🟦青の章:蒼穹の深淵 ― 信頼で結ばれる者たち 5

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スター☆にゅう・いっちさん
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第5章 蒼穹の試練
レオンとホズミが、ネプチューンが開いた回廊に足を踏み入れた瞬間…
空気が一変した。
海底神殿の外に漂っていた荘厳な蒼光は消えうせ、代わりに、湿った冷気が肌を刺し、まるで心臓を直接、巨大な手のひらで握りしめられるような、耐え難い重苦しさが空間を支配した。
回廊の壁は、深海の岩肌のように黒く湿り、一歩踏み出すたびに、足元から不気味な水音が響く。
「……ここは……」
ホズミが小さく呟いた。
彼の声は震え、その恐怖が、重苦しい空気に吸い込まれていく。
彼の胸元にある星図の石の光さえ、この闇の中では、か細く頼りない。
次の瞬間
左右の壁が、水面に反射したかのように鏡面に変化した。
漆黒の壁は、一瞬で磨き上げられた水晶のように澄み渡り、二人の姿を無数に映し出した。
それは、終わりなく続く幻影の回廊だった。

しかし、それはただの鏡像ではなかった。
彼らの心に巣食う疑念を具現化するために、この空間が作り出した幻影だった。
映し出されたレオンの口が、本人の意志とは無関係に、薄く歪んだ笑みを浮かべ、低く、冷たい声で呟いた。
その声は、レオン自身の心の中で、最も隠したいと願っていた、小さな傲慢を形にしたものだった。
「……ホズミ、お前は足手まといだ」
「えっ……!?」
ホズミは息を呑み、思わず隣に立つレオンを鋭く振り返った。
その瞬間、彼の心に、これまでの旅でレオンに守られ続けた劣等感が、一気に押し寄せてくる。
けれど、隣のレオンは何も言っていない。
彼は、鏡像の言葉に、ホズミと同じように驚愕していた。
「ちょ、ちょっと待てよ!
俺は何も言ってないぞ!
ホズミ、信じるな!」
レオンは焦りの色を隠せず、ホズミに訴えかける。
だが、彼の言葉は、鏡の幻影によって、すぐに塗り替えられた。
今度は、鏡の中のホズミが、怯えた顔で、しかし、真実を問うような鋭さで囁いた。
その声は、ホズミが心の奥底に封じ込めていた、最も深い不安だった。
「レオンさんは……
いつもわたくしを守るばかり。
ほんとうは、わたくしを見下しているのでしょう?
旅の目的も、力も、何もかも、わたくしは劣っている」
「……!」
レオンの胸が激しくざわめく。
そんなこと、表面上は思ったこともない。
だが、緑の島で試されたとき、ほんの一瞬、彼の心に浮かんだ慢心があったことを、彼は知っていた。
その耳に残る声が、彼の心の防御壁を、内側から揺るがし始める。
「違う! 俺は――
お前を最高の仲間だと信じている!」
レオンが叫ぶが鏡像はその言葉を嘲笑った。
「本当に違うのか?
お前のその強がりこそが、彼を傷つけているのだろう」
「嘘をついているのはどちらだ?
力を持たぬ彼を、心底、対等な仲間だと思えるのか?」
無数の鏡像が、壁一面から、一斉に囁き始めた。
その音は、もはや囁きではなく、深海の轟音のように回廊全体を震わせる。
壁一面から降り注ぐ声は、疑いを種のように、二人の心に執拗に植え付けていく。
レオンは歯を食いしばる。
頭の奥に、過去の記憶が蘇る。
ホズミが戦えず震えていた時。自分がすべてを背負わねばと強がった時。
そのほんの一瞬、彼の心の奥底に浮かんだ傲慢な弱音――「ホズミはやはり足手まといかもしれない」という感情が、鏡像の声となって、今、彼の耳を突き刺す。
ホズミも同じだった。
旅の中で何度もレオンに助けられ、庇われてきた。
その度に胸に刺さっていた痛み――「本当に対等な仲間なのか」「いつか見捨てられるのではないか」という根深い不安が、鏡像によって、現実の言葉として、目の前のレオンにぶつけられているように感じた。
鏡像は、彼らの過去の弱さと、現在の不安を突き、容赦なく増幅させる。
「仲間だと?
お前たちは互いを信じてなどいない。
ただ、旅を続けるために利用し合っているだけだ!」
「すがり、怯え、自分の弱さから目を背けているだけだ!」
「お前たち二人の間に、真の信頼など存在しない!」
「やめろ……やめろ!!!」
レオンが怒りと苦痛に満ちた声を吠えるが、彼の声は掻き消され、囁きはさらに大きく、幻聴のように二人の頭の中で響き渡る。
ホズミも両耳を押さえ、その場で膝をついた。
彼の視界は、無数の鏡像が放つ疑念の光に歪められ、隣に立つレオンの姿さえ、信頼できない、恐ろしい影のように見え始めていた。
「……わたくし……本当に……レオンさんに信じられているのでしょうか……」
ホズミのその声は、レオンの心臓を激しく締めつけた。
レオンの脳裏には、自分がかつて抱いた一瞬の慢心が、ホズミの言葉によって、真実として証明されたかのように感じられた。
疑念が、ひび割れのように二人の絆を侵食していく。
彼らは、互いを信じたいと願いながらも、自分自身の心の影に、激しく引き裂かれていった…
鏡像による言葉の攻撃。
レオンとホズミが過去に抱いた心の弱さや不安…
そして2人のメンタルは…
わし(ムヒ)のnoteだけが知っている😁
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