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資産7500万円・地方公務員が、資産を最も増やした投資――日本のインフレ転換を見て、銀行株と商社株へ資金を移した理由

私の資産を最も増やした投資は、約20倍になったビットコインでも、約15倍になった個別株でもありません。
最も大きかったのは、ここ数年の日本株上昇に乗れたことです。

その中でも、日本のインフレ転換と金利正常化を見込み、銀行株と商社株を中心に合計1,500万円を投じた判断が、資産全体を大きく押し上げました。

3メガバンク+5大商社の株価上昇率

2024年頃に約4,000万円だった資産は、2026年には約7,500万円になりました。もちろん、この増加にはビットコインや半導体株、そのほかの日本株の上昇も含まれています。それでも、資産全体に最も大きな影響を与えたのは、日本経済の前提が変わると考え、その変化にまとまった資金を置いたことでした。


長く続いた「物価も金利も上がらない日本」

日本では長い間、物価も金利も上がらない状態が続いていました。

企業は、原材料費が上がっても販売価格へ転嫁することが難しく、値上げをすれば消費者が離れると考えていました。

金利も、ほぼゼロの状態が続いていました。

この環境では、銀行は貸出金利を引き上げにくくなります。一方で、預金金利にはゼロという事実上の下限があります。

そのため、銀行は預金と貸出の金利差を広げにくく、長期間にわたって収益を伸ばしにくい状態にありました。

銀行株が割安なまま放置されていたのも、将来の成長を期待されにくかったからです。

私自身も以前は、銀行株を大きく値上がりする銘柄とは見ていませんでした。

配当を受け取りながら保有する、地味な投資先という印象でした。

しかし、その前提が少しずつ崩れ始めました。

一時的な値上げではないと考えた理由

2022年ごろから、にわかに物価上昇が騒がれ始めました。これはロシアによるウクライナ侵攻によるものがきっかけです。しかし当時、私はすぐに「日本はインフレへ転換した」と判断したわけではありません。

原油や資源価格の上昇、円安による輸入価格の上昇であれば、それらが落ち着けば物価も下がる可能性があります。

一時的な値上げと、経済構造そのものの変化は、分けて考える必要がありました。

私が注目したのは、個々の商品価格ではなく、企業や人の行動が変わり始めていたことです。

以前であれば、企業は原材料費が上がっても、簡単には販売価格へ転嫁できませんでした。

しかし、次第に値上げを受け入れる空気が広がっていきました。

人手不足も慢性化し、賃金を上げなければ人を確保できない企業が増えていました。

賃金が上がり、人件費や物流費の上昇が販売価格へ転嫁される動きも強まっていました。

2024年の消費者物価指数では、生鮮食品を除く総合指数が前年比2.5%上昇しました。春季労使交渉でも、賃上げ率は約30年ぶりの高い水準となりました。

単に輸入物価が上がっているだけではありません。

賃金、人手不足、企業の価格設定、金融政策が、同じ方向へ動き始めていました。

私はこの変化を、日本がデフレを前提とする経済から、緩やかなインフレを前提とする経済へ移る兆候だと考えました。

日銀の政策変更と仮説の現実化

2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を終了しました。

同年7月には政策金利を0.25%程度へ引き上げ、2025年1月には、さらに0.5%程度へ引き上げました。

長く続いた「金利がほぼ存在しない世界」が、少しずつ変わり始めました。

この段階で、単に物価が一時的に上がっているだけではないと判断しました。

少なくとも、日本の金利が永遠にゼロのままという前提は崩れ始めています。

そして私は、銀行株と商社株を中心に、大きな資金を投じることにしました。

なぜ銀行株だったのか

銀行株を選んだ理由は、金利上昇の恩恵を最も直接的に受ける可能性があると考えたからです。

銀行は、預金などで集めた資金を企業や個人へ貸し出します。

預金金利と貸出金利の差は、銀行にとって重要な収益源です。

金利がほぼゼロの世界では、その金利差を広げることが難しくなります。

しかし、政策金利が上がり、貸出金利も上昇する環境になれば、銀行の収益構造は改善する可能性があります。

実際に、円金利の上昇や貸出残高の増加によって、銀行の資金利益は拡大していきました。

ただし、私は「金利が上がれば、銀行株は必ず上がる」と考えていたわけではありません。

金利が急激に上がれば、銀行が保有する債券の評価損が膨らむ可能性があります。

景気が悪化すれば、貸し倒れに備える費用も増えます。

重要なのは、金利が上がること自体ではありません。

金利上昇による利益が、債券損失や信用コストを上回る状態になるかどうかです。

私が想定していたのは、金利が短期間で急騰する展開ではありませんでした。

長い時間をかけて、日本の金利が少しずつ正常化していく展開です。

その場合、経済や金融機関への負担を抑えながら、銀行の収益環境は改善していく可能性があります。

銀行株は、その変化を最も分かりやすく取りにいける投資先だと考えました。

なぜ商社株も選んだのか

銀行株が金利上昇を取りにいく投資なら、商社株はインフレそのものを取りにいく投資でした。

総合商社は、資源やエネルギーだけでなく、食料、金属、機械、インフラ、物流など、幅広い事業に関わっています。

私は商社株を、単なる資源価格連動株とは見ていませんでした。

世界各地に事業や権益を持ち、さまざまなモノやサービスの流れに関わる企業群だと考えていました。

インフレが続けば、現金の価値は相対的に下がります。

一方で、資源、設備、事業権益など、実物経済に結びついた資産の価値は上がりやすくなります。

円安になれば、海外で得た利益を円に換算した際に、利益が押し上げられる場合もあります。

私にとって商社株は、特定の資源価格だけに賭ける投資ではありませんでした。

インフレ、資源価格、円の価値、海外経済の成長といった複数の変化に対応できる企業群でした。

銀行株と商社株は、同じ理由で買ったわけではありません。

銀行株は、金利のある世界への回帰です。

商社株は、物価が上がる世界における実物資産と事業価値です。

性質の異なる二つの投資先を組み合わせることで、日本のインフレ転換を複数の方向から取りにいこうと考えました。

実際に投じた1,500万円

この判断に基づき、私は銀行株、商社株、その他日本株に合計1,500万円を投じました。

内訳は、3メガバンクに各200万円、5大商社に各80万円、日経高配当ETFに200万円、その他個別株(地銀、証券等)に300万円です。

3メガバンクへの投資額は、合計600万円です。

金利の正常化による収益環境の改善を最も強く期待していたため、この中で最大の資金を置きました。

5大商社には、合計400万円を投じました。

一社に集中するのではなく、各社に80万円ずつ投資しました。

商社はそれぞれ事業構成が異なります。資源分野への依存度や、非資源事業の強さ、海外で展開する地域も同じではありません。

どの一社が最も上昇するかまで正確に当てる必要はないと考え、5社へ分散しました。

さらに、日経高配当ETFに200万円を投じました。

銀行や商社以外にも、インフレや企業収益の改善、株主還元の拡大から恩恵を受ける企業はあります。

そのため、高配当株全体にも資金を置きました。

一つの企業に1,500万円を集中させたわけではありません。

しかし、日本のインフレ転換と金利正常化という一つの大きな見通しに対して、銀行、商社、高配当株という複数の投資先から資金を置きました。

将来を完全に予測できなくても、経済全体の方向性は読めることがあります。

私は、どの一社が最も上がるかを当てるのではなく、その変化から恩恵を受ける企業群に、資金を置きました。

完全に確信していたわけではない

ここまで読むと、私が日本のインフレ転換を完全に予測し、確信を持って投資したように見えるかもしれません。

実際には、そこまで単純ではありませんでした。

日本が再びデフレへ戻る可能性もありました。

賃上げが一時的に終わる可能性も、景気が悪化して日銀が利上げを続けられなくなる可能性もありました。

私が大きな資金を投じられたのは、未来が確実に見えていたからではありません。

仮にインフレ転換という想定が間違っていても、撤退すればよいと考えていたからです。

当時の銀行株と商社株は、私の感覚では、予想が外れた瞬間に致命的な損失が発生するほど割高ではありませんでした。

想定どおりインフレと金利上昇が続けば、大きな上昇が期待できます。

一方で、想定が崩れれば、状況を確認して売却できます。

上昇した場合に得られる利益に対して、間違っていた場合の損失を管理できると考えました。

だからこそ、合計1,500万円を投じることができました。

確実になってからでは遅い

投資では、すべてが明らかになるまで待てば安全に見えます。

日銀が何度も利上げを行い、銀行の利益が増え、株価も上がったあとなら、「銀行株に追い風が吹いている」と誰でも説明できます。

しかし、その段階では、変化のかなりの部分が株価へ織り込まれています。

一方で、何の根拠もない段階から未来を予想して投資すれば、単なる賭けになります。

必要なのは、完全に確定する前に、変化を示す複数の事実を集めることだと思っています。

一つのニュースだけで判断するのではありません。

物価、賃金、企業行動、金融政策、市場の反応を見ます。

それらが同じ方向を示し始めたときに投資します。

そして、予想と違う方向へ動き始めたら、最初に置いた前提を見直します。

私が銀行株と商社株へ大きく投資したのは、未来を言い当てる自信があったからではありません。

変化が起きている可能性が高まり、間違っていた場合にも対応できると考えたからです。

銘柄を探す前に、経済の前提を考える

投資を始めた頃の私は、上がりそうな銘柄を探していました。

業績が伸びている企業や、割安に見える企業を探し、その中から投資先を選んでいました。

もちろん、今でも個別企業の分析は必要だと思っています。

ただ、資産が大きく増えた場面を振り返ると、個別企業の数字だけを見ていたわけではありません。

まず、経済や社会の前提が、どちらへ動いているかを考えていました。

物価は上がるのか。

金利は上がるのか。

技術はどの産業を変えるのか。

国や企業は、どこへ資金を使うのか。

その変化が一時的なものではなく、数年単位で続くと考えたとき、最も恩恵を受ける場所へ資金を置きます。

日本のインフレ転換を見て、銀行株と商社株を選んだのも、その一つでした。

ただし、これは現在も銀行株や商社株を買えばよい、という話ではありません。

私が投資した時点と現在とでは、株価も金利も、市場に織り込まれている期待も違います。

同じ銘柄であっても、買う時期と価格が違えば、まったく別の投資になります。

この記事で伝えたいのは、銀行株や商社株という答えそのものではありません。

銘柄を探す前に、これまで当然だと思われていた前提が変わっていないかを考えることです。

そして、自分の予想が外れる可能性を残したまま、損失を管理できる範囲で変化に資金を置くことです。

それが、私の資産を最も大きく増やした投資判断でした。

今後も、次の構造変化、資金の置き場所、資産形成の経緯や投資判断についても順次考察していこうと思います。続きが気になる方は、フォローしていただけるとうれしいです。

※本記事は、筆者個人の投資経験と考え方を紹介するものであり、読者それぞれの状況に応じた個別の投資助言ではありません。投資信託には元本割れの可能性があります。商品の内容、手数料、リスクなどを確認したうえで、ご自身の判断で投資してください。

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