株式市場は戦争では想像以上に落ちにくい理由
(2026年4月12日公開動画)
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2026年に勃発したイラン戦争を受けて、株式市場が暴落するとの懸念が広がる一方で、これまでの歴史的なデータから、株式市場は戦争による地政学的リスクに一定の耐性を持つという楽観的な見方もある。
現在、投資家やアナリストの間では、株価の動向を巡る議論が活発化している。
過去の地政学的な緊張が株式市場に与えた影響を振り返ると、株価の下落は一時的であり、長期的には経済のファンダメンタルズが市場を支えてきた事例が多い。
今回のイラン戦争における株価の下落率は約7.4%であり、2018年や2019年の地政学的リスクが高まった際の下落率とほぼ同程度である。
このような状況を踏まえ、株式市場が戦争に耐えられる理由を歴史的な事例や現在の状況と照らし合わせながら分析する。
歴史的事例から見る地政学的リスクと株式市場
イラン・イラク戦争とタンカー戦争
1984年から1988年にかけてのイラン・イラク戦争では、両国が互いの石油輸出を阻止しようとした結果、ホルムズ海峡を通過するタンカーの航路が変更されるなどの混乱が発生した。
この「タンカー戦争」により原油価格は一時的に高騰したが、米海軍が介入したことで供給網全体が途絶えることはなく、世界的な大恐慌には至らなかった。
核開発を巡る制裁と海上封鎖の警告
2011年から2012年にかけて、イランが核開発を進めたことで欧米諸国が経済制裁を強化した。
この対抗策としてイランが「海上封鎖」を警告する事態に発展したが、実際には封鎖が行われることはなく、株式市場への影響は限定的だった。
地政学的リスクが高まり株価は一時的に下落したものの、長期的な経済活動への影響は抑えられた。
オマーン湾での緊張とその収束
2019年にはオマーン湾沖で日本のタンカーが攻撃を受け、米軍の無人機が撃墜される事件が発生。
軍事衝突寸前まで事態が緊迫化したが、最終的には外交と軍事的牽制によって収束した。
このように、地政学的リスクは市場に短期的な影響を与えるものの、長期的な経済基盤に深刻なダメージを与えることは少ない。
イラン戦争における株式市場の動向
株価の下落率と過去との比較
2026年のイラン戦争による株価の下落率は約7.4%であり、2018年や2019年の地政学的緊張時の下落率とほぼ同程度。
ドイツ銀行が1939年以降に発生した30件の主要な地政学的出来事を調査した結果、S&P500の平均下落率は約4%であり、平均してボトム形成までに15取引日しかかからないとされている。
今回のイラン戦争では、下落幅がやや長引いているものの、地政学的リスクの影響が基本的に短命であるという歴史的パターンが繰り返される可能性がある。

戦争よりも経済・金融ショックの影響
株式市場は戦争よりも経済や金融ショックによる影響を大きく受ける傾向がある。
例えば、第一次世界大戦や第二次世界大戦よりも、1929年の世界恐慌、1973年のオイルショック、2000年のドットコムバブル崩壊、2008年のリーマンショックなどが市場に与えた影響の方が大きかった。
これらの事例は、地政学的リスクが市場に与える影響が限定的であることを示している。
米国経済の強さが株式市場を支える要因
米国の株式市場が地政学的リスクに耐えられる背景には、強固な経済基盤と産業構造がある。
米国は、ベトナム戦争の敗北や同時多発テロなどの出来事を経験してきたが、国内産業基盤の物理的破壊を免れている。
このため、地政学的リスクが市場に与える影響は限定的であり、長期的には経済ファンダメンタルズが市場を支える傾向が続いている。
米国のエネルギー構造と地政学的リスクへの耐性
エネルギー供給国としての米国の強み
米国が地政学的リスクに耐えられる最大の理由の一つは、エネルギー供給国としての地位の確立。
70年代のオイルショック時には中東依存が深刻だったが、現在では石油やガスの生産国へと転換している。
この構造により、エネルギー価格の上昇が消費に与えるマイナス影響を、エネルギー部門の活発化によるプラス効果が相殺している。
SPRからの石油放出と製油所の変革
SPR(戦略石油備蓄)からの石油放出は、地政学的リスクに対する一時的な緩和策として機能しているが、その効果は限定的。
米国の製油所は依然として中東から輸入される重油を処理するように最適化されているため、自国産の軽油を輸出しつつ、重油を輸入し続ける必要がある。
この状況は現在変革の途中にあり、製油所の改良が進められている。
イラン戦争の今後の展望と市場への影響
中国との首脳会談と戦争の収束の可能性
5月中旬に予定されている中国との首脳会談が、イラン戦争の収束に向けた重要な転機となる可能性がある。
戦争が長期化すればエネルギー価格の上昇が続き、米国政権の支持率に影響を与える可能性が高まる。
歴史的に、米国有権者はエネルギー価格の上昇を容認しない傾向があり、政権の支持率を直撃することが予想される。
トランプ政権への影響と国内情勢
現在、米国ではトランプ大統領のインフレ対応に対する支持率が34%に低下しており、700万人がデモに参加する状況が続いている。
トランプ大統領やマルコ・ルビオ、JDヴァンスらが戦争の長期化を否定する姿勢を示しているが、実際に早期収束が可能かどうかは不透明。
11月の中間選挙までにエネルギー価格をどこまで抑制できるかが、政権の課題となっている。
株式市場の歴史的耐性と未来への期待
地政学的リスクへの市場の耐性
株式市場が地政学的リスクに耐えられる理由は、過去の事例からも明らか。
地政学的リスクによる株価の下落は基本的に短命であり、長期的には経済ファンダメンタルズが市場を支える傾向が続いている。
S&P企業の収益予想はイラン戦争の影響にもかかわらず上昇しており、米国の経済基盤の強さが市場の回復を支える要因となっている。
米国経済の強みとエネルギー構造
米国は、エネルギー供給国としての地位を確立しており、エネルギー価格の上昇が消費に与えるマイナス影響を、エネルギー部門の活発化によるプラス効果が相殺できる構造を持っている。
この強みが、地政学的緊張が市場に与える影響を抑制する要因となっている。

投資家の評価基準
投資家は、戦場の状況と企業の収益創出能力を明確に分離して評価する傾向がある。
バークレイズのストラテジストであるアジャイ・ラジャは、地政学的ショックには最初の衝撃があるものの、その後は経済ファンダメンタルズによる挽回が見られるという一貫したパターンが存在すると指摘している。
結論
株式市場が戦争に耐える理由は、地政学的リスクが市場に与える影響が短命であること、米国の強固な経済基盤と産業構造、エネルギー供給国としての地位にある。
過去の事例や歴史的データからも、戦争による株価下落は一時的であり、長期的には経済ファンダメンタルズが市場を支える傾向が確認されている。
今回のイラン戦争における株価の下落は、過去の地政学的緊張時と同様に抑制されており、米国経済の強さが市場の安定を支えている。
ただし、戦争の長期化やエネルギー価格の上昇が政権の支持率に与える影響は無視できず、今後の動向を注視する必要がある。
歴史が示す通り、戦争の影響は短期的なものであり、長期的な市場動向は経済の基盤によって決定される。
投資家は、地政学的リスクに惑わされず、企業の収益力や経済のファンダメンタルズに基づいた判断を続けることが求められる。
イラン戦争の行方と株式市場の動向を引き続き注視しながら、今後の展開を見守る必要がある。
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