a fact of life / FACT──電子とバンドサウンドが完全に溶け合う 【楽曲レビュー05】
2009年という年は、日本のラウドロックシーンの盛り上がりが一際大きくなった節目の年だったと思う。春にはPay money To my Painが『after you wake up』、秋にはcoldrainが『Final Destination』など、シーンの重要作品が立て続けにリリースされた。
そしてシーンの中心でひときわ、えげつない火花を散らしていたのがFACTだった。高速なメロディック・ハードコアを得意とし、そこへカオティックな楽曲展開の面白さや電子音楽のアプローチまでを混ぜ込んで、自分たちの音を追求していったバンドだ。
「a fact of life」は、電子とハードコアの要素がいちばん気持ちよく暴れている彼らの代表曲である。2009年3月4日に配信限定シングルとしてリリースされている。
電子とバンドサウンドが完全に溶け合う温度まで上げ切る
この曲がインパクトを残した理由は単純で、「速い」「重い」だけじゃないからだ。
超高速で駆け抜ける土台の上に、機械的なエフェクトをまとったボーカル、そして相反するようなエモーショナルなメロディが同居している。激しいのに、耳が置いていかれない。とてつもなくフックが強い。
ハードコアとして暴れられるのに、クラブミュージック的な反復の快感もある。単純に電子と生身のバンドサウンドの掛け合わせではなく、「溶け合う温度」まで上げ切った感じがする。
そして、この曲は音だけで終わらない。ビジュアルが強い。
MVで突然出てくる「スーツ姿に能面」。この違和感が、視覚的にも強い引力になる。最初は戸惑うのに、曲がカッコよすぎて納得させられる。納得した途端、能面までクールに見えてくる。
「a fact of life」心に刺さったなら、ぜひ他の楽曲にも触れてほしい。FACTには、まだまだ驚くような展開を魅せてくれる曲がゴロゴロある。次に推す一曲は何にしようか。考えるだけでワクワクする。
アーティスト紹介|FACT
FACTは1999年結成の日本のハードコア/ポストハードコアバンド。Hiro(Vo)を中心に、超高速ドラムと叫ぶようなギター、オートチューンで機械的な質感をまとわせたボーカル、そこへエモーショナルなメロディを噛み合わせることで、唯一無二の“踊れる暴力性”を確立した。2025年10月5日、幕張メッセで開かれた主催イベント「ROCK-O-RAMA-THE END」をもって解散した。
