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その石は虹色に輝く


子ども達を連れて、ミネラルマルシェに行ってきた。

様々な鉱石、宝石が展示販売されているイベントのようなものだ。


妻がどこかで開催情報を知り、行きたいって言い出したので、みんなで行く事にしたんだ。


私一人だったら、わざわざそんな所に行ったりはしないんだけど、興味がないという事もなかった。


妻も私も、普段は宝石店とかに行くような事はない。

けれど、鉱石だったり、原石もたくさん展示されているという事で、中々に知的好奇心をくすぐられるものがある。


私は石のことなんて全然分からない。

何が理由で価値がつくのか?

どんな理由でここにあるのか?

みたいな事には、全く興味が湧かない。


しかし、会場に到着してみると、様々な形の、様々な色の石が並び、光を当てられ、輝いている。


その光景には、私のような人間にも、

(……おお。)

と思わせる力があった。



子ども達は、一つ目の店舗を眺めて、

『これ買って!』



二つ目の店舗を眺めて、

『これ買って!』


一店一店のぞくたびに、何かしらを欲しがる。


駄菓子屋じゃないんだ。

破産するからやめてくれ。



少し進んでいくと、3センチ正方形くらいの小さな箱の中が、長テーブルの上にぎっしり敷き詰められたブースがあった。


小さな箱の中一つ一つには、これまた小さい宝石が閉じ込められている。

いったい、いくつの宝石があるんだろう…。


ケースには、色のついた丸いシールが貼ってある。

青いシールは1,000円。

緑のシールは3,000円。

ピンクのシールは10,000円。


そんな感じで、値段も大きさも様々な石が、所狭しと並んでいた。


へー、1,000円からでも買える宝石があるんだなぁ。

そう思って、私も一つ買ってみようかと思った。


何が良いかと考えると、やはり自然を愛する私ともあれば、緑色。

すなわち、エメラルドが良いだろうと思って、エメラルドを手に取った。


……?


シールが貼ってない。

これ、いくらなんだ?


よーくみると、小さい箱の下の方に、値段が書いてる。


48,000円


こんな娘の小指の先よりも小さい石が48,000円だと?


エメラルドを舐めてた。


私には無理。

違うのにしよう。



娘の妨害を凌ぎつつ、色々と見ていくと、それぞれ個性豊かに石達が輝いてる。


この、エメラルドよりも薄い緑の、ペリドットってやつも可愛い。

あっちの深い赤色の、ガーネットってやつも美しい。


丸い形もいいな。

カット数が多くてキラキラ輝いてるのもいいな。


そんな感じで歩き回るうちに、一つ、楕円形の、乳白色の石を見つけた。



これは、私も聞いた事がある。 

オパールという石だ。


青い色。

赤い色。

緑の色。

その石は、見る角度によって、内側に様々な色が浮かび上がる。


一口にオパールとは言ったものの、いろいろな種類があるようだった。


また、同じ種類でも、傾けた時の色の出方が違う。


赤が強いものもあれば、緑と青が強いものもある。

何がそうさせるのかまでは分からなかったけれど、石それぞれに、個性というものがある事が伺えた。



何度も比較して、とうとう私は一つを選ぶ。

これにしよう。



帰り道、サービスエリアで、妻と運転を交代する。


私は助手席で、窓から差し込む太陽光を、オパールに当てて眺めてた。


綺麗だなー。

エチオピアから来たんだって。



楽しい買い物だった。


それに私だけじゃなく、娘たちにも一つずつ買ってあげる事ができた。


私一人なら、ただ眺めてるだけだろう。


でも、娘と一緒に箱を並べて、綺麗だねーって、微笑みあえたら、こんなに素敵な事もないだろうと思うんだ。



一方の妻は、

『あの深いブルーの指輪が忘れられない…。
私の白い肌に、すごく馴染むの…。』

と、ずーっとぼやいてた。

よほど欲しかったのだろう。




私は聞いてみる。


私『いくらだったの?』


妻『200,000円くらい。』


私『ドラム式洗濯機買えるね。』




私たちは家に帰った。



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