見出し画像

おでんの餅巾着が消えた夜、私は夫に小さな不信感を抱いた


「え、餅巾着・・・全部食べた?」
「んー?ああ、覚えてないなあー」


その返事を聞いた瞬間、私は一瞬、言葉を失った。


朝、確かに3個入れた。パックから出して全部鍋に入れた。
私は夜遅く帰宅し、大鍋のおでんを温め直した。
でも、そこに餅巾着の姿はひとつもなかった。

たかが餅巾着。されど餅巾着。
この日から、我が家の静かな「おでん戦争」が始まった。



私は人材系の仕事をしているけれど、話しているうちに人生相談になることも多い。
特に夫婦関係の話題は意外と多くて、「ああ、こういうところに価値観の違いって出るんだな」と思わされる瞬間がある。特に、”食”に関することは想像以上に大きな違和感に発展する。


ある男性経営者は、こんな話をしてくれた。


「みいさん、おでんに蛸って入れます?」
「蛸・・・ですか?」

タコ?

「僕の元奥さん、関西出身なんですけど、結婚してびっくりしたんです。おでんに蛸を入れるなんて。彼女平然と“普通”って言ってきて、もうカルチャーショックで。」

おでんに蛸。高級食材だと思うんだけど。


でも彼には受け入れ難かったらしい。「出汁の味も違うし、具材のチョイスも意味がわからなかったなあ」


夫婦とはいえ、食卓には”見えない壁”があると気づかされた。




別の日、友人が真剣な顔で怒っていた。


「うちの旦那、卵を2個食べたのよ!おでんの卵を!」
「・・・それって、怒るほどのこと?」

「うちは4人家族。卵は4個。”1人1個が当たり前”でしょ?」
彼女はえらい剣幕で怒っていた。


「前から思ってたけど、ほんと自分のことしか考えてないのよね。誰かの分を残すっていう意識がないの」

その瞬間、私は思った。
食卓に現れるのは、食べ物じゃなくて”思いやりの有無”なのかもしれない。

全国的には、おでんの具として餅巾着を「よく入れる」と答えた人は約60%。「好きな具」としても全国3位にランクインするメジャー具材だけど、入れない家庭もある。※出典は後述


つまり「家庭によって、何を“当然”とするかは違う」ということ。

それはつまり、
“食べたことがある”
“いつも入ってる”
“好きだからとっていい”
という前提が、相手と共有されているとは限らないということでもある。


我が家の話に戻ろう。

夫は普段、おでんを作っても文句は言わない。むしろ喜んで食べてくれる。
でも、その餅巾着がひとつも残っていなかったあの日。私はちょっとだけ、胸がチクッとした。

たかが餅巾着。だけど、私は食べたかった。
「私の分も残しておこう」という、ただそれだけの気遣いがあったなら。
そう思った自分が、少し悲しかったのだ。


次におでんを作るときは、餅巾着をいつもの倍は入れるつもりだ。
今度は残っていなかったとしても、少しだけ笑えるような気がする。

いや、もしかしたら。
次こそ、ひとつぐらい残しておいてくれるかもしれない。そう思いたい自分がいるから、たぶん私はまだ、諦めていない。


あなたの家では、おでんの卵、何個食べますか?餅巾着、入れてますか?
たかが具材、されど具材。あなたの「家庭の常識」も、誰かにとっては驚きかもしれません。

※参考:紀文食品「鍋料理に関する調査2023」では、餅入り巾着を“よく入れる”と答えた人は全国で59.5%。また、OTONA ANSWERによる「好きなおでんの具」調査では、第3位(47.4%)にランクインしています。

▶倹約夫に隠れて使ってる出汁です。これだけで美味しくなるから味付けの仕方を忘れた。

最後までお読み頂きありがとうございました🙏
餅巾着が食べれなかった妻に励ましのスキやフォローを頂けたらうれしいです。

いいなと思ったら応援しよう!