なぜ私は着物を着るのか
元々、母が着物好きだった。
小さい頃から着物屋に遊びに行くこともあり、着物自体は身近な存在だったと思う。
自分で着物を着たのは、高校時代。
友人に勧められて入った茶道部の文化祭で、浴衣を着てお点前をしたのが最初だった。
今思えば、あれが「自分で着る和装デビュー」だった。
帯でお腹が締まって苦しい感じはあったけれど、それ以上に衝撃だったのが、ワイヤー入りのブラジャーをしなくていいことだった。
昔からブラジャーの締め付けがかなり苦手だった。
さらに私は中学時代に水泳をやっていて、肩周りが発達している。
洋服だと肩幅やシルエットに悩むことも多く、「服がしっくりこない感覚」がずっとあった。
でも着物は違った。
体型を無理に強調せず、自分をそのまま包んでくれる感じがした。
同時に、「日本人なのに着物が着られないのは少し寂しい」という気持ちもどこかにあったと思う。
その後、友人の結婚式で訪問着を着た。
美容院で着付けをしてもらい、お太鼓結びをした、いわゆる“ちゃんとした着物デビュー”だった。
正直、着物姿で人前に出るのはかなり恥ずかしかった。
でも、その友人のお母さんに
「着物で来てくれてありがとう」
と言ってもらえた。
その言葉が、とても嬉しかった。
そこから、「やっぱり自分で着られるようになりたい」と思うようになった。
今でも、着物で外を歩くと少し恥ずかしい。
見られている気がして落ち着かない日もある。
でもそれ以上に、
「自分は日本人なんだ」
と、不思議と誇らしく感じる。
着れば着るほど、着物の構造は本当によく考えられていると思う。
直線裁ちで、体型を選びにくく、季節に合わせて調整もできる。
先人の知恵の積み重ねを、着ながら感じている。
もちろん、洋服より手間はかかる。
それでも今は、洋服でおしゃれを考える方が、むしろ苦しく感じることが増えた。
だから私は、今日も着物を着ている。
