「未来」を読んで感じたこと
タイトルは「未来」なのに、中身は「絶望」に近い内容。
イヤミスの女王と呼ばれる湊かなえさんの10周年を記念した作品です。
未来って平等にあるのでしょうか?
ミステリー作品でありつつ、訴えるものが強すぎて・・・
✴簡単なあらすじ
主人公の章子に届いた20年後の未来の自分から来た手紙・・・
そんなところから話は始まります。
手紙に隠された謎とは?
章子に関わる人物の人生が一章ごとに描かれます。
具体的には、
4人の少女(章子、亜里沙、真唯子、真珠
(文乃))のエピソードから構成。
4人の少女は決して幸せな家庭環境にいない
ながらも、必死に生きている姿が描かれて
います。
✅章子は大好きだった父親が死に、人形のように心が壊れている母を守るために必死で奮闘
する。
✅亜里沙は大好きだった母親が死に、DVの父
に耐え、弟は自殺し、悲しみに耐えばがらも
暴力から逃れようと抵抗する。
✅真唯子は父と母に捨てられ、祖母に育て
られた。教師になることを夢見ながら、貧困と
闘う中で、大人に騙されながらも耐えていく。
✅真珠(文乃)は母親の自殺と父親からの性的
暴力、そして兄からの酷い仕打ちから心を
壊されながらも一人で生きていく決意をする。
このようなストーリー展開です。
未来からの手紙の謎はネタバレになるので秘密にしますが、最終章を前に分かってしまい
ます。というか、手紙のことを忘れるくらい
それぞれの少女の人生が重すぎます。
✴私がこの作品で感じたこと
まずこの作品が誰に対して訴えているのかを考えてみました。
子供に対する大人からの暴力といった側面が強く、
対象者としては
すべての世代ではなく、明らかに子育て世代の大人で間違いはないと思います。
少女たちを苦しめる根源となっているのは、
虐待、DV、不倫、売春、近親相姦、いじめ、
無関心というところでしょうか?
さらに、少女たちのアウトプット(抵抗)が
放火や殺人というものになっているんです。
不幸って連鎖するものなのでしょうか?
湊さんの作品の特徴として、複数の人生を絡ませるところがあります。
結びついた人生の先に何が見えるのか?
この作品のタイトルである「未来」は希望のある未来とはいいがたいのです。
誰しも過去には戻れない、先にあるのは未来のみ。
それが幸せであろうが、不幸であろうが訪れるわけです。
冒頭で未来からの手紙というスタートから、
人生再生計画という流れを想像していた私。
第一章から打ち砕かれ、重い十字架を背負わされた展開へと引き込まれました。
✴私から伝えたいこと
読者の方に学びを伝えるとすれば、
子供と向き合うこと。
虐待されようが、無関心であろうが、あなたの
子供にとって父(母)親はあなたしかいないの
です。
何を話していいか分からない、怒ってばかり
しまうなんて悩みをお持ちかもしれませんね。
それでも子供と向き合ってください。
あきらめたり、無視してはいけません。
本書の中で少女たちは本当の意味で両親を嫌っているわけではありません。
自分が生きるため、存在を守るため戦っています。
子育て世代の方には一度読んでいただきたい作品です。
