🌀嵐の丘で立ち尽くす者たち 1

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第1話 嵐の丘で
風が、吠えていた。
風が、世界そのものを揺さぶっていた。
空はどんより暗くて、分厚い雲がびゅんびゅん流れていく。
雨はバチバチと地面をたたきつけて、ぜんぜん止まらない。
ゴオオオオオッ……!
ザアアアアアッ……!
風も雨も、ぜんぶ混ざって、もう何の音かわからないくらいだ。
――その嵐のまん中に。
丘の上に、三つの小さな影があった。
ひとつは、低く身をかがめた細長い影。
ひとつは、丸くなって必死にふんばる小さな影。
そしてもうひとつは、大きな翼をたたんで耐える影。
ヒョウモントカゲモドキのレオンは、岩にしがみついていた。
冷たい雨が体にしみこんで、どんどん力をうばっていく。
気をぬいたら、今すぐ吹き飛ばされそうだった。
「……くっ!」
声を出しても、風にかき消されてしまう。
ここがどこなのか。
どうしてこんな場所にいるのか。
考えるヒマなんて、ぜんぜんなかった。
すぐ近くでは――
ハリネズミのホズミが、必死に体を丸めてふんばっている。
小さな足はブルブル震えているのに、ホズミは顔をあげていた。
まるで空の流れを、必死に読もうとしているみたいに。
「……風が……おかしいです……!」
かすれた声が、なんとかレオンのところまで届いた。
でも、その意味を考えるより早く――
ゴオオオオオッ!!
とんでもない突風が三人をおそった!
地面がグラッと揺れて、足元の土が流されていく。
「きゃあっ!」
思わず声をあげたのは、幼い大鷲のアルジェリーナだった。
大きな翼をぎゅっとたたんで、体を低くしている。
でも羽根は雨でびしょびしょにぬれて、思うように動けない。
それでもアルジェリーナは、前に出た。
こわいはずなのに――
まっすぐな目で、叫んだ。
「ここに……集まって!」
声は震えていた。
だけど、めちゃくちゃ強かった。
レオンもホズミも、必死にアルジェリーナの近くへ寄る。
おたがいが見えなくならないように。
離れないように。
そのとき――
レオンは気づいた。
足元の土の下に、なにかがある。
流されかけた地面の中に、小さなふくらみみたいなものが引っかかっていた。
アルジェリーナもそれに気づいて、思わず身をかがめる。
風から守るみたいに、翼でそっとおおった。
ただの土のかたまりかもしれない。
嵐の中じゃ、ふつうなら気にもとめないもの。
なのに――
なぜか三人とも思った。
(ここを……離れちゃダメだ)
理由なんてわからない。
意味も、ぜんぜんわからない。
でも、ぜったいに守らなきゃいけない気がした。
「……動くな!」
レオンが叫ぶ。
ホズミは黙ってうなずいて、もっと体を寄せた。
ゴオオオオオオッ!!
嵐はどんどん強くなる。
雨はバチバチとたたきつけて、風は怪物みたいに暴れまわる。
そのとき――
ピカッ!!
空のどこかで雷が光った。
一瞬だけ、世界が真っ白になって――
丘の上の三人の姿が、くっきり浮かび上がった。
レオン。
ホズミ。
アルジェリーナ。
三人はただ、そこにいた。
なぜここにいるのかも。
これから何が起こるのかも。
なにもわからないまま。
それでも――
ぜったいに、離れなかった。
世界がこわれそうなくらいの嵐の中で。
三つの小さな命は、しっかりと寄りそって、
必死にその場所を守りつづけていた――。
新たな物語の幕が上がる。
レオン、ホズミ、アルジェリーナの3人は一体何をしているのか…
それは、
わし(ムヒ)の持つnoteだけが知っている🤞
次回はこちら
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