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Duality / Slipknot──凶暴かつ、耳に馴染む 【楽曲レビュー12】

Slipknotは1995年、米アイオワ州デモインで結成された“基本9人編成”のヘヴィロックバンド。

マスクとジャンプスーツで固めた視覚的インパクトの暴力性が先に来るけれど、音のほうも同じくらい過激で、メタル/ハードコアを核に、ロックバンドとしてのパートはもちろんのこと、サンプラーやDJ、複数パーカッションまでを抱える大所帯で、文字通り聴くものに音をぶちかましてくる。

そんな彼らの代表曲「Duality」は、3rdアルバム『Vol. 3: (The Subliminal Verses)』からの先行シングルとして2004年5月4日にリリース。

プロデューサーはリック・ルービン。余分な要素を削ぎ落として骨格を浮かび上がらせるようなミニマルなプロデュースが特徴で、過去2作を手がけたロス・ロビンソンとは違う質感に仕上がっている。

初期2作のエクストリームな方向性を突き詰めるのとは別のベクトルで、メロディや構成の妙を前に出す方向へ踏み込んだ曲だと思う。

凶暴さを残したまま、間口を広げた曲

「Duality」は、Slipknotによる“ハードロックの解釈”として受け取っている。コード感が強調され、メロディもしっかりわかりやすい。歌い上げる比率が高いのも、この曲の入口の広さにつながっている。

Slipknotの“凶暴さ”を残したまま、フックで一般層の耳も掴みに行く。そのバランスが絶妙だ。

楽曲構造の面白さもこの曲の魅力と言える。同じセクションでも様々なバンドアンサンブルで魅せながら、一度乗ったら一方通行の動く床に乗せられたまま、曲の結末へ運ばれていくような感覚がある。

聴き手の体感速度だけが上がっていく。この“構造的加速”のアイデアが、曲の前進感を作っている。

そして歌詞もいい。怒りを直接ぶつけるのではなく、比喩で綴っていく。過去に「罵倒語に頼っている」と言われたことへの反動もあったのか、

「Duality」では露骨な汚い言葉に寄りかからず、イメージで圧を作っていく書き方が際立っている。冒頭の「I push my fingers into my eyes(目に指を押し込む)」は象徴的で、コリィ・テイラーは偏頭痛のようなストレスの痛みを和らげようとする感覚として説明している。

MVはアイオワ州(ウェストデモイン)の“改築予定のファン宅”で撮影され、数百人規模のファンが集結して窓も壁もぶち壊す。密室に人間の熱量を詰め込みすぎて、画面から湿度が漏れてくる。

「汗の匂いが漂ってきそうなこのMV」だ。曲の持つ“息苦しい空気感”を、映像がそのまま増幅している。2025年には「Duality」がSpotifyで10億回再生を突破。構成の強さとフックの普遍性で、楽曲の魅力が世の人々に強く根付いている証なのだろう。

アーティスト紹介|Slipknot
Slipknotは1995年に米アイオワ州デモインで結成されたヘヴィメタルバンド。マスクとジャンプスーツ、そして基本9人編成(複数パーカッション、DJ、サンプラーなど)による“過剰な密度”で、90年代末のラウドシーンを異物として突き破った。

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