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【あとがき】ふと立ち止まる、その先に。

あとがき

「一時停止違反からのストーリー」から始まったこのエッセイは、どうにも行き場のない感情を抑えきれず、自分の中の“もやもや”を言葉にしてみたことがきっかけでした。
ほんの一瞬の油断が、結果として、自分自身と向き合う長い旅の入り口になっていたのかもしれません。

あの日を境に、日常の見え方が少し変わりました。
通勤途中の風景や、街ですれ違う人々。その一人ひとりに、それぞれの人生があり、決して交わることなく、ただ一瞬だけ「交差」していく——そんな当たり前のことを、以前よりもくっきりと感じるようになった気がします。

その交差の断片を、形として残してみたい。
そう思い立って書き始めたのが、このエッセイでした。

日々の中でふと立ち止まる瞬間があります。
誰かの何気ない一言、季節の移ろい、偶然の出来事。
それらはどれも小さな断片でありながら、不思議と自分の内側に響くものでもありました。

このエッセイは、そうした「響き」を拾い集めた記録でもあります。

書き続ける中で気づいたことがあります。
それは、たとえうまく言葉にできなくても、「言葉にしようとすること」そのものに意味がある、ということでした。

完璧に伝わらなくてもいい。
むしろ、伝えきれなさの中にこそ、現実のあいまいさや豊かさがある。
そして言葉にならなかった想いは、きっといつか、別のかたちで誰かに届くのだと思います。

一時停止違反という、ささやかで少し苦い出来事から始まったこの旅は、思いがけず、自分自身の内面を静かに照らす時間になりました。

ここまで読んでくださったあなたに、もし何かひとつでも心に引っかかる瞬間があったなら、それ以上に嬉しいことはありません。
またどこかで、あなた自身の「ふと立ち止まる日」に出会えますように。

2026年 初夏
土屋  進一


このエッセイ全体をまとめたマガジンはこちらにあります。
ご興味のある方は、あわせてご覧いただけたら嬉しいです。

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