灼熱のベンチ
雲一つない高い空。遠くの木陰を眺めながら、そっとお嬢様の横に腰を下ろす。友達が彼女を振ったからだ。
正直なところ、人の気持ちを汲み取るのは得意ではないし、十分な力があるとも思えない。しかし、この場にいるのは私だけ。できる限りのことをする。
友達は友人として彼女と遊んでいた。口が悪くとも心根が優しい彼は、来る者拒まずのスタンスを崩さない。彼女もそのことは分かっていたはずだ。だが、何の弾みか、彼女がその一線を越えようとしてしまった。
二人とも、根っからの寂しがり屋だ。ただ、それぞれに抱える理由は違う。
彼は少し変わった血筋で、当たり前のものが与えられず、常に何かに飢えている。そうして自身で人生を切り拓いてきた男だ。その気配に、少なくとも私は声をかけずにはいられなかった。
一方、ニュータウンの彼女は恵まれた環境にあり、どこまでも献身的だ。作ったケーキやクッキーは稀に生焼けでも美味しい。だが裏を返せば、何かを捧げることが彼女の生存戦略であり、存在意義だった。彼女自身も、それは何となく自覚しているように思える。
その献身性こそが、彼の好みと外れている。女性らしい女性に振り回されるのがおそらく好きなのだ、彼は。
何を誠実とするか。灼熱のベンチが身体を焼く。長い沈黙の後、私は乾いた口を開いた。
「もうすぐ次の授業が始まるよ」
お嬢様は涙を拭い、それから無言で頷いた。
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