になるような恋だったのだろうか。
そんな強がりもあまり意味を成さなかったのか。「明日は晴れるかな」とわずかな期待を抱くのは、スッキリしない今日を過ごしたからだ。

息継ぎさえも忘れて独り占めにしてほしかったのにな

相手にとって自分は独占したい存在ではないことに気付き、これまでの駆け引きを馬鹿みたいねと振り返るほろ苦さ。
だけど冷え切っているとも言い切れないような曖昧な気持ちは、まるでぬるくなったコーヒーのようだと思った。
MV中にメンバーがマグカップで何かを飲んでいるシーンがあるが、あの中身は2人が「時空の彼方で交わってた」瞬間のように熱かったのだろうか。それとも。

「プラネタリウム」が意味するものとは

金縛りにでもあえば またどこかで抱きしめてくれる?

何光年か先でまた会いたい それってわがままかな

2番サビとラスサビの間にぽつりひとりごつように紡がれるフレーズ、筆者には「言えなかった本音」のように感じられた。
誘われた嬉しさを隠すような「私」だ。素直に気持ちを表現するのが得意ではなかったのだと思う。

星も君も大嫌いだわ

曲のラストには「大嫌い」というはっきりとした言葉が使われているが、こちらは半分本音、もう半分は自分自身に言い聞かせているような印象を受けた。
そうでもしないと「いつまで続くかわからないプラネタリウム」を終わらせることが出来なかったのだろう。
では、その「プラネタリウム」とは一体何を意味しているのか。

「グルグル回って忘れられない」という歌詞から、相手が自分に夢中ではないと分かっていながらまだどこかで期待してしまう未練がひとつとして挙げられるだろう。
また、プラネタリウムは美しいけれど本物の夜空ではない。本当の気持ちをさらけ出すのも遠慮してしまうような関係性は「つくりもの」とも言えるのではないだろうか。
そしてプラネタリウムを見続けている限り、決して夜が明けることはないのだ。本来なら昇るはずの朝日も美しい青空も、このままでは目にすることが出来ない。行き詰まった2人の関係もまたタイトルに重なる。
街の明かりを星に見立て、画面を回転させることでMVそのものをプラネタリウムのように見せる演出も効いてくる。あなたにはこの夜空がどんな風に見えるだろうか。

終わりに

MV公開から2週間を過ぎた12月13日現在、再生回数は既に40万回を突破している。
これは前シングル曲である「空」のMV再生数を塗り替える記録となっており、グループや楽曲への注目度が高まっていることが窺える。無機質で都会的な映像も終始曲にマッチしており、3分4秒というコンパクトさも繰り返し再生したくなる大きな要素だろう。

これまで見聞きするものを熱く鼓舞したり温かく寄り添うような楽曲を多く届けてきたタイトル未定が魅せる「ひとりで過ごす夜の温度」は、誰かの温もりを知ったからこその冷たさで、その表現が違和感なく伝わるのは今の5人だからこそだ。
小さくなったロウソクの火をふっと吹き消すような恋の終わりを描く名曲「プラネタリウム」を、あなたも是非体験してみてほしい。5つの星達が煌めきながら新しい世界へ連れて行ってくれるはずだ。

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きたのむぎ@ライター修行中 最後までお読みいただきありがとうございました!この記事に良かったな、役に立ったと感じていただけましたら、応援よろしくお願いします。より良い記事の執筆に活かします。

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