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「答えがわかったら、試験勉強の必要がない」中学生の僕を哲学の絶望から救った、友人のあまりにも鋭い一言。

僕がまだ、中学生になりたてくらいの時のことです。

前に記事にも書きましたが、
その頃の僕は、本屋さんで見つけた手塚治虫の「火の鳥」を
読み始めた頃でした。

本屋さんに平積みされた、
漫画としては珍しくハードカバーで、
リアルなイラストが描かれた豪華な本。

当時、漫画の単行本はたしか1冊340円くらいだったはずですが、
そのハードカバーの本は1冊1000円。

「奇面組」や「こち亀」の単行本とは、
とにかく気合が違う!オーラが違う!


それに加えて、そのころ、
テレビで藤子不二雄の「まんが道」がドラマ化され、
家族で見ていました。

これを見て、わかったのは、
手塚治虫といえば鉄腕アトムを描いた人だけど、

本当はもっと、
神様のようにすごい人で、
伝説的な存在であるという
事実でした。


そんな認識がいろいろ重なり、
僕は、毎月のおこづかいで、月に1冊。

「火の鳥」を買っていくことにしました。
つまり全部で12冊ある火の鳥シリーズを、
1年間かけて買っていったわけです。

読み始めると、
これまで読んでいた漫画とは、全く違うものであることがわかりました。
歴史や、科学、哲学、宗教などと結びつきながら、
深くて、壮大なストーリー。

ヒーローが出てくるわけでもなく、
ハッピーエンドになるとも限らず、

ただただ、さまざまな年代、シチュエーションのなかで
生きる人たちの、苦悩や、絶望、そして希望が
散りばめられていました。

とにかく、
衝撃的でしたし、どこか絶望的ですらありました。

面白いと思う気持ちと同時に、
不安な気持ちも現れてくる感じ。

宇宙ってなんなんだろう。
人間ってなんで生きているんだろう?

「火の鳥」という作品は、火の鳥自身は主役ではありませんが、
火の鳥という客観的(メタ)な視点から見た、
人間たちを眺める作品なんだと思います。

だからこそ、
客観的(メタ)な視点を突きつけられた時。


個としての自分と、メタな視点の自分の間に、
ギャップを感じて。
個としての自分の意味を見つけられなくなり、
不安が生まれたんだろうと思います。


今考えれば、
ちょっとした厨二病。

と言えばそうかもしれませんが、
中学生の頃の僕は
そんなことばかりを考えていました。


ある日ふと、
こんなことを聞いても仕方がないと思いつつ

「人間ってなんで生きているんだろうね?」

なんて、
友人に聞いてみたことがありました。

しかし、その時の友人の回答は、
おどろくべき鋭い回答でした。

「そんなのわかるわけがないし、知りたくもないよ、
答えがわかっていたら、試験勉強をする必要がないじゃないか。
答えがわかっちゃったらつまらないよ。」


僕は、言葉に詰まりました。
友人の回答は、あまりにもそっけなく、
あっけらかんとしていましたが、
その回答はものすごく的を得ているように感じたからです。

いつ試験がやってくるのかはわからないけど、
答えがわからないから僕たちは生きている。
そして答えを探し続けている。

我々が生きるのは、
その答えを見つけるためなんだとしたら、
今の自分が答えを理解できるはずない。

なるほど。

僕はこの時、
哲学的な疑問のループから抜け出し、
今の自分に向き合うことができたような気がしました。

後から、この友人に、
この名回答のことを話したことがありますが、
その友人はこのことを全く覚えていませんでした。

もしかしたら、
彼がこの回答をしていたとき、
火の鳥が上空を飛んでいたのかもしれません。

相変わらずメタな視点で。


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