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前の家から徒歩10分。それでも引っ越した理由

名古屋から神奈川県へ移住して2年。
わたしは、もう一度引っ越しました。


でも、今回の引っ越しは、ちょっと変わっています。
前の家から、歩いて10分。


引っ越したのに、生活圏はほとんど変わっていません。
それでも、この引っ越しには、ちゃんと理由がありました。


この2年で、ようやくこの地域のことがわかってきて、
「いい街だな」と感じる場面が増えてきたんです。


買い物の流れも、銀行の場所も、駅までの感覚も。
最初はどこも“知らない場所”だったのに、少しずつ、身体が先にわかるようになってきました。


あのスーパーならこれが買いやすい、とか。
この道は朝の空気が気持ちいい、とか。
駅まで歩くなら、こっちの道の方が落ち着く、とか。


そんなふうに、暮らしの輪郭がじわじわ見えてくると、
街が「住所」ではなく、「生活の場所」になっていくんですね。


気づけば、よく行くお店ができて、散歩の定番コースもできて、
「この道を通ると気分が戻る」みたいな場所まで増えていました。


そうして2年経った頃、夫婦ふたりとも、
なんとなく同じことを思っていたようです。


ここ、けっこういいよね。


将来はまた別の場所もあるかもしれないけれど、今はまだ、この街にいたい。


だから今回の引っ越しは、何かを大きく変えるためではなく、
今の暮らしを、もう少し気持ちよく整えるためのものになりました。


とはいえ、「この街が好き」という気持ちだけで、引っ越しを決めたわけではありません。


実際にはもっと、暮らしの中の現実的な理由がありました。


✧✧✧


1LDKが“急に狭くなった日”があった

今回の引っ越しは、
徒歩10分のまま、条件だけを整え直すようなものでした。


場所はそのままに、家の中の「ちょっとした窮屈さ」を見直したかったんです。


いちばん大きかったのは、夫婦ふたりとも、在宅で仕事をする時間があることでした。


前は1LDKでも、なんとか回っていたんです。
けれど、同じ家の中で、それぞれが仕事をする時間が増えると、
急に「ちょっと狭いね」が現実味を帯びてきました。


広さが足りない、というより、
重なるものが増えたのだと思います。


集中したい時間。
オンライン会議や通話のタイミング。
書いたり、考えたり、静かに作業したい時間。
その一方で、料理や洗い物、掃除といった生活の音もある。


わたしが家事をするときも、相手の集中をなるべく邪魔したくない。
逆に、どちらかが少し休みたいときに、もう片方はまだ仕事の途中、ということもあります。


どちらが悪いわけでもないんです。
ただ、1LDKだと、そのたびに少しずつ気をつかう。


その「少しずつ」が、毎日のことになると、思った以上に積もっていくんですよね。


家が、それぞれの仕事場にもなった。
そう思ったとき、わたしたちに必要だったものも、はっきりしてきました。


ほしかったのは、それぞれが静かに仕事できること。
それぞれが、ちゃんと呼吸できること。


たぶん、それだけだったんです。
でも、その“それだけ”が、暮らしにはすごく大事でした。


✧✧✧


新築の「きれい」は、想像以上にうれしい

今回は、新築物件を選びました。


新築って、もちろん分かりやすい魅力があります。
何もかもが新しくて、まだ誰の暮らしの跡もない。
空気まで少し違って感じる。


最初に部屋に入ったとき、「ああ、きれいって気持ちいいな」と、素直に思いました。


でも、住んでみてわかったのは、
新築のよさは、見た目の新しさだけじゃないということでした。


きれいな空間にいると、不思議と、自分の動きまで整ってくるんです。


脱いだものを、そのまま置きっぱなしにしにくい。
使ったものを、ちゃんと戻したくなる。
少しだけ丁寧に暮らしたくなる。


もちろん、いつも完璧に片づいているわけではありません。
でも、整いやすい環境に助けられている感じがあるんです。


わたしにとっては、これが思っていた以上に大きかったです。


きれいな部屋に住むと、人生が劇的に変わる・・・
そこまで大げさな話ではないけれど、
少なくとも、日々の気分はちゃんと変わる。


家の中の小さな気持ちよさって、
毎日の土台になるんだなと思いました。


✧✧✧


お風呂が広くて明るい。それだけで毎日がごほうび

引っ越して、「これはほんとうによかった」と何度も思う場所があります。
それが、お風呂です。


前の住まいのお風呂は、正直、少しコンパクトでした。
入れないわけではないし、困るほどではない。
でも、どこか「さっと済ませる場所」になっていた気がします。


今の住まいのバスルームは、広くて、明るい。
その違いが、思っていた以上に大きかったんです。


足を伸ばして湯船につかる。
ただそれだけのことが、こんなに気持ちいいなんて。


湯気の中で、ふっと肩の力が抜けていく。
身体が「もう大丈夫」と言ってくれるような感じがする。


お風呂の時間が、“やらなきゃいけないこと”ではなく、
楽しみな時間に変わりました。


今日はどんな入浴剤を入れようかな、とか。
少し早めにお風呂に入って、ゆっくり温まろうかな、とか。


毎日の中に「気持ちいい」があると、暮らし全体が少しやさしくなる。


この家に引っ越してきて、わたしはまず、お風呂の時間に救われている気がします。


✧✧✧


キッチンが広いと、料理もコーヒーも“時間”になる

お風呂と同じくらい、引っ越して変化を感じているのがキッチンです。


前の住まいのキッチンも、日々の料理は問題なくこなせていました。
でも正直に言うと、少し狭くて、使い勝手もいまひとつ。
毎日のことだからこそ、その小さな引っかかりは、じわじわ積もっていた気がします。


今のキッチンは、広くて、きれいで、明るい。
まな板を置いても窮屈じゃない。
洗い物が少したまっても、前ほど気持ちが荒れない。
動きやすいだけで、こんなに身体がラクなんだなと思います。


料理って、手際とか技術もあるけれど、「ここでやりたい」と思えるかどうかも大きいんですね。


そして、もうひとつ。
このキッチンで淹れるコーヒーが、なんだかとてもおいしいんです。


同じ豆で、同じように淹れているのに。
味そのものが変わったというより、たぶん、淹れているときの自分の状態が違うんだと思います。


わたしはドリップ派なので、お湯を沸かして、粉をならして、少しずつ注いでいく時間そのものが好きです。


このキッチンだと、「今日はちょっと丁寧に淹れよう」が自然に起きる。


湯気が立って、香りがふわっと広がって、その時間の流れまで、少しやさしくなる気がします。


ここで毎日料理ができること。
ここでコーヒーを淹れられること。


キッチンって、ただ料理をする場所ではないんですね。
気持ちを整えて、暮らしを静かに回してくれる場所でもあるんだなと思います。


✧✧✧


便利さは、暮らしの粘着力

この街を離れたくなかった理由は、気持ちの面だけではありません。


駅まで徒歩圏内。
コンビニも、スーパーも、ドラッグストアも徒歩圏内。


こうして書くと、よくある条件のように見えるかもしれません。
でも、実際に暮らしてみると、この“ちょうどよさ”にずいぶん助けられています。


牛乳を切らしたとき。
今日は少ししんどいな、という日。
わざわざ車を出すほどではないけれど、近くにあったら助かるものって、意外とたくさんあるんですよね。


そういうときに、必要なものが徒歩で行ける範囲にある。
それだけで、暮らしのハードルが少し下がる。


派手な便利さではないけれど、こういうことが、毎日の安心感につながっているんだと思います。


「住む場所を決める」とき、つい間取りや設備に目がいきますが、
実際には、その家のまわりにどんな暮らしがあるかも、同じくらい大事でした。


この街には、そのバランスがありました。
便利すぎて落ち着かないわけでもなく、不便すぎて疲れるわけでもない。


今のわたしたちには、それがちょうどよかったんだと思います。


✧✧✧


都心すぎない場所が、今のわたしの暮らしにちょうどいい

わたしは、名古屋に住んでいた頃から、車で移動するのが日常でした。


今は電車の方を使うことが多いのですが、運転は今も好きです。
週に2回くらいは、ひとりで車で出かけています。
ふと思い立って車で出かけられることは、わたしにとって小さな気分転換でもあります。


だから住まいを考えるときも、駅に近いことだけではなく、
車で動きやすいことも、わたしの中では大事な条件でした。


あまり都心すぎる場所だと、便利ではあっても、道が混んでいたり、周囲がせわしなかったりして、運転するたびに少し緊張してしまいます。


その点、今の住まいのあたりは、駅まで徒歩圏内という便利さがありながら、少し都心から離れているぶん、空気に余白がある。


その“ちょうどよさ”が、わたしには合っていました。


電車でも動ける。
でも、車でも出かけやすい。


その両方があることで、暮らしの自由度が、思っていた以上に広がる気がします。
名古屋で暮らしていた頃には、こういう自由さはあまりなかったので、今のこの感じが、わたしにはとてもうれしいんです。


それもまた、この住まいに決めた大きな理由のひとつでした。


✧✧✧


さいごに。この住まいに決めた理由

前の家から歩いて10分。
距離だけ見れば、ほんの少しの移動です。


でも、その10分の中に、わたしたちが今ほしかった暮らしがありました。


静かに仕事ができること。
お風呂で足を伸ばして、ほっとできること。
キッチンでコーヒーを丁寧に淹れる時間があること。


電車でも動けるし、ふと思い立てば車でも出かけられる。


そんな日々の小さな気持ちよさが、少しずつ暮らしを整えてくれています。


以前のわたしなら、引っ越しというともっと大きく何かを変えるものだと思っていたかもしれません。


でも今は、遠くへ行くことよりも、毎日の暮らしを気持ちよく続けられることのほうがずっと大事に思えるようになりました。


今のわたしたちに必要だったのは、大きな変化ではなく、
今の暮らしを、もう少し心地よく整えることだったのだと思います。


あなたが今暮らしている場所には、
「まだここにいたいな」と思える理由はありますか?





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ピアノ講師×ご自愛コーチ One Heart すてきな記事だな、と感じていただけたらぜひ!サポートをよろしくお願いします。これからも有益な記事を書いていきます。