【エッセイ:第2回】ナンバープレートから見える風景
「1717」「2525」「1122」「3939」
この数字を見て、みなさんは何を思うだろうか。
私は車で通勤しているのだが、最近、ナンバープレートを希望番号で申請する人が増えているように感じる。愛車に自分の好きな数字や、ちょっとしたこだわりを込めている人を、よく見かけるようになった。冒頭に挙げた数字も、特に統計を取ったわけではないが、私が日常でよく目にするナンバーだ。
これらの数字を語呂合わせで読み替えてみると、「いいな、いいな」「ニコニコ」「いい夫婦」「サンキューサンキュー」──どれも思わず頬がゆるむような、ささやかな幸せを感じさせるものばかりだ。
こうした数字の読み方には、私なりの独断と偏見による分類もある。たとえば、〈スポーツ編〉。「3」「17」「18」「21」「51」などを選ぶ人は、きっと野球ファンだろう。「17」は特に、大谷翔平選手の活躍の影響か、ここ最近急に増えた気がする。実は私も今、妻の勧めで「17」をつけている。
また、「23」といえば、言うまでもなくバスケットボール界の神様・マイケル・ジョーダンの背番号。バスケ好きなら、間違いなく心を惹かれる数字だ。「11」はサッカーを連想させる。サッカーに必要な人数(イレブン)であるのと同時にストライカーの象徴的な背番号として知られ、こちらも熱い思いを感じさせる。
〈職業シリーズ〉も面白い。「1129(いいにく)」は、肉屋さんかもしれない。「119」や「99」は救急車、「110」はパトカーを思わせる番号だ。
〈ラッキー編〉では、「777」「111」「55」など、縁起のよさを感じさせるものが並ぶ。「4649(よろしく)」といった語呂合わせも、ちょっとした挨拶のようでユニークだ。なぜかこういった番号は工事車両でよく見かける気がする。
一方で、「9674(苦労なし)」「9174(悔いなし)」のように、祈りや願いを込めたようなナンバーにもときどき出会う。誕生日や記念日と思われる「6.25」「10.20」、あるいは生まれ年と推測される「1974」「1998」も見かけることがある。
車そのものへの愛着が表れているナンバーもある。「34」は、日産スカイラインGTRの車体形式番号。「86(ハチロク)」はトヨタの人気車種、「2000」はホンダS2000、「19」は日産ジュークと、クルマ好きならピンとくる番号だろう。
さらに、ペットや動物にちなんだものも見逃せない。「1188(ワンワン ハチハチ?)」や「2222(にゃんにゃんにゃんにゃん)」など、可愛らしい響きの数字もある。想像の余地が広がる。ただの数字の羅列に、これほどまでに個性や感情が込められていると思うと、実に興味深い。
こうして通勤中、前の車のナンバーを何気なく眺めていると、まるでその人の「小さな物語」を垣間見たような気がしてくる。「いい夫婦」や「悔いなし」といった言葉には、その人なりの価値観や願いがにじんでいるし、「17」や「23」といったスポーツナンバーからは、憧れや敬意が感じられる。
もちろん、中には深い意味などなく、語呂の響きだけで選んだ人もいるだろう。けれど、そこに少しでも「好き」や「こだわり」が込められていると感じられると、不思議と心が和む。
私は、数字には「力」があると思っている。それは、いわゆる金運アップや占い的な意味ではない。数字を通して、その人の思いや好みが垣間見える、という意味での「力」だ。
たかがナンバー、されどナンバー。たった4ケタの数字に、その人の人柄や人生観までもがうっすらと映し出されることもある。きっと、私だけではなく、そう感じる人は多いのではないだろうか。
今の自分のナンバーを見て、ふと何を思うか──それは小さな自分探しのきっかけにもなる気がする。
次に車を買い替えるときは、自分自身の「小さな物語」を、数字に託してみようかな──そんなことを、赤信号で前の車の「2525」を眺めながら、ふと思ったのだった。
【第3回】「通勤風景の向こう側」をぜひ続けてお読みください。https://note.com/mute_finch2529/n/n341990da1f3c
毎週水曜更新です。ご期待ください。
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拙著『日本の英語教育のゆくえ』(幻冬舎)のあとがきの内容をまとめた動画はこちらです👇
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