月刊AIレポート:第7号「2026年5月、AIと並走し始めた」
4月、AIは考えてから動いた。
5月、私も動いた。
それがこの一ヶ月の全てです。
「並走」の月
3大LLM——ChatGPT、Claude、Gemini——を、今月は朝から夜まで空気のように使い続けました。「空気」という言葉がもはや比喩ではない。意識して使うのではなく、使っていることすら気づかないくらい、日常に溶けた。
そういう月に限って、外側では大きなことが起きていました。Google I/O 2026でAntigravity 2.0が発表された。
ただし、今月の主役はGoogleでもAnthropicでもOpenAIでもない。主役は、私自身の変化です。
1年ぶりにIDEを開きました。Ollamaを触り始めました。RESTful APIで小さな連携をいくつも組みました。1年前に「まだ難しい」と感じていたことが、今月は全部、普通にできた。
AIが隣で考えながら走っている。私もその隣で走り始めた。「並走」という言葉は、そこから来ています。
●最大の変化:「AIを使う私」から「AIと並んで走る私」へ
●今月の推しAI:なし(全部が均等に空気になった)
●象徴的な出来事:Antigravity 2.0発表、DALL-E 3終了、開発再開
●総評:AIの進化より、使う側の変化が大きかった月
🗒️ 今月の推しAI:なし
第1号から続けてきた「推しAI」のコーナーを、今月初めて空白にします。
理由は単純です。どれも均等に使うようになったから。ChatGPT、Claude、Gemini——それぞれの得意を自然に使い分けている。道具箱の中の道具を、用途で手が勝手に選ぶ感覚に近い。
「推せない」のではなく、「推す必要がなくなった」。LLMが空気になった、ということの正直な表れだと思います。
来月、また推したい一本が現れたら書きます。
🚪 主役トピック
Antigravity 2.0
5月19日、Google I/O 2026で正式発表。今月、最も印象に残った出来事です。
発表内容を一言で言えば、「人間が触るUI部分と、AIが直接操作する部分を、完全に切り離した」ことです。
これは一部のユーザーから強い反発を受けました。使い慣れた操作感が消えた、強制移行だ、という声です。わかります。ただ、私は発表を見た瞬間に直感しました。
Googleがこれからやりたいことが、この設計に全部入っている。
IDEというのは本来、人間が読み書きするための道具でした。Antigravity 2.0はその前提を外した。人間は「何を作るか」を指示し、AIが「どう作るか」を実行する。UI側の操作感はその邪魔になる——Googleはそう判断したのだと思います。
批判の声が大きかったのは、それだけこの変化が本質的だったということでもあります。
私がこの発表で動かされたのは、批判でも賞賛でもなく、「引き金を引かれた感覚」でした。この設計を見て、1年ぶりにIDEを開こうという気持ちになった。
ちなみに、Antigravity 2.0と同日にGemini CLIの終了も発表されました。6月18日をもって個人向け提供が停止され、Antigravity CLIへの移行が求められます。オープンソースで育てたツールをクローズドな後継に統合する——開発者コミュニティでは波紋が続いています。
連携へ——興味の重心が動いた
Antigravity 2.0に引き金を引かれて、Ollamaを触り始めました。ローカルで動くLLM。クラウドに頼らない、自分のマシンの上で走るAI。
最初は「試してみよう」くらいの気持ちでした。でも触り始めると、GitHubのリポジトリを久しぶりに真剣に見るようになった。RESTful APIで何かとつなぐことを、また考え始めた。小さなフレームワークとAIを部分的に連携させる実験を、いくつもやりました。
1年前、こういうことは「まだ少し難しい」と感じていた。今月は、「もう完全に実用的」と感じた。この差は、AIが変わったことだけでなく、私が変わったことでもあると思います。
そしてもう一つ、興味の重心が動きました。
LLM自体への関心より、「LLMをどうつなぐか」への関心が強くなっている。n8nのようなノーコード連携ツールから入って、今はGitHubに無数にある小さな新しいリポジトリが面白い。その大半がAIとの連携を前提に設計されています。
「最強のLLMはどれか」という問いに以前ほど引っかからなくなった。LLMは所与のインフラになりつつある。面白さの本番は、その先にある。
📋 動きのあったAI(終了/更新)
🔴 終了
DALL-E 3 → 5月12日に終了(予告通り)
4月号で予告していた通り、DALL-E 2・DALL-E 3のAPIが5月12日に廃止されました。ChatGPT内の画像生成はGPT Image 2に一本化。3月にSoraが終わり、5月にDALL-E 3が退場した。OpenAIの画像・動画まわりの世代交代が、この2ヶ月で完了した形です。
Gemini CLI → 6月18日終了予告(今月発表)
Google I/O 2026で発表。GitHub Star 10万超・外部コントリビューター6,000件以上を集めたオープンソースのターミナルツールが、クローズドな後継「Antigravity CLI」に置き換えられます。個人向け・無料ユーザーは6月18日までに移行が必要。「強制移行」への反発は国内外で続いています。
🟢 バージョンアップ
Antigravity 2.0 → Google I/O 2026で正式公開
Desktop App・IDE・CLI・SDKの4面展開。動力源はGemini 3.5 Flash(Gemini 3.1 Proをほぼ全ベンチマークで上回り、他社比4倍速とされる)。新料金プランとしてAI Ultra(月額100ドル)が追加されました。
GPT-5.5 Instant → 5月5日に主力モデル更新
OpenAIがGPT-5.3 Instantに代わる新主力モデルとしてリリース。応答精度・指示追従性・自然な口調が改善。無料プランでも利用可能です。
Claude Opus 4.7 → 4月16日リリース(先月速報)
先月号の入稿後に出たため、改めて記録します。超高難度タスク向けの新思考モード「xhigh Effort Level」、高解像度ビジョン対応、エージェンティックコーディング強化が主な変化です。
🧭 まとめ:7ヶ月で見えてきた地図
●11月(第1号):AIが「補助ツール」になった
●12月(第2号):AIが「速くなった」
●1月(第3号):AIが「働き始めた」
●2月(第4号):AIが「背中を押した」
●3月(第5号):AIが「気づいたら隣にいた」
●4月(第6号):AIが「考えてから動いた」
●5月(第7号):AIと「並走し始めた」
6ヶ月間、このシリーズの主語はずっと「AI」でした。AIが変わった、AIができるようになった、AIが隣にいた。
今月、初めて主語が変わった。「私が動いた」月でした。
並走、という言葉を選んだのは、AIがリードしているわけでも、私がリードしているわけでもないからです。どちらが先でもない。隣を走っている。それが今、一番正直な感覚です。
6月号(第8号)では、「Antigravity 2.0を実際に使い込んだ結果」と「連携の世界で見えてきたもの」を書く予定です。

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