【展覧会レポ】三菱一号館美術館「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」
こんにちは!博物館支援サークルミュゼさぽです!
本日は品川が担当します。大学では美術史を中心に学んでいて、西洋近代の美術が好きです。よろしくお願いします!
今回は、現在三菱一号館美術館にて行われている展覧会「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」のレポをしていきたいと思います!
【展覧会概要】
今回紹介する展覧会は、丸の内にある三菱一号館美術館にて、5月29日から9月7日まで開催されている「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」です。本展は、フランスのオランジュリー美術館が監修した世界巡回展で、日本では三菱一号館美術館が唯一の会場です。
ルノワールとセザンヌという二人の画家にフォーカスした展示で、彼らの作品を中心に展示されているほか、二人に影響を受けたピカソら後世の画家の作品も、オルセー美術館やオランジュリー美術館から出展されています。
印象派とポスト印象派という異なる枠組みで語られることの多い二人だけに注目して鑑賞できる機会は貴重であり、本展の見どころといえます。
【ルノワールとセザンヌについて】
本題に入る前に2人の画家について少し触れておきたいと思います。
ルノワールは、印象派を代表する画家であり、職人の息子として生まれ、光と色彩を重視した描写で、美しさと幸福感を追求しました。人物画ではやわらかい質感と豊かな色彩で鑑賞者に親しみを感じさせます。
一方、セザンヌはポスト印象派の巨匠であり、「近代絵画の父」の異名を持ちます。銀行家の家庭に生まれ、形や構造を重視して対象を幾何学的に捉えて描き、この彼の描き方は、キュビズムをはじめとして後世の芸術に大きな影響を与えました。
このように並べてみると、彼らは出自も画風も対照的に思えます。しかし、実は彼らには家族ぐるみの交流があったり、ともに第一回印象派展に参加していたりという接点があり、さらに、ピカソに大きな影響を与えたことなど様々な共通点があるのです。
今回の展覧会では、そうした「共通点」と「違い」を同じ空間で味わえるのが大きな魅力です!
【鑑賞してみて】
ここから、実際に私が鑑賞してみて印象に残ったことを紹介したいと思います!
会場に入ってすぐ、セザンヌとルノワールの静物画が出迎えてくれます。ルノワールの《花瓶の花》とセザンヌの《青い花瓶》。どちらも青い背景に花瓶を描いていますが、それぞれにアプローチの違いがあることがわかります。

ルノワールは花の色彩の鮮やかさや柔らかい質感をいきいきと描き、目にした瞬間に気分が明るくなるような華やかさがあります。
一方、セザンヌは、花や花瓶を形としてとらえて描き、色彩も落ち着いていて、静かで落ち着いた印象を受けます。
同じ主題の作品が隣り合って展示されていることで、二人の画風の違いが一目で感じられ、それぞれの個性がより際立って見えました。
また、展覧会の中盤では、二人が自らの家族を描いた人物画も展示されています。写真は、ルノワール、セザンヌともに息子を描いた作品です。


ルノワールの作品からは、温かなまなざしと幸福な家庭の雰囲気が伝わってきますが、セザンヌは、形や線を重視した描写で、少し距離を感じます。ルノワールは生活の一瞬を切り取ったような構図であるのに対し、セザンヌはポーズをとらせているという違いも印象的でした。
同じ「家族」というテーマを描きながら、画家の性格や画風がそのまま表れているようで、とても興味深く感じました。
後半には、ピカソをはじめとする後世の画家の作品も展示されていました。撮影不可だったためぜひご自身の目で見ていただきたいのですが、ピカソの人物画とルノワールの人物画、セザンヌの静物画とピカソの静物画が並べて展示されていて、セザンヌの構造的な表現やルノワールの豊かな色彩が、ピカソの作品にどのように受け継がれたのかを実感できました。
【おわりに】
印象派展などで何度も鑑賞したことのある二人の展示でしたが、二人だけにフォーカスすることで新たな発見がありました。
同じテーマでも描き方や印象が全く違うということ、そしてその影響が後世の画家たちにいかに受け継がれたかということを体感できる貴重な展覧会です。また、ルノワール、セザンヌともに初期から晩年の作品までそろっていて、彼らの画風の変化も感じることができました。
今回は紹介しきれませんでしたが、このほかにも多くの心惹かれる作品がありました。この企画展は9月7日まで開催されています。ぜひ、美術館に足を運び、二人の作品を比べて楽しんでみてください!
