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「そういうことが言いたいんじゃないんだけどな」児玉雨子<小説を書く理由>

小説のほうで書きたいものを書けるから心の余裕ができて、歌詞はテーマをうかがって、よほど反時代的、反社会的でなければフラットに検討できるようになりました。

FREENANCE MAGより

今回のnoteは、小説家が小説を書く理由、そこから小説の魅力を発信していきます。

今回は児玉雨子さんです。来月に発表される第169回芥川賞に小説「##NAME##」でノミネートされている児玉さんが、なぜ小説を書くのか?それを次の記事から探っていきたいと思います。

小説を書く理由

始めに、私の視点から考察してみます。

私は小説をひとりひとりの人間が自分の視点から世界を描く手段、そしてそれを他人に伝えるため手段だと感じています。

自分が見ている世界、社会を描く手段です。

作詞家児玉雨子が小説を書く理由

児玉さんといえば、作家活動だけでなく作詞家としても名高く、特にモーニング娘やハロープロジェクトの楽曲、さらにはアニメやゲームの楽曲制作でも活躍しています。

このような幅広い才能を持つ彼女が、最近ではさらに文芸活動に力を入れており、すでに単行本も出版されています。

児玉さんがなぜ小説を書くのか?

その理由から、小説が何を表現する手段となるのか?現代において小説がどのような意味を持つのか?この視点から小説の魅力を考えていきたいと思います。

①小説は自由度が高い表現方法

「最近は社会全体、特に若い人や音楽が好きな人たちには細かいことに配慮したり、作為を読もうとしてくれたりする傾向があり、みなまで言わなくても理解されることが増えたと感じます。」

FREENANCE MAGより

小説という表現方法の自由度です。

だれでもそれを見ることができる現代社会では、自由に意見を発信する一方で、相手がどう見るか、感じるか、配慮の必要性に縛られています。

自由なのに不自由。自由だからこそ生まれる制約がある。その結果、表現の幅が狭くなっていく。その中でも小説はまだまだ自由な表現方法であると思います。

②小説は時代の変化に左右されにくい

ここ最近、たかだか5年ほど前の曲でも「わ、古!」ってなっちゃうケースが急激に増えたなって痛感するんですよ。自分だけかなって思ってたんですけど、たまに大学生以下の若い人たちのツイートを見ると、「古いものだと思って割り切って見てるけど、たまに割り切れないものがある」みたいに書かれていて。

FREENANCE MAGより

今の価値観もあっという間に古いものになる。その中でも小説は時代の変化にあまり影響されにくい。

価値観や思考には時代を超越していくものがあると思います。
それらは時代と共に変わっていくものと共存し、組み合わさって、結果として現在の私たちの前にその姿を現している。

時代によって変わっていくもの、変わらないもの。その両方をひとつの物語に詰め込むことができる。それが小説という表現方法なのだと思います。

③小説はスイッチが入った時に書けばいい

小説はわたしの中で「書いてくれ」って言われて書く、という印象がなかったのもあり。そしたら折よくお声がけいただいて、コロナ禍でいったん仕事が全部止まったときに「あ、いまだ」と急にスイッチが入って書きはじめました

FREENANCE MAGより

小説は書こうと強く意識して書くものではないのかもしれない。

自分自身が今まで生きてきた中で、心が揺れ動いたもの、それのひとつひとつはバラバラなものが、何かの偶然で一つの物語にまとまる瞬間、それが小説を書く時なのかもしれない。

自分の中に“書きたい”という欲求はある。
それが突然目覚めたときに書き始める。

小説はとても今っぽい表現方法だ。

自分という”創造物”をつくるための小説

なぜ小説を書くのか?

それは自分自身が創造物であると仮定した場合、自分というその創造物を作り直すための手段として小説を選んでいる。

価値観がすごい早で変わっていき、その中で常に他者に配慮をして、社会が求めるものに応えて続けないといけない。このような状況で、それまでの自分を持ち続けたまま、自分自身を一度リセットし、新たに創り直したい欲求が生まれている。

そしてその手段として、言葉というツールを使って自分という創造物をつくる。そのために小説を選ぶ。

芥川賞候補作「##NAME##」

最後に、芥川賞の候補作になっている小説「##NAME##」を紹介します。

主人公石田雪那は、音は同じ「石田せつな」という名前でジュニアアイドルをしている。

アイスキャンディを舐めながらカメラに微笑む。小学校4年の時点で身長が150cmを超えるからか、撮影会は人は集まらない。毎日死ねというメール受信して、学校では一人で過ごす。まだ性器を露出していないだけましと言われる。

自分が生まれる前からすでにいるアイツ、
後から分かったような気でものを言ってくるアイツ、
「まともに傷ついてどうする?」とは言ってくれるがまともじゃない傷つき方は教えてくれないアイツ。

自分の努力ではどうしようもないもの。
##NAME##(名無し)はそいつらに対する防衛、抵抗、復讐?!

時代とともに変わらないもの、変わっていくもの。そのどちらも感じるとても今っぽい小説でした。

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