むらさきの便りvol.4 紫川はじまりの場所・満干谷(みちひだに)
みなさま、こんにちは!
今年も本格的な夏の季節に突入しましたね。
暑さを少しでも和らげる紫川のトピックを…と思い、今回は「紫川流域に眠る奇跡の湧き水」満干谷(みちひだに)をご紹介いたします!
いやいや奇跡っておおげさな。
なんて思っていませんか?
そんなあなたに伝えたい満干谷の魅力、頑張ってお届けします!
湧き水を学術的には「間欠冷泉」といいます。それらはすべて石灰岩地帯にあることが明らかにされており、地下水を溜めておく地下の空洞と、そこから流れ出る排水管がサイフォンを形づくった時にみられる水が地上へ湧き出る現象のことを指します。
サイフォンとは?
もしかしたら理科の実験や、喫茶店で見かけたことがあるかもしれません。
こちらの図は、満干谷をはじめ長年間欠冷泉を調査研究されてこられた藤井厚志先生の著『満干の潮の研究:福岡県北九州市小倉南区の間欠冷泉』から、岡山県、潮滝の水理構造モデルを表したものです。

地下水が(イ)に溜まり、(ハ)~(ニ)の高さを溜まると、逆U字管路を水が流れはじめ(ロ)へと流れ出ていきます。空洞内の水が(ホ)~(ヘ)まで落ち着くと、管路内に空気が入りはじめ、水の流れは止まります。まさに、自然界に生まれたサイフォンです。
ですがここからでてくる水は周期的に、水量も規則的にでてくるものではないのです。また前日に雨が降ったから水量が多くなるというわけでもない。いつ、どれくらいの水量が、どれくらいの時間の間で噴き出してくるのかは現在も詳しくは明らかにされておらずです。ですが、藤井先生の著書によると、月や太陽の引力、月の公転による遠心力などが働き合って生まれる起潮力と呼ばれるものによって変化があるそう。
ますます不思議な間欠冷泉・満干谷。
こうした現象を生み出す場所が生まれるのもまた奇跡なのですね…!
現時点で日本に5つしか発見されてないらしく、岡山県の「潮滝」、広島県の「一杯水」、福井県の「時水」、熊本県の「息(呼吸)の水」があるなかで、北九州市のここ「満干谷」はなんと日本最大級を誇ります!
一体なにが最大級かといいますと、地上へ噴き出る最大流出量は37リットル/秒(他4か所は2~17リットル/秒)、さらに湧き出る前の水がめ(貯留槽と呼ぶそうです)の容積は、息の水を除く(息の水は明らかになっておらず)3か所で最も大きいのが時水の20立方メートル強に対し、満干谷はなんと…約790立方メートル!!!一般的な家庭用浴槽は約200立方メートルと考えると、お風呂4杯分の容量があるということですね。
下は参考にした長年の満干谷の研究を日記のようにわかりやすくまとめられた藤井厚志先生の書籍。「満干谷と月の関係」「サイフォンはどれくらい奥にあるのか?」など、一緒に調査している気分になれる非常に興味深い一冊です。
実はここ満干谷、2021年に水環境館で一度調査に来た場所。その時は若干水が出ているくらいで、水がごうごうと音をあげて噴き出ている間欠冷泉の姿をとらえることができませんでした。
ちなみに一回目の調査の時は、わたくし研究員ぴーちゃんがまだ水環境館にいなかった頃なので、ずっと来てみたかったところなのです。この動画では所長カワボウズさんが案内しています(こちらもぜひご覧ください^^)
以降の満干谷探検記は写真がメインとなりますが、上流の涼しげな雰囲気がきっと伝わってくるはず!
さあ、われわれ紫川河川文化研究所探検隊一行は日本最大の間欠冷泉大噴出を目撃することができたのでしょうか…!!!
さてさて、調査に行きましたのは6月下旬。
梅雨明け前で、数日前に雨が続いた後の日でした。
出発点は紫川の起点碑がある吉原川と山の神川の合流点です。ちなみにヘッダーの画像はその起点碑を撮った写真、「紫川はここから始まっている」という印になっています。
ですが、われわれはその手前。つまりもっと源流部に行ってみるということになります。見られるかわからない、水がしぶきをあげて湧き出ている瞬間を目撃することを期待していざ、満干谷へ!





いよいよ満干谷のある地点に近づいてきました。お水は出てるかな…?


で、出ている!!!
小川の水が流れるほどのスピードで、石と石の間の噴出口から流れ出ていました!あまりのうれしさに、ここまでの二時間の道のりも忘れるほど。

暗くてよく見えませんが、水は絶えず出ています
ただ、結論を言ってしまうとこれはサイフォンを経由した水の「噴出」とは言えなかったのです…。前回訪れた経験者カワボウズさんによると、この時に出てきていたお水はサイフォンを通っていない地下水か、または前々日に降った大雨の水が流れ出ていた可能性が高いそうです。残念!
動画でも撮ってみました。(下のダウンロードからご覧いただけます。)

ここまで頑張って歩いたご褒美ということに^^
ここまで2時間、地図読みしながら道らしき道がないところを通ってきたので、かなりヘトヘト…。変態ルートと名付けました。とはいえ、せっかく福智山山系に足を運んだので、焼立山に出て、福智山山頂まで目指すことにしました。(山のこととなると疲れはすぐにとれるものです)





あそこまで今日見た水は旅をするのです

小倉南区・頂吉の名前の由来になったと言われています
さて、むらさきの便り「紫川のはじまりの場所 満干谷」編はいかがでしたか?縄文時代からあったと言われ、江戸時代にその存在が発見され、そして今に残る…そんな奇跡の自然現象が私たちの住んでいる紫川流域には眠っているのです。
自然の奇跡とは、言われないと当たり前に思えて、それがどこか遠い存在に感じがち。ですが、今回実際に訪れた満干谷を見て、数えきれないほどの条件が重なり合って生まれた間欠冷泉をはじめ、自分のまわりの自然や環境、そして私たち自身も!唯一無二のかけがえのないものなのだと、感動する流域探検になりました。
まだまだ紫川流域にはたくさんの発見がありそうです!この夏、学校の自由研究や大人の方も紫川流域を探検したり、流域の地図を眺めてみたり、家の一番近くの水路を辿ってみたり、川の冒険をしてみてはいかがでしょう^^
灼熱の日々が続きますが、体調に気をつけて過ごしましょう!今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました!
(追記)
第3回流域はっしん!での、満干谷紹介の様子はこちらから✶
