8.友達は彼方【七面鳥は近所迷惑】8/13
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私は、会社の人と遊んだ。
若い人たちと登る山は、楽しかった。
みんな体力があるくせに、なんか私の事を隊長隊長と呼んで面白がった。
実際のところ、私は病気で療養していた期間にご飯の量が減ってた事もあって、筋肉が著しく落ちてた。
みんなについていくのに必死だったんだ。
それなのに隊長と呼ばれるもんだから、
「私は隊長ってガラじゃあないよ。」
って言った。
でも、心地よかった。
一人で時間を持て余してる時は、フォカッチャとかを焼いてみたり、釣ってきた魚でアクアパッツァを作ったりした。
インスタに投稿すると会社の人たちが、
『美味しそう!』
って言うので、自宅の庭でお料理を振る舞い、バーベキューをとかをした。
とても楽しかった。
最近のぶっころと遊ぶよりも。
最近のぶっころは、何だかいつも苦しそうに見えた。
私が何も聞けないでいると、ぶっころは、はじめて自分から教えてくれた。
パトロール中、車を擦ってしまったそうだ。
勤務中に、またナルコレプシーを発症したのだった。
私は、何て言えばいいのか分からなかった。
「悪化してるの?」
『わからねぇ。』
私は、何とかしてぶっころをはげましたかった。
ドン底に落ちてた私。
釣りに誘ってくれたぶっころ。
飯に誘ってくれたぶっころ。
温泉で、いっぱい語り合った。
一緒に、たくさん酒を飲んだ。
私はぶっころの愚痴を聞く係になりたかったけど、ぶっころはあんまり愚痴を言う係はやりたくないみたいだった。
ぶっころは、無口になる事が増えた。
相反する私は、饒舌になっていた。
こんなに若い人たちが、私を励ましてくれる。
私は薬がやっと終わって、適応障害が回復していく事を感じてる。
ぶっころのおかげだ。
みんなのおかげだ。
ある夜、私たちは相当な深酒をして、異常なくらいに酔っ払っていた。
ぶっころが買ってきたワイルドターキーを二人で半分以上空けて、それ以外にも缶ビールをそれぞれ2本は飲んでた。
最近、ぶっころは面白い飲み方を覚えたらしくて、常温のワイルドターキー8年に、これまた常温のウィルキンソンジンジャーエール辛口を割って飲むという、常軌を逸した飲み方をしていた。
私も一緒になって、それを飲んだ。
それは異様に辛くて、氷も入れてないし、常温なもんだから、むせ返るようなパンチ力があった。
なのに少し飲んでいると、喉の奥の方からウイスキーの甘やかさと、ジンジャエールの生姜感が入り混じってきて、
「こっ、これは!!」
「開いてくる!!」
「ぐふっ!香りが!立ってくる!!」
『だろぉー!?うっ!!げほぉーっ!!』
などと爆笑して、近所迷惑という言葉が記憶喪失になったかと思った。
そして、ぶっころに言ったんだ。
「俺はさ、照れ臭くてさ、今までちゃんと言葉にした事がなかったけどさ。」
「ぶっころが帰ってきてさ、いろんな事ができた。
いつも楽しかったし、いつも刺激的だった。」
「俺さ、お前に憧れたんだぜ。」
「俺さ、今じゃないとちゃんと言えねぇから言おうと思うんだけどさ?」
「お前のこと、一番の友達だって思ってんだよ。」
「親友とか、胡散臭くて、定義もわかんねーし、意味も正しく理解出来てねーけどよ。」
「親友だってずっと思ってたんだよ。」
そうやって、歯切れ悪く言ったんだ。
するとぶっころは、
『お前さ、そんな事はよ。』
『俺もそう思ってるよ。』
ってヤケクソ気味に言い放った。
だから私たちは、その後もウイスキーを飲んで、ワイルドターキーは残り2割になった。
朝起きて、俺たちは顔を見合わせた。
ぶっころは、ボトルを持ち上げて、
『…やりすぎたな…。』
と語るもんだから、
「だな…。」
と言った。
ぶっころは目が半開きでゲッソリした顔をしてるので、私はクックックみたいな感じで、その情けない面を笑ってやった。
ぶっころは、トイレ行ってくるっていって、戻って来なくなった。
ウンコしてんじゃねーよ。
『ウエェェーーッ!!』
もっとやめろ。
9/13へ続く
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