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🟦青の章:蒼穹の深淵 ― 信頼で結ばれる者たち 2



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 第2章 海底への誘い

 激しい渦潮に呑まれ、レオンとホズミを乗せた筏は、制御を失った木の葉のように翻弄されていた。

轟々と鳴り響く渦の音は、まるで生き物のように、彼らの耳を、そして心を、容赦なく叩きつける。
水飛沫が筏を叩きつけ、視界はめちゃくちゃに揺れる。

「ホズミ!しっかり掴まってろ!」

レオンは必死に声を張り上げた。
彼の声は、渦の轟音にかき消され、ホズミに届いているのかも分からない。
しかし、彼はホズミの手を決して離すことはなかった。

「わ、わたくし……目が……回りそうです……!」

ホズミは、恐怖に顔を歪ませ悲鳴を上げた。
渦潮は、彼らの筏を容赦なく、中心へと、中心へと、ぐるぐると吸い込んでいく。
まるで、この大海原の深淵が、彼らを、その奥へと、引きずり込もうとしているかのようだった。

その瞬間――。

ふわり、と。

彼らを、そして筏を、大きなシャボン玉のような透明の光が包み込んだ。
それは、あまりにも突然であまりにも幻想的な出来事だった。

その大きなシャボン玉の中では、渦潮の轟音は、遠い幻のように微かになった。
水飛沫が叩きつけられる音も消え、筏の揺れも、ぴたりと止まった。
渦潮の猛威がまるで嘘のように不思議な静けさが訪れる。

「なっ……なんだ、これは……」

レオンは驚愕の声を漏らした。
彼は信じられない、という表情で手を伸ばし泡の壁に触れた。
ぷにりと柔らかい抵抗があり、水はまるで、そこに存在しないかのように侵入してこない。
その泡は、彼らを、この渦潮から完全に隔絶させていた。

「レオンさん……!
わたくし……息ができます……!」

ホズミは、両手を胸にあて深呼吸をした。
恐怖に震えていた彼の体から力が抜けていく。
彼は、確かに、海の底へと沈んでいるはずなのに、そこには、地上と変わらない新鮮な空気があった。


筏は、その泡に守られ渦潮に逆らうように静かに、しかし、確実に沈んでいく。

その光景は、まるで、何者かに導かれているかのようだった。
渦潮の猛威から、彼らを、この泡が守り、そして、この泡が彼らを海の底へと誘っている。
それは偶然ではあり得ない、この大海原の意志のように、彼らには感じられた。

「……まるで、“誘われてる”みてぇだな」

レオンが、その場の空気に溶け込むように呟いた。
彼の瞳は、泡の外に広がる、海の景色をじっと見つめていた。
ホズミは、震える声で応える。

「羅針盤の針……。
やはり、海の底を示していたのですね……」

ホズミは、懐から取り出した砂の羅針盤を見つめた。
羅針盤の針は、相変わらず彼らの真下を正確に、指し示していた。

シャボン玉の中からの景色は、息をのむほどに美しかった。
光が差し込む浅い海では、色とりどりの魚たちが優雅に、そして自由に泳ぎ回っている。
珊瑚礁は、まるで海の花園のように、咲き乱れ、その一つ一つが神秘的な光を放っている。
それは、地上では決して見ることのできない幻想的な世界だった。

しかし、二人の乗る筏はそんな美しい光景を、置き去りにするように、徐々に、光の届かない深海へと沈んでいく。

海の底へと進むにつれて、周囲の光景は、次第にその色を失っていく。
色とりどりの珊瑚は影となり優雅に泳いでいた魚たちも姿を消していく。
そして、彼らの下方には、暗い海の闇が果てしなくどこまでも広がっている。
それは、まるで、この大海原の真の姿を見せつけられているかのようだった。

けれど、その奥にかすかな光が見えた。
それは、闇の中に、ぽつりと浮かぶ、一つの希望の光だった。
泡に包まれた筏は、その光へ向かって深く深く沈んでいった――。




渦潮に吸い込まれる2人。
そして、海底世界の神秘的な美しさと、深海の不気味な暗闇。
次章で、彼らはこの光の正体を知り、この深海の世界…

ワシ(ムヒ)のnoteだけが知っている😁


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