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「何度言ってもスタッフが動かない」と嘆く夜に:ボスを降りて、リーダーになるということ

「どうして何度言っても、同じミスを繰り返してしまうんだろう」

「こっちは良かれと思ってアドバイスしているのに、なんだか不機嫌そうな顔をされる」

「気づけば、スタッフとの間にギスギスした空気が流れていて、お店に立つのが少し重い……」

霧島や姶良の街で、飲食店や小売店、小さな専門サービスを営む経営者や店主の方々とお話をしていると、売上の悩みと同じくらい、あるいはそれ以上に「スタッフとの人間関係や育成」についての悩みをよく耳にします。

人が足りない。採用してもすぐに辞めてしまう。思うように動いてくれない。

そんなとき、私たちはつい「うちのスタッフは意識が低いからだ」「今の若い子は……」と、相手のせいにしてため息をついてしまいがちです。

ですが、ビジネス選択理論のレンズを通してその現場を眺めてみると、私たちが無意識にハマってしまっている「ある大きなすれ違い」の正体が見えてきます。


私たちは、スタッフを「動かそう」としていないか

仕事がうまくいかないとき、リーダーや店主である私たちは、ついこんな手段をとってしまいがちです。

  • 厳しく注意して、やり方を「言いつける」

  • インセンティブや評価(賞罰)で釣って、無理やり動かす

  • 「こうあるべきだ」という正論で説得する

選択理論では、このように権力や恐怖、報酬、あるいは批判を使って「他人に強制し、自分の思い通りに動かそうとする関わり方」ボスマネジメントと呼びます。

確かに、ボスマネジメントは一時的な効果を生むことがあります。「怖いから言う通りにする」「怒られたくないから動く」という状態です。しかし、そこには信頼関係はありません。スタッフの心はどんどんすり減り、「言われたことだけをやればいいや(指示待ち)」という状態になるか、あるいは耐えきれずに辞めていってしまうのです。

なぜなら、選択理論の大原則として、「人間は、外からの刺激や強制では絶対に動かない(人は内側からの欲求でしか動かない)」という真理があるからです。

ビジネス選択理論が教える「リードマネジメント」への切り替え

では、スタッフが自らイキイキと動き、長く働き続けたくなるチームをつくるにはどうすればいいのでしょうか。

ここで必要になるのが、ボスではなく「リーダー(ビジネス選択理論を現場で実践する当事者)」としての関わり方(リードマネジメント)への切り替えです。

リードマネジメントの基本は、「相手をコントロールしようとするのをやめ、相手の『満たしたい欲求』と『頭の中の理想(上質世界)』に寄り添うこと」です。

スタッフも、店主であるあなたと同じように、心の中に5つの基本的なエンジン(欲求)を持っています。

  • 生存の欲求: 安心して働き続けられる環境や、生活の安定がほしい

  • 愛・所属の欲求: このチームの一員として認められたい、仲間と楽しく働きたい

  • 力の欲求: 自分のアイデアや仕事が役に立っているという実感がほしい、成長したい

  • 自由の欲求: 自分の裁量で工夫させてもらえる余白がほしい

  • 楽しさの欲求: 仕事の中にワクワクや、笑顔になれる瞬間がほしい

「どうしてうちのスタッフは動かないんだ」とイライラしてしまうとき、私たちは無意識に、自分のモノサシで相手をコントロールしよう(ボスマネジメントを)としています。

そうではなく、「このスタッフは今、どの欲求を満たしたくてこの仕事をしているんだろう?」「彼(彼女)の頭の中にある『理想の働き方(上質世界)』は何だろう?」と、視点を「相手を動かすこと」から「相手の動機を理解すること」へと変えてみるのです。


当事者同士として、お互いの「目的」を重ね合わせる

ビジネス選択理論がカウンセリングと違うのは、これが「カウンセラーと相談者」ではなく、「同じ現場で汗を流す当事者同士の関わり」だという点です。

店主であるあなたにも、叶えたいビジョンや守りたいお店の景色があります。そして、そこで働くスタッフにも、この仕事を通じて得たいやりがいや、自分なりの人生の目的があります。

「こうしなさい」と指示命令で型にハメるのではなく、

  • 「うちのお店で働くことで、どんな力をつけたい?」

  • 「どういう瞬間やりがいを感じる?」

  • 「一緒に、この街のファンを増やすためにどんな工夫をしてみたい?」

そんなふうに、お互いの欲求や大切にしたい景色(上質世界)について対話を重ね、「このお店で働くことが、あなたの人生の目的(満たしたい欲求)にもつながっている」という重なりを見つけていくこと。

それこそが、指示待ちではない「自立型の人材」育ち、スタッフが自ら進んで動き出すチームの土台になります。


コントロールを手放したとき、チームの空気が変わり始める

「スタッフが動かない」「すぐに辞めてしまう」というループから抜け出す第一歩は、スタッフを変えようとすることではありません。

「相手を自分の思い通りにコントロールしようとするのを、今日、やめてみる」こと。

そして、「相手はどんな欲求を持っているのだろう」「どうすればお互いの目的が重なり合うだろう」と、当事者としての対話を始めてみることです。

小手先のマネジメント論に頼るのではなく、お互いの人間性を尊重し合う「リードマネジメント」の視点を持ったとき、日々の店の空気は、そしてスタッフとの関係性は、驚くほど温かく、力強いものに変わり始めます。

今日の夜、あるいは明日の朝、スタッフに声をかけるとき。

「動かす」のではなく、「内側の欲求に寄り添う」としたら、どんな言葉を交わしますか?

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