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はじめて高山病になった日、メキシコで味噌汁を想う

軽い偏頭痛と、感じたことのない胃のむかつき、吐き気。メキシコシティの最終夜、ほとんど進まないトルティーヤスープを亀のごとく口に運びながら、美味しそうに地ビールを呑む友人を眩しく眺めていた。

私はとてもじゃないけどビールなんて飲めない。「テキーラ飲みすぎるなよ〜」とパートナーに送り出された頃のことを懐かしく感じる。飲み過ぎるほど元気だったら、どんなに良かったことだろう。

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メキシコシティは標高2000メートルほど。標高が1200メートルくらいを超えてくると発症しはじめるという高山病に、私もなっているらしい。初めての症状に、じわじわと体力を奪われていた。

高山病になるかもしれないね。メキシコの旅行ブログなどを読んで、友人たちとは行く前から話していたのだけれど、よく眠ればどうにかなるだろうなと甘く見ていたところがあった。そもそも、私は普段から気圧の変化にめちゃくちゃ弱いので、体調が悪くなるのはほぼ確定していたというのに。

倒れ込むほどの不調ではない。でも、ず〜っとゆるい頭痛がしている。最終日には吐き気も出てきて、食欲がめっきりと減った。なんとなく前傾姿勢になって、ゆっくりと歩かないと辛い。

友人らに頭痛薬や吐き気どめを分けてもらって、食べられるものだけを食べて過ごす。お水はよく飲んだほうがいいらしいので、いつもより気にしている。それでも、やはりなんとなくずっとだるいのだ。

別の友人も体調が良くないようで、症状も似ていた。夕食のメキシカンレストランでは、唯一食べられそうなスープを頼む。トルティーヤスープはトマトベースのスープで、ゆっくりしすぎていたら3回くらいお皿を下げられそうになった。

海外で体調を崩すのは、いつもにも増して心細い。そして、高山病は私にとって未知の経験。はやくカンクンに行きたいよ〜とばかり思うのだった。日本にいる家族に、高山病になったと連絡する。母からは「私とおんなじ体質だからね〜!栄養あるもの摂れば、下山すればすぐ良くなるから安心してね」とメッセージが届いた。

ネットにはきっと専門家の情報も溢れている。自分の体調は自分にしかわからない。でも、なんだか母がそういうなら大丈夫な気がして、眠れない夜に救われたのだった。母、ありがとう。

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翌朝、メキシコシティ最後の日、やはりゆるい頭痛に襲われていた。バファリンを飲んで、様子を見る。昨日よりは胃もお腹も良くなった気がするが、なんとなくだるい。

昨日よりも回復しているので、空港ではブリトーを食べる。もはや食べられたことにちょっと感動するが、5口だけ飲んだコーヒーのせいでまた胃は重くなる。やっと飛行機に乗り、メキシコシティを出られる。

カンクンについたとき、心なしか息が吸いやすい感じがした。ホテルに着く頃には、気持ち悪さや頭痛が嘘のように引いていた。ほんとか?いや、嘘だったんじゃないか?と思うあっけなさ。プラシーボなのだろうか、それとも人体の不思議?

とにかく、楽になったことは間違いない。ゆるゆると続いていた不調から解放されて、旅行の後半戦は万全の体調で楽しめそうだ。高山病という未知の症状は、私をしっかり弱らせて、そしてビーチリゾートに来た途端に綺麗に消えた。同じ症状の友人がいなければ、自分が風邪をひいただけと勘違いしていたかもしれない。

メキシコシティで、何よりも味噌汁が飲みたかった。その思いはカンクンでは霞のように消えたけれど、私は不思議な経験として忘れられないんだと思う。

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