【エッセイ:第14回】🎂 誕生日の力〜ふと立ち止まる日〜
元日、年度初め、新学期など──
一年の中にはいくつもの節目がありますが、誕生日は誰にとっても「個人的で特別な感情」が宿る日ではないでしょうか。
子どもの頃はお誕生日会を心待ちにしていたのに、
大人になると年を重ねることを少しネガティブに感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、誕生日ほど特別な日はないと私は考えています。
👩🏫 教室で感じた「誕生日の力」
私は長く高校で教員を務めていました。
新品の制服に身を包み、緊張した面持ちで教室に座る高校1年生たち──。
その姿を見るのが、何より好きでした。
出会いの瞬間から始まるクラスづくりの中で、
少しずつ生徒の間に笑顔が増え、会話が生まれ、友だちができていく。
その「変化の瞬間」を見守る時間は、いつも温かく、かけがえのないものでした。
🎈 クラスづくりの定番「バースデーライン」
クラスづくりの定番アクティビティに「バースデーライン」というものがあります。
生徒同士がコミュニケーションを取りながら(ときには無言で)誕生月ごとに並ぶ──ただそれだけ。
でも、これが意外と盛り上がるんです。
教師の経験上、30名以上のクラスでは、ほぼ毎年1組か2組、同じ誕生日の生徒が現れます。
その瞬間、教室には歓声が上がります。
「えっ、一緒なの!?」
「すごい!」
偶然の一致が、不思議な縁を感じさせ、クラス全体が温かい空気に包まれる瞬間です。
💎 「縁」を感じる日
そんなとき、私は生徒にこう伝えていました。
「このクラスで、このメンバーに出会ったこと自体が、何かのご縁なんだよ。
この縁を大切にして、高校生活を楽しんでほしいと思います。」
教室にはエクセルで作成したクラスメイトの誕生日一覧を掲示し、
そのそばには稲盛和夫氏(京セラ創業者)の言葉を添えていました。
「人間はこの世に生を受けた時は原石のようなものであり、
後天的に磨き上げることではじめて光輝く宝石のような素晴らしい人格者になれる。」
🎉 「祝うこと」が生む絆
誕生日には、みんなでその子を祝います。
ある年、4月生まれの私のために、クラスがこっそり放課後サプライズパーティーを開いてくれたことがありました。
そのとき感じたのは、「祝うこと」には人をつなげる力があるということ。
すでにクラスに信頼と絆が育ち、互いを大切に思う関係ができている証でした。
🌿 年を重ねることの“味わい”
やがて大人になり、20代・30代・40代・50代と、
人生を10年単位で振り返るようになると、時の流れの速さに驚かされます。
今、私は50代を迎えました。
竹内まりやさんの『人生の扉』の歌詞が、心に深く染み入ってきます。
I say it’s fun to be 20
You say it’s great to be 30
And they say it’s lovely to be 40
But I feel it’s nice to be 50
この歌詞のように、年を重ねることには、その年代ごとの味わいがあります。
がむしゃらだった20代。
自分探しと挑戦に明け暮れた30代。
家族や仕事に向き合いながら自分を見つめた40代。
そして今、体力の衰えを感じながらも、人の痛みに寄り添えるようになった50代の自分がいます。
🕊 「これまで」と「これから」が交差する日
大学で教えるようになって、再び若者たちに囲まれる日々が戻ってきました。
彼らは人生の“これから”を歩み始める存在。
一方の私は“これまで”を積み重ねてきた存在かもしれません。
けれども、誕生日という一日だけは、
その人の「これまで」と「これから」が静かに交差する、特別な日だと思うのです。
💫 小さな魔法としての「誕生日」
誕生日は、自分がこの世に生を受け、生かされてきたことを
ほんの一瞬でも立ち止まって見つめる日。
過去の自分に感謝し、未来の自分に少しだけ期待を寄せてみる日。
だからこそ、私はこれからも
「誕生日の力」を信じていたいと思います。
誰かの誕生日を覚えていること。
その人を祝うこと。
そして自分の誕生日に、静かに感謝すること。
それは、人と人をつなぐ小さな魔法であり、
生きる意味をやさしく照らしてくれる光のようなもの。
次の誕生日がやってきたら、またふと立ち止まってみよう。
過去を振り返りながらも、前を向いて歩き出すために。
そして今の自分を、
少しだけ誇らしく思えるように。
🎂✨
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📖 次週の予告(毎週水曜日更新です。ご期待ください!)
第3章 親として、教師として
― 教育・子育ての現場で出会った「人間らしさ」の記録 ―
【第15回】親の背中、教師の背中
📖 本稿に共感された方へ
拙著『日本の英語教育のゆくえ』でも、
人と人との関係やコミュニケーションにも通じるエピソードをコラムで紹介しています。
ご興味のある方はぜひご覧ください。
エッセイ全体の目次はこちらです。
