浴衣を仕立てたいのに、今日も裁断できなかった話
印は付けた。でも、刃が入らない
浴衣を仕立てようと思っている。
印も付けた。
寸法も何度も確認した。
それでも、今日も裁断できなかった。
裁ちばさみを手に取るところまでは行くのに、どうしても刃が入らない。
染め不良という想定外
今回の反物は遠州木綿。
しかも染め不良のある格安品だ。
裏側がほとんど染まっておらず、表も全体的にうっすらとムラがある。
光にかざすと、その違いがはっきり分かる。
「普段着なら気にしなくていいかもしれない」
そう思う瞬間もある。
けれど、せっかく仕立てるなら、やっぱりちゃんとしたものにしたい。
その気持ちがどうしても引っかかる。

格安で買ったはずなのに
この反物を選んだのは自分だ。
多少の難は承知の上で、「失敗してもいいや」くらいの気持ちで買った。
それなのにいざ仕立てようとすると、その前提が揺らぐ。
せっかく手をかけるなら、悔いのない形にしたいと思ってしまう。
生地取りという難題
問題は、染め不良をどう避けるかだ。
どこを身頃に使うか、どこを袖に回すか。
少しでも目立たない場所に逃がそうとすると、今度は寸法が足りなくなる。
揚げも入れようかと考えたが、それも厳しいことが分かってきた。
今回は揚げなしでいくしかない。
そう判断しても、まだ迷いは残る。
切ることは簡単なのに、一番重い
和裁を始める前は、布を切ることは単純な作業だと思っていた。
線を引いて、切るだけ。
けれど実際は違った。
切ること自体は数秒。
そこに至るまでの時間が長い。
経験が増えるほど、怖くなる
今回で浴衣を仕立てるのは二回目か三回目。
まだ初心者と言っていい段階だ。
だからこそ怖い部分もある。
失敗してもいいと思っていたはずなのに、失敗の形が見えてしまうようになった。
揺れる判断
裏が染まっていない反物を前にして思う。
「気にせず行こう」と思う自分と、
「いいものにするならここは妥協できない」と思う自分。
その間で何度も立ち止まってしまう。
気づけば一年が過ぎる
そのまま時間だけが過ぎていく。
一年、また一年と、同じ反物がそこにある。
それでも少しずつ進んでいる
結局、今日も裁断はできなかった。
けれど印は付けた。
寸法も見直した。
生地の配置も何度も考え直した。
進んでいないようで、少しずつ前には進んでいる。
最後の一太刀
いつか覚悟が決まったときに、この布に刃を入れるのだと思う。
切ってしまえば、あっけないのかもしれない。
問題は、その“一太刀の決断”だけなのである。
最後まで読んでくれてありがとう。
他にも着物やお茶、和風アニメについて記事を書いてあるので気が向いたら覗いてみて欲しい。
