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「税金のムダ」の本質は、政策目的の曖昧さにある?

「税金のムダ」と聞くと、多くの人は、不要な公共事業や使われない施設、不正支出など、目に見える浪費を思い浮かべるだろう。

しかし、日本版DOGEが本当に見直すべき「ムダ」は、もっと見えにくい場所にあるのではないか。

それは、政策目的が曖昧なまま制度や予算だけが積み上がる政策設計である。

政策の目的が明確なら、「何を達成すれば成功なのか」「どこまで税金を投入する価値があるのか」を判断できる。

また、成果を継続的に確認する仕組み(モニタリング)があれば、想定どおりに進まない場合でも早い段階で修正できる。

しかし、目的が曖昧な政策では成果を測る基準が存在しない。

その結果、問題が起きるたびに新しい制度や補助金、組織、規制を追加するしかなくなる。

そして、それらは一度作られると簡単には廃止できず、将来にわたる固定費となる。

つまり、本来は政策設計段階で防げたはずの問題を、税金で後から補い続ける構造が生まれるのである。

私は、現在の国民負担の増大圧力の一因は、この「目的が曖昧な政策」の積み重ねにあると考えている。


外国人労働者政策は典型例である

外国人労働者政策にも、この構造が見られる。

日本は深刻な人手不足を背景に外国人材の受け入れを拡大してきた。しかし、その目的は十分整理されていたのだろうか。

例えば、

  • 一時的な労働力不足を補う政策なのか

  • 将来の日本社会の一員として受け入れる政策なのか

  • その両方を目指す政策なのか

この三つでは、必要となる制度設計は大きく異なる。

前者であれば、滞在期間や帰国、雇用管理が中心になる。

後者であれば、日本語教育、子どもの教育、住宅、医療、地域との共生など、長期的な社会投資が必要になる。

もちろん両立を目指すことも可能だ。

しかし、その場合は必要な人的資源・行政体制・財源を最初から織り込まなければならない。

そして、限られた予算の中では、何を優先し、何を見送るかという政治的判断が避けられない。

ところが、目的を曖昧にしたまま制度だけを運用すると、現場で矛盾が生じる。

そのたびに新たな制度や予算が追加され、行政コストは際限なく膨らんでいく。
(今もその状態ではないのか? そして、これからも続くのではないか?)

問題は外国人受け入れそのものではない。

目的を明確にせず制度を動かすことなのである。


「事後対応」は高くつく

例えば、介護大手ニチイ学館が受け入れた外国人家事支援人材では、契約終了後に帰国した人がいる一方、所在確認が困難になった人も発生したと報じられている。
日本版DOGE関連 (税金のムダ事例:介護大手のニチイ学館・外国人家族受け入れ)』参照

これは一企業だけの管理問題ではない。

外国人を「労働力」と考えるのか、「生活者」として受け入れるのかという国家としての方針が曖昧であれば、企業も行政も適切な制度設計を行えない。

その結果、本来なら防げたはずの問題に対して、

  • 所在確認

  • 相談窓口

  • 制度見直し

  • 監督体制強化

といった事後対応が必要になり、都度新たな税金が投入される。

また、家族帯同を認めるのであれば、公教育、日本語教育、医療、行政サービスなどへの影響を事前に見積もる必要がある。

一件一件は小さな支出でも、対象者が増えれば国家規模では数百億円、数千億円単位の固定費になり得る。

設計業務では、「なるべく設計の初期段階で弊害やリスクを低減する為の仕組みを盛り込む」のは当たり前だ。

ソフトウェア開発では「要件定義」という用語が使われるが、政策設計における「要件定義」はきちんとできているのだろうか?(とても疑わしい)

「何が必要か」、ではなく、「どのような要件を満たせば合格か」という基準だ。

内閣府の政策を見れば、これが極めて曖昧なことが分かると思う。
これを出発点にしては、これらの「政策」を具体化した様々な「事業」がムダを生むのは当たり前だろう。


問題は外国人政策だけではない

この構造は外国人政策だけの話ではない。

例えば、最近の副首都構想に関する国会質疑でも、神谷議員が繰り返し問いかけたのは、「この政策の目的は何なのか」という極めて基本的な問いだった。
総務省HPに掲げられた ”政策” はTODOリスト? 参考:国会副首都構想議論 内参照ください。)

しかし、政府側からは、その目的を一貫して説明する答弁はほとんど示されなかった。

・目的が整理されていなければ、成果も評価できない。
・成果が評価できなければ、予算の妥当性も検証できない。

これは、多くの政策に共通する課題ではないだろうか。


日本版DOGEが目指すべきもの

現在の財政議論では、「増税か減税か」「財源はあるのか」「国債を発行すべきか」といった、お金の量の議論が中心になっている。

しかし、本来その前に議論すべきことがある。

・何を目的として税金を投入するのか。
・その目的は国家として妥当なのか。(国民は賛成するのか?)
・成果は何で測り、想定どおりでなければ、どこで修正するのか。

この政策設計の仕組みが整って初めて、税金は未来への投資になる。

日本版DOGEが目指すべきなのは、単なる歳出削減ではない。

政策目的を明確にし、成果を測定し、効果の低い仕組みを改善することで、必ずしも「税金を減らす改革」ではなく、「税金が価値を生み出す確率を高める改革」を実現することではないだろうか。

税金のムダの本質は、「支出」ではなく「政策設計」にある。



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