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フィットネスクラブの倒産が増加。それでもマシンピラティスが増えているのはなぜ?

帝国データバンクの「フィットネスクラブ」の倒産動向(2026年1-7月)のレポートを読みました。それによると、フィットネスクラブの倒産が過去最多ペースだそうです。

「フィットネスブームも終わって、市場が成熟期後半に差し掛かってる?」

そんなふうに思いましたが、ちょっと引っかかったので、矢野経済研究所のフィットネス施設に関する調査を実施(2025年)も読んでみました。そこでは、2024年9月~2025年8月には、民営フィットネス施設が1,266施設も新規開業という調査結果が。

「あれ?
倒産も増えているけど、新規開業も増えているんだ」

市場が縮んでいるというより、「淘汰」が始まっている?

プロダクト・ライフサイクルは、
導入期 → 成長期 → 成熟期 → 衰退期
というサイクルですが、フィットネス市場全体を見ると

  • 市場規模は高水準

  • 新規開業も多い

  • 新しい業態も増えている

  • 一方で競争と倒産も増えている

という状態です。

これらをプロダクト・ライフサイクルに当てはめるなら、私は「成長期後半から成熟期へ向かう途中」に近いのではないかと考えました。

「倒産が増える」は、必ずしも需要がなくなったということを意味せず、

市場が伸びる

参入企業が増える

似た店が増える

顧客の奪い合いになる

強い店と弱い店が分かれていく

という「シェイクアウト(淘汰)」が始まったという考えです。


その中で伸びる「マシンピラティス」

フィットネス全体では競争が激しくなっていますが、マシンピラティスは急速に店舗を増やしています。なかでも目立つのが、女性を主なターゲットにしたスタジオです。

Rintosull:2025年6月100店 → 2026年夏260店超
pilates K:2024年12月60店 → 2026年6月159店

この店舗数増は、かなり驚異的です。
では、なぜ普通のフィットネスクラブではなく、マシンピラティスなのでしょうか?


「運動する場所」ではなく、「身体を整える場所」

従来のジムは、
痩せる・筋肉をつける・運動する
が中心。

一方、マシンピラティスでは、
姿勢を整える
身体を引き締める
ボディラインを整える
身体をメンテナンスする

といった言葉が並びます。

さらに、「女性専用」「きれいな内装」「音楽」「部位別プログラム」「初心者でも始めやすい」などを組み合わせています。

「運動不足だからジムに行く」では動かなかった人でも、「姿勢を整えたい」「身体のラインを整えたい」なら動くかもしれません。商品そのものだけではなく、顧客が買う理由まで作り替えているように感じます。


個人的に面白いと思ったのが「セミパーソナル」

普通のグループレッスンには、
「安いけれど、自分が正しくできているのか分からない。」
という面があり、
一方でパーソナルは、
「しっかり見てもらえるけれど、高い。」
という面があります。

例えば、ヨガの先生1人に対して20人であればコストを抑えられます。しかし、個別指導してもらうとどうしてもコストは高くなります。

マーケティングでは、既存の隙間を狙うことがありますが、今回、グループとパーソナルの中間に位置するのがセミパーソナルです。

そして、マシンピラティスは「マシン」と「セミパーソナル」の相性がよいと感じています。同じレッスンでも個人のレベルに応じて負荷の調節が可能なため、「グループレッスンの効率」と「パーソナルの個別性」を両立しやすいためです。

つまり、マシンピラティスでは、グループレッスンの生産性 × パーソナルの付加価値という新しいポジションの商品も作りやすいのではないかと感じました。


市場が成熟すると、「新しい市場」がその中から生まれる

私の見立てでは、フィットネス市場全体は「成長期後半から成熟期へ向かう途中」に近い状態です。しかし、その中を見ると、

  • 総合型

  • 小規模型

  • 24時間型

  • ヨガ型(マシンピラティスを含む)

  • パーソナルトレーニングジム

などがあり、それぞれライフサイクルが違いますし、業界全体が成熟しても、その中から新しい成長市場が生まれていきます。これはフィットネスに限らず、飲食業界やIT業界でも同様です。

カフェは昔からある成熟市場なのに、2001年にはメイドカフェという新業態が登場しました。

IT業界でも同じです。企業がコンピューターを使う市場そのものは既に成熟しています。それでも、自社でのサーバー所有からクラウドが生まれ、最近では人がすべてコードを書く開発から、AIと一緒に開発する市場が急速に伸びています。

市場が成熟したからといって、その市場から新しい成長領域が生まれなくなるわけではありません。

「フィットネス」という成熟しつつある市場の中でも、「女性向け」「マシン」「セミパーソナル」など、既存サービスをさまざまな形で再設計することで、新しい成長領域が生まれています。


数字を見るときは、「反対側の数字」も探してみる

帝国データバンクの「倒産23件」 だけを見ると、
「フィットネス業界は厳しくなっている」
と感じますが、
「年間1,266施設が新規開業」
という数字を見ると、違う景色になります。

そして、
マシンピラティスが急増している
まで見ると、さらに景色が変わります。

悪い数字を見つけたときほど、その反対側の数字も探してみる。
「倒産が増えているなら、開業はどうなんだろう?」
その一手間だけで、同じニュースから見える景色はずいぶん変わるのかもしれません。


今回は「思考メモ」として書き始めましたが、長くなって普通の記事になりました。本来の「思考メモ」シリーズでは、日常で感じたこと、仕事で考えたこと、記事やニュースを読んで引っかかったことを短めに書いています。

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村田 裕樹 最後までお読みいただきありがとうございました! サポートもうれしいですが「スキ」をしていただけると大変励みになります!!

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