#43それは大胆な!(ドビュッシー小組曲・En bateau 小舟にて)
まえがき
少しずつ春が来ていますね…窓の外から、ポッポッと蛙の声が聞こえます。何より、防寒具無しで家事ができることが嬉しい。朝から温かく感じる陽の光を浴びながら動けるのは、ありがたいことです…
イントロ
ああ、そろそろ小組曲1曲目の「小舟にて」解析しなきゃ…いえ、別に後回しにしたいわけ…でもないんですが、いやね、そうしたいのかもしれないというのは…
大胆なんですね、ヴェルレーヌの詩が。
知らずに譜面ヅラのみで弾いていたときは、6/8拍子の「舟歌」のリズム♩♪♩♪にのせて、音からのイメージのみで気持ち良く弾いていたこともありました。ヴァトーのシテール島の巡礼の絵画をざっと見たくらいでは、また、堀口大学訳も美しい意訳のため(結構際どいですけれど)、そのイメージを覆すことはなかった…いや、それじゃやっぱりあかん、詩と音楽を長く続けている身としては、ヴェルレーヌ自身の「詩」に向き合わないと…
指使いの妙技
と、その「詩」のクダリを先に書いてしまうと、気分が斜め上の方向に向かい始める可能性があるので、練習しながら随所でこだわっている指使いを書いておこう…などと思っておりますが、ドビュッシーの曲を弾くための指使いは、おそらく十人十色と思っておりまして…
楽譜も出版社色々出ており、その版の校訂者、あるいは研究者の提案した指使いを見ても、以外と自由、時には自由奔放に書かれてございます。わたしは学生時代は安川先生の音楽之友社版、いまはDurand版をベースに使用しております。
その、わたしのDurand版に指使いの記載はありません。運指は根っから自由です。委ねてくれます。時々細部に渡って書いてある安川先生音楽之友社版を比較の参考にはしますが、最終的には自分の好みを選択する、という風です…
例えば、ここは、多分、こんな指使いをするのは、わたしだけなのではないだろうか…わたしの指先の感覚なのでいささかどうでもいいし、どなたの参考にもならないと思いますが、もしかして面白いかな

で、続くトニックの音は2、と…
そんなこんなを考えるのも、尊い時間です…
特にわたしがこの曲で気をつけているのは親指の感覚で、これが強く固くで過ぎることを避けたい、そんな指使いを考えているうちに、日が暮れます…
憧れと反感
いやぁ、詩のことをずっと避けてると、本当に今日が終わってしまうので、書くとすると…ヴェルレーヌの時代と今の感覚は違うといえど、いくらリュリの抒情悲劇による愛の語らいをと言えど、男性優位視点で描かれた詩と見てしまって…などから当時の女性の気持ちを想像するには困難を伴うので、はい、結果、音作りに長く煮詰まっているという…浅はかなのか、わたし…
例えば、始まりの一節に
C'est l'instant, Messieurs, ou jamais,d'être audacieux,
紳士の皆さん、大胆になるまたとないときです
とか
et je mets mes deux mains partout désormais!
そして、わたしは大胆に両手をほうぼうに置きます…
とか…
二節になると騎士が女性にいたずらなウィンクを投げかけるとか、三節も神父が女性の告白を聞くとか、もう色々と、
Cependant la lune se lève
小舟にて、は月夜、つまり夜が舞台なんですね、
ヴァトーの、艶やかな宴の種類に、夜はあるのかな…
いやいや、主観は入れたくないものの、ヴェルレーヌのこの詩に憧れと反感がつのっているのか、夜の、つまり視界不良の、水に浮かぶ小舟の上、つまり閉鎖空間状態での状況を詩にしたであろうその宴の、そこにいる女性たちの気持ちを想像することは苦難で、おそらくファム・ファタールをして弄ぶか開き直るか屈辱か…
とまぁ、今、わたしが思いつくのは、
…とりあえず、もう一度、ヴェルレーヌ詩の背景と、ドビュッシー曲の背景を調べ、その中で、わたしなりの夜の帷を呼び起こし、その愛をのせた船の情景を想像していく方向で、結局は哀しみに揺れ動いて行く気持ちなどを音に抽出し…音つくりに繋げる…など、
どのような音を出そうか、の旅は、まだ続く…
構成音の妙技のまえがき
一方で、ドビュッシーの構成音の妙技には、唸るばかりです。1stと2ndと、連弾の互いを見渡しても、色々と見つかってゆきます。
それはたくさんあるので、明日書こうと思います…
そして、カスエラ…
いま、代田橋のビストロから帰ってきたばかり、絶品のカスレが食べたくて、行ってきました。フランス語でカスレ、バルセロナではわたしたちはカスエラと言っていた、豆を使った鍋料理。シラーの発泡ワインとともに。
La girouette最高。ごちそうさまでした。
カスエラ、わたしにとっては、下宿のおばさんが長年作り続けた母の味。


胃がとろけてます。トロトロです。トロンとしてました。温泉の湯もとろみがついている方が好きです。とろみ最高。
今日もお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m
音楽温泉 akikoMJ
あとがき
冒頭の写真、場所は横浜港、船は客船飛鳥です。En bateauから船の写真を探そうとしましたが、昔の客船飛鳥だけが出てきまして、揺れた大船渡への演奏旅行を思い出すことに。ピアノは固定されているのでわたしは揺れに身を任せて弾くだけで済んだけれど、共演のヴァイオリニストは足を大股に開き腰を落として身体を安定させ、歯を食いしばって笑顔で(笑)弾いていた、船上演奏あるある体験…
