「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」(財務省の資料の AI 評価検証-2)
このノートは11本のノート群の1つです。

前のノート(評価検証-1)では、「(日本の)国富」という外枠を基準に、財政審資料「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」で、抜けている視点や課題・問題がないかチェックをした。
当然、財政審以外の領域も含まれるので、そこで洗い出された項目は他の審議会などで議論されているという前提で(この前提が成り立つかどうかについては懐疑的だが)、この審議会でカバーすべき領域について同様の確認をしてみた。
問いかけ
それでは、「国家経営の一部門として」考えた場合、日本の現状の様々な問題について、この資料で抜けている視点、課題があれば、列挙して欲しい。
AI応答
非常に良い問いだと思います。
ここでは、財政制度等審議会資料(概要〜参考資料(3))を「財政政策資料」ではなく、「国家経営(National Management)の一部門としての財政戦略」として評価します。
その前提に立つと、資料は決して間違っているわけではありません。
むしろ、財政制約、高齢化、社会保障費、成長力低下、労働力不足については非常に精緻に整理されています。
しかし、国家経営という視点では、「国家を維持するための制約条件」には強いが、「国家を発展させるための戦略条件」について弱いという特徴があります。
以下、抜けている、または十分に掘り下げられていないと思われる視点を列挙します。
1. 「日本は何を目指す国なのか」という国家ビジョンの欠如
現状資料の問い
財政審資料の中心的な問いは、 限られた資源の中で、どう持続可能な財政を維持するか です。
しかし国家経営では、その前に、 どのような日本を次世代に残すのか という目的設定が必要です。
例えば、
・経済規模世界5位を維持するのか
・豊かさより安定性を重視するのか
・技術立国を目指すのか
・文化国家として存在感を高めるのか
・環境先進国を目指すのか
という国家像です。
目的地が曖昧なまま、財政手段だけ議論している状態になっています。
2. 「成長」の中身の定義不足
資料では、
・生産性向上
・投資促進
・GDP成長
が重要視されています。
しかし、
問題
GDPが増えれば国富が増えるとは限りません。
例えば、
・GDP増加:医療費増加
・災害復旧費増加
・環境破壊による修復費
でも発生します。
必要なのは、「量的成長」だけではなく、
・質的成長
・幸福度
・社会安定
・持続可能性
を含む成長指標です。
3. 日本企業の競争力低下への分析不足
資料では、 「生産性向上」、「投資促進」 を求めています。
しかし、なぜ日本企業が長期停滞したのか、という構造分析が不足しています。
例えば:
・企業統治
・短期株主利益への偏重
・経営者のリスク回避
・内部留保蓄積
・産業構造
・新産業創出力低下
・大企業中心構造
・スタートアップ不足
・人材経営
・人材不足
・国際経験不足
など。
「企業が投資しない」という結果だけではなく、「なぜ投資しなくなったのか」という原因分析が必要です。
4. 労働市場改革の視点不足
資料では、「労働力不足」として扱います。しかし本質は、 日本の人的資源を最大限活用できているか です。
問題例:
・年功序列
・転職市場の未成熟
・女性管理職比率
・高齢者活用
・外国人材政策
・若者の挑戦機会
など。
人口減少社会では、「人数を増やす」より、「一人一人の能力発揮」が重要です。
5. 少子化問題の原因分析不足
資料では、子育て支援、経済環境改善 を扱っています。
しかし、少子化は単なる所得問題ではありません。
背景には、
・結婚観の変化
・若者の将来不安
・住宅問題
・都市集中
・孤立化
・男女関係の変化
があります。
つまり、「子育て費用を補助する」だけではなく、若者が未来に希望を持てる社会設計が必要です。
6. 東京一極集中問題
資料では地方創生について触れていますが、根本問題としての、 東京への過度な集中 への踏み込みが弱いです。
問題:
・地方人口減少
・若者流出
・地方文化消滅
・首都災害リスク
国家経営としては、東京だけ強くすることはリスクです。
必要なのは、
・複数の中核都市形成
・地方大学強化
・地域産業育成
です。
7. 国土管理戦略の不足
人口減少時代では、 「どこに人を住ませるか」 は国家戦略です。
しかし資料では、 行政効率化の観点が中心です。
不足している視点:
・水源管理
・食料安全保障
・森林管理
・国境地域維持
・災害防止
です。
人口の少ない地域でも、国家安全保障上重要な場所があります。
8. 食料安全保障の弱さ
日本の重要課題ですが、財政審資料では中心ではありません。
問題:
・食料自給率
・農業人口高齢化
・農地維持
・種苗・肥料依存
食料は単なる産業ではなく、国家存立基盤です。
9. エネルギー戦略不足
安全保障部分では触れますが、国家経営としては不足しています。
問題:
・エネルギー自給率
・電力安定供給
・原子力政策
・再エネ依存
・資源外交
AI時代には、「電力確保能力」そのものが国力になります。
10. 科学技術政策の長期戦略不足
資料では、AI・半導体などに触れます。
しかし重要なのは、 (例えば)20年後の基盤技術をどう育てるか です。
不足:
・基礎研究
・大学研究力
・研究者待遇
・若手研究者育成
市場原理だけでは育たない領域です。
11. 国際競争環境への分析不足
世界は、
・米中競争
・経済安全保障
・サプライチェーン再編
・技術覇権争い
の時代です。
日本の国家戦略として、
・どの産業で世界と戦うか
・何を守るか
・何を海外依存してよいか
という選択が必要です。
12. 情報空間・民主主義基盤への視点不足
現代国家では、
・情報操作
・SNS分断
・フェイクニュース
・AI生成情報
が社会安定を左右します。
しかし財政資料ではほぼ扱われません。
社会の信頼性は国富です。
13. 国民の心理状態への視点不足
国家経営では非常に重要です。
問題:
・将来不安
・格差感
・努力しても報われない感覚
・社会への諦め
は、
・消費
・投資
・出生
・起業
を低下させます。
経済政策だけではなく、 「社会心理政策」 という視点が必要です。
14. 外交力・文化発信力
日本には、
・食文化
・観光
・アニメ
・工芸
・技術ブランド
があります。
しかし、国家ブランド戦略として整理されていません。
・文化は、外貨獲得
・国際的影響力
・国民の誇り
を生む資産です。
15. 国家危機管理能力
今後想定される、
・大規模災害
・感染症
・サイバー攻撃
・食料危機
・エネルギー危機
への備え。
効率化だけを追求すると、 「余裕(冗長性)」 が失われます。
国家には企業と違う、「無駄に見える余力」が必要です。
総合整理すると
財政審資料が強い領域:
領域 評価
財政持続性 ◎
社会保障改革 ◎
人口問題 ◯
成長投資 ◯
行政効率化 ◯
不足している領域:
領域 不足度
国家ビジョン 大
文化・自然資本 大
企業分配構造 大
少子化原因分析 大
国土戦略 大
食料・エネルギー 中〜大
社会心理 大
外交・文化戦略 中
結論
国家経営という観点から見ると、財政審資料の最大の欠落は、 「日本をどう縮小均衡させるか」は詳細だが、「縮小する時代に、何を守り、何を伸ばし、どのような国を作るか」という戦略論が弱い という点です。
言い換えると、この資料は「国家のCFO(最高財務責任者)的視点」では非常に優秀ですが、「国家のCEO(最高経営責任者)的視点」では不足している部分がある、という評価になります。
国家経営として本来必要なのは、
1.目指す国家像を定義する
2.国富を測定する
3.優先資産を決める
4.財政をその実現手段として使う
という順序であり、現在の資料は4から始まっている、というのが最大の論点だと思います。
どうだろう。非常に納得感がある内容ではなかろうか。
おそらく、「財政審の他の会議で議論している」とか「他の会議体でカバーしている」という声も聞こえてきそうだが、一番大切なのは、「それでは上記の全てを確認(把握・評価・議論など)している、会議体なり組織はどこか?」という問いに答えられるかどうかだ。
(おそらく、答えられないだろう)
少なくとも、このような全体像を共有するだけでも、かなりの効果があると考える。(本来は、総務省のHPに掲載すべきだと考える)
また、上記を様々な会議体に割り振れば、自然にロジックツリーができるはずだ。そうすれば、政策と「国レベルの目的」との連鎖も明確になる。
更にこれからの時代に重要、有用だと思うのは、上記には「恣意的な判断や価値観は入ってない」ということだ。
また、AI を使って評価すれば、国民誰もがほぼ同じフレームワークを使ってそのアウトプットを共有できるだろうことだ。
(ひょっとしたら、部分的に表現や割り振りが変わるかもしれないが、それは表現の選択のレベルになるだろう)
最低限、国会議員含む政治家は、このようなフレームワークを共有しておくべきではないだろうか。
ここまで書いて、日本版DOGEで「内閣府の ”政策” は、TODOリストのように見える」としたことも、この投稿内容と関係がある気がしてきた。
TODOリストは一種の ”ポジティブリスト” だ。それ以外の領域について何の言及もしてないが、実際には(仮に全てをリスト化すると) ”ネガティブリスト” と ”ペンディングリスト(その他全て)” になる。
これも興味深いテーマなので、『総務省HPに掲げられた ”政策” はTODOリスト? 参考:国会副首都構想議論』に纏めた。
肝心なのは、上記の AI の出力を「解答として」利用すべきではない、という点だ。本来の関係者が「他人事」として扱う限り、形骸化するのは目に見えている。
誰が(どの組織体が)このような「全体像」について、説明責任を果たせるのか明確にした上で、このような「全体像」をその「当事者」が責任を持って創り上げることだと考える。
AI の出力は、その議論の際の、叩き台としては十分有効だと考える。
では具体的にどうすればいい?
という話になるだろう。
議論の叩き台レベルのイメージを作ってみた。
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