見出し画像

第三章 不妊治療は、夫婦のプロジェクトだ

第一章では「まず病院へ行け」、第二章では「待合室で見た現実」を書いた。だから第三章では、少し視点を広げて、「不妊治療とは何か」を整理する章にすると流れがきれいだと思う。

第三章 不妊治療は、夫婦のプロジェクトだ

私は、不妊治療とは何なのかと聞かれたら、こう答えると思う。

「夫婦が、医学的な情報をもとに、自分たちなりの答えを探していくプロジェクト」

だと。

大事なのは、「思い込み」で進めないことだ。

「男だから大丈夫。」

「女性側に原因があるかもしれない。」

「そのうち何とかなる。」

そういった根拠のない前提条件で進めてしまうと、本来必要だったはずの時間や選択肢を失ってしまうこともある。

だからこそ、まずは検査を受ける。

男性側も、女性側も、それぞれが医学的に確立された方法で現状を確認する。

そして、その結果をもとに考える。

男性側に要因があるのか。

女性側に要因があるのか。

双方に要因があるのか。

あるいは、原因が特定できないのか。

そこが分からないままでは、どの道に進むべきなのか判断できない。

実際、海外では、不妊は「女性の問題」ではなく、「カップルの問題」として捉えられている。

最初の段階から男女双方を評価し、それぞれに必要な治療や対応を考えていく。

本来、日本でもそうあるべきなのだと思う。

不妊治療は、女性が頑張るものではない。

男性が「支える側」に回るだけのものでもない。

二人とも、当事者だ

そして、当事者だからこそ、時には意見がぶつかることもある。

治療を続けるのか。

少し休むのか。

別の方法を考えるのか。

その答えは、夫婦の数だけある。

正解はない。

だからこそ、お互いの考えを聞き、お互いの気持ちを理解しようとする姿勢が必要なのだと思う。

不妊治療は、ゴールまで一直線に進めるものではない。

時には立ち止まり、遠回りをしながら、それでも二人で地図を広げて進んでいくものだ。

だから男性へ。

「手伝ってあげる」という感覚ではなく、

「自分もその地図を持つ一人なんだ」

という気持ちでいてほしい。

それだけで、パートナーの見える景色は少し変わるのかもしれない。

そして、自分自身の見える景色もまた、変わっていくのだと思う。

ここで、「不妊治療=女性だけが頑張るものではなく、夫婦で情報を共有しながら進めるもの」という土台を作れたと思う。

次の第四章では、いよいよおじさん自身の話――

「できることは、全部やった。」

日本全国を回ったこと、思い出を作ろうとしたこと、そして離婚という結果に至ったことを、誰も責めず、淡々と綴る章になると思う。ここが、この文章の一番人間らしい部分になる気がするよ。

いいなと思ったら応援しよう!