親が心配している間に、子どもはもう一歩進んでいた ー次男のピアノ教本を開いた夜に気づいたこと ー
新しいことを始める前、
まだ何もしていないのに、
親のほうが先に不安になることがあります。
それは、次男のピアノの教本を開いた夜のことでした。
次男は4歳。
先生からすすめられた次の教本は、
はじめてのピアノアドベンチャーCと
ピアノランド1。
「ついていけるかな」
「また途中で嫌にならないかな」
まだ一音も弾いていないのに、
頭の中では不安だけが先に走っていました。
まず流したのは、
ピアノアドベンチャーのCD。
このシリーズは、
A・B・Cどれも共通して、
最初にテーマソングが入っています。
今ではその曲が流れるだけで、
次男(と長女)は自然と体が動くようになりました。
ノリノリで、
踊りたくなるような、
すっかり“おなじみの曲”。
でも、次の曲を聴いて、
私は思わず身構えました。
テンポが、とても速い。
「これは、音源に合わせるの大変そうだな」
「1曲目から、つまずかないかな」
親の頭は、また先回りです。
歌詞には、さっそくハイドンが登場します。
「♪お茶はいかがです?ハイドン先生」
まだ演奏はしていないのに、
CDを聞いただけで、
次男はこの曲を
「おちゃのきょく」
と呼ぶようになりました。
作曲家の名前が増えていくのが、
どうやら楽しいらしいのです。
そして、もう一冊。
ピアノランド①。
1曲目は、
「どどどどドーナツ」。
ドしか出てこない、
ドーナツの歌。
次男にとっては、
完全に“ご褒美”みたいな一曲です。
楽譜を見た瞬間、
私は心の中で思いました。
「……これなら、できるかも」
楽しさが、ちゃんと見える。
その瞬間、
ふっと肩の荷が下りた気がしました。
おわりに
次男は、音や指よりも先に、
世界や物語から入る子です。
ドーナツ。
お茶。
作曲家の名前。
大人が「簡単」「難しい」と
判断してしまいがちなところより、
その子なりの入り口を、ちゃんと見つけている。
ピアノが弾けたかどうかより、
曲が「自分の中に入ってきたかどうか」。
まだ演奏していなくても、
「お茶の曲」と呼べるくらい、
もうその子の中では始まっているのかもしれません。
教本は、進めるためのものというより、
世界に入るための扉。
その扉が少しでもやさしく開くなら、
ゆっくりでも、遠回りでも、それでいい。
今日も、
音が少なくても、
テンポが速くても、
ちゃんと音楽と出会えている。
そんなふうに思えた夜でした。
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この記事が「うちだけじゃなかった」と感じるきっかけや、少し気持ちが軽くなる時間になっていたら嬉しいです。
同じように悩むご家庭に届く記事を、これからもコツコツと言葉にしていきます。