#11 『なかなか味わう事のない問題』|無職のエッセイ〜早すぎた人生の余暇かスローライフか〜
「どうして何度も何度もこう、こっちが悪者みたいに言われなきゃいけないんですかね?」
ドヤの共同生活において、ちょっとした揉め事に遭遇したとき、本能的に出た言葉がこれでした。
これだけ聞けば私が悪者みたいに捉える人もいるでしょう。
何回注意しても直さない厄介な人みたいな感じで・・・
静かにドヤ生活を送りたいのに、よくわからない事で難癖をつけられたこちら側としてはとにかく不快でしかなかった記憶があります。
最終的に管理人も巻き込んだ騒動となったのですが、「なんで揉めた?またお前なのか!前もこんな事あったのにまた懲りないのか!」と、難癖つけて来た相手を一括したときはスカッとしました。

このとき普通なら何日も引っ張る事じゃなくても、大きな揉め事となるのがドヤ生活なのかもしれない。
小さな生活のズレが大きくなるのはルームシェアなどの共同生活あるあるでしょうが、ドヤの生活はその中でもかなり特殊な気がします。
・冷蔵庫は共同。各階のフロアに二台ずつ置いてあるもの一台に対し、部屋番ごとに4〜5人の割り振られた人たちで使用すること。
というちょっとしたルールが私のドヤにはあるのですが、部屋を移動したとき割り振られた冷蔵庫も別のフロアの冷蔵庫に変わりました。
その際に管理人から、「一人で結構なスペースを使ってる人がいるから上手くやって!」と告げられました。
部屋を移動してから早速確認すると、冷凍庫をスペースを埋め尽くす食品の数々・・・
これを見て"今がこの状況なら、隙間を縫って使えば文句も言われないだろう"という考えが浮かびました。
しかしそれが良くなかった!
後々のトラブルと言うと大袈裟ですが、非常に『馬鹿馬鹿しい厄介事』に繋がったのです。
"しつこい人は嫌われる"、いつの世もそう言われる所以が分かりました。
まるでテトリスみたいに食品で隙間を埋め終わったある日、不意にSという男に声をかけられました。このトラブルの元凶の彼に。
「これあなたの?私のが潰れちゃうから、この冷凍物の上に置かないでもらえますか?」
ガラガラ・・・と引いた冷凍庫の中身を見せられた後の第一声がそれでした。
「あっ、すいません。気をつけます。」と、身に覚えがなかったですがその場はそう言って終わりました。
身に覚えがないのもそのはず。誰か別の人物が自分の荷物を入れたくて私のをズラしたからで、そんな事でグチグチと時間を費やしたくなかったからでした。
ほとんどのスペースを使ってる張本人を目にしても、正直関わらないでおこうという気持ちが強く、それ以外に何も感じませんでした。
少し経ち、別日に声をかけられるとまたしても冷凍庫を開くS。
今度は「これがまた上に乗ってたので気をつけてくださいね。」と。
またしても前回と同じく別の誰かが私のものをズラしたというケースだったので、今度は説明をする。
しかしどうやら理解していない反応・・・
どうやら"私のものが乗っていたから、やったのも私だ!"という思考のようで、それが揺るぎない信念かのようにぶつけてこられた。
「そもそも冷凍物なら叩きつけたりしない限りは崩れませんよ。」と言っても聞こうとしない。
どうやら私が相手しているのは想像力の欠けた粘着質だけで生きている厄介な中高年男性であったようでかなり面倒な場面に直面していた。
そして顔を合わせるたびに「私の荷物に・・・」とネチネチ言ってくる上、こういう可能性は想像出来ないのか?と何度も言っても「でもアンタに言うのが筋だろ?」と毎回訳のわからない方向にもってこうとしているので、こちらもかなりイライラが溜まるのです。
やがてこの小さな小さな馬鹿馬鹿しい厄介事が積み重なり『大きなストレス』へ変わり、"穏やかなスローライフ"は目の前からだんだんと離れていきます・・・
しかし取り返そうと思った時、そこそこ体に残ってたエネルギーをフル使用!
振り解いても寄ってくる馬鹿には徹底的にやるしかない!不本意でもそれが現実なのですね。
相手が相手なので冷静な頭で論破する・・・とはかけ離れイライラをぶつけて言い返す!という成人男性がやると非常にみっともない事にエネルギーを活用しました。
こんなエネルギーがまだ自分に残っていたとは・・・
その後Sはだんまりとその場に立ち尽くしていたが私は無視して部屋に。
"結果的に追い払った事で落ち着ついた生活を迎えられる・・・"
そう思った矢先、それに腹を立てたSに呼ばれた管理人がやってきてまた面倒になるのです。
しかし向こうの足りに足りない説明で不明点が多かったようで、「よく分からないけどSが怒ってる。何があったの?」と自然な流れでヒアリングが始まりありのままを説明。
そして再び呼び出され、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で立ち尽くすSの姿が。
いくら馬鹿者でも、自分が思っていた結果とかけ離れたことは想像出来たのでしょうね笑
ご立腹の管理人から「アンタ外で人と酒なんか飲んでないで掃除しなさいよ!なんでこの子が悪者になるの!?この子が言ってる事は考えなくてもわかるでしょうよ!」
何か言いたげだが、「でも、」「だけど、」しか返す言葉がなく立ち尽くすSを、"自分で身勝手しておいて怒られる情けない存在"と誰が見ても思うでしょう。
180センチ越えの高身長なのに、怒られるたびに縮んでいく姿がそれを分かりやすく物語っていました。
管理人から「アンタまた迷惑かけるなら、他の空いてる冷蔵庫に荷物移しなさいよ!」とSに指示が出るも、騒動の本人は動こうとしないので私が他のフロアに一時的に中身を移させてもらうことに。
ちなみにSの半分ほどの荷物なので、移動は一往復で済みました笑
今は元のフロアの冷蔵庫に戻してますけどね。
というか何回も冷蔵庫で揉めてるのかよ・・・厳しい言い方ですが、学習をしない人のようですね。
ちなみにそれからというものの、すれ違ってもお互い顔も合わさず。まぁほぼ向こうが一方的に無視してくる感じなのは正直癪に障るが、これ以上何も起きないなら別にどうということもないけど。
『このスペースここだけは空けときなさいよ!』と、管理人に強く言われたスペースも彼のものに埋め尽くされてます。
"あーもうこの人ダメだわ・・・"
どれだけ年齢が上でも、顕著に表れる人間的なレベルの低さにはがっかりですね。
管理人からあるとき言われた「あなたはこんなとこにいちゃダメよ!」の意味が今ならなんとなくわかりますね。
またあの張り紙は今から何ヶ月も前に貼られたもので、本人も何かしたという自覚があるなら自分で剥がしてもいいと思うのだが剥がしていない。
ということは、俺は悪くないという考えがずっとこびりついてるのだろう。
同じ空間に長い事居すぎて想像力が失われていった人からしたら、かなり重要度の高い出来事だったのだ考えられます。
ルームシェアや家族間なら「あぁ、ごめんね!」「あぁ、すいません!」で済むようなレベルの話でも、長く住み着いた人たちからしたらどうにも解せない話なのですよね。
そしてそこに年齢は関係ないことも・・・
"昔ながらの情緒あふれる世界"とは似つかわしくない小さな小さな"みみっちい揉め事"。
そのみみっちい揉め事を気にしつつ、ほんの少しの想像力をも失った人たちに囲まれた生活も、『なかなか味わう事のないもの』として一歩下がった目線で楽しんでる自分がいるのも確か。
どんな環境でも楽しめる時に楽しむ気持ちの余裕が生まれたこの生活も、決して悪くないですね。
Fin〜.

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