見出し画像

ASIとは結局何なのか?ビジネス的に役立つのは?~人類を「超越」する3形態の知能~

LLMの登場により、AGIやASIの実現が現実的になってきた…と言われて久しい。

実際に、o1 proのような推論モデル、DevinManusのようなエージェントなども登場してきており、エージェントの活動時間は7か月で2倍に伸びているという「エージェント版ムーアの法則」も発表されている。

エージェント版ムーアの法則

推論モデルやエージェントにより、ChatGPT登場当初よりも格段に複雑な作業ですら「民主化」されてきたように思われ、また、SOTAモデルが各種ベンチマークでの結果を塗り替える競争もまだまだ続いている。

そんなわけで、今回は、ASIとは結局何なのか…というより、人類を超越する知能とは何なのか、考えてみることにする。


更に速く: Artificial High-speed Intelligence (AHI)

一つ目が、人よりも速い、Artificial High-speed Intelligence、AHIである。

多くの既存のAIエージェントは、この領域で戦っている。

古くは真空管コンピューターのような原始的な計算機も、まずはこの領域で活躍したと言えるだろう。

AIは、人間より早く、人間と等価の成果物を出すという意味で、人間を超える。

このようなエージェントは、ビジネス的には、短期的に最も流行するだろう。

「効率化・時短・生産性向上」…LLMから、より複雑なAIエージェントまで、俗にいう「驚き屋」の投稿で最もアピールされているこれらの観点を実現する、より高速な知能。

それがAHIであり、そういう意味での超越は、既に始まっている。

ただし、AHIは、速いだけであって、そのままでは人類の知能の出し得る成果の限界を突破する能力は持たないという意味では、一般的な意味でのASIとは呼ばれにくいだろう。

更に先へ: Artificial Extended Intelligence (AEI)

二つ目が、人よりも先に進んだ成果を出す、Artificial Extended Intelligence、AEIである。

これは、解決可能な課題の難易度や深さにおいて、「既存領域で」人間の限界を突破する知能である。

Watson、Alpha Goなど、特定領域であれば既にこのような知能は存在するが、一般的には、現在のLLMなどの「AGIになりそうなAIたち」は、まだ人間のトップオブトップを超えるとはみなされていない。

ただし、共創することで、個人単体の限界を突破していけるようになった事例は既に報告されつつある。

実際には、しばしばAHIとAEIは重なり合わさり、「より速くかつさらに先へ」ということも多いだろう。

このタイプでは、二つの超越がありうる。

  1. 人間でも「時間をかければたどり着ける」はずのどこかに行くだけ
    これは、はっきり言うならAHIの亜種で、一見超越的だが、少なくとも一般的な意味でのASIではない可能性が高い。
    ただし、AHIの亜種であるがゆえに、ビジネスでは非常に強力な存在になりうる。
    また、現実的に社会発展を加速させるための最大の柱になる可能性もあるだろう。

  2. 人間がどれほど時間をかけても恐らくたどり着けないほど先まで行ってしまう
    このタイプのAEIは、少なくともその点においては、ASI的、超越していると言えるだろう。
    そのようなAIの最大の問題は、人間側が追い付けないことへの懸念である。
    現実的には、見せられることで人間が理解できうる範囲が、人間の参画を前提とする社会ではASIの機能を制限するボトルネックになるだろう。
    (その前提を手放せる度合い次第では、より爆発的な加速もありうる)
    ただし、そのボーダーを、人間に見せ続けることで引き揚げ続けられる可能性はあり、そういう意味では社会発展を加速させる可能性は十分にありうる。

新次元へ: Artificial Dimensional Intelligence (ADI)

最後は、人間にはまだない次元を追加するArtificial Dimensional Intelligence (ADI)である。

このAIは、人間が扱ってきた領域とは全く異なる「何か」を人間にもたらす。

ニュートンが「巨人の肩の上に立つ」という言葉を残しているように、人間の天才ですら、殆どは他の人に対してEI的であったに過ぎないことが多い。

このため、ADIは、間違いなくほぼ超越的である。だが、それは、人間には理解不能な可能性もあり、「異質さ」が際立つASIでもある。

現状、データセットを必要とするAIには、殆ど可能性がない未知のAIだともいえる。

今のAIが仮に自己成長メカニズム、自己学習メカニズムを搭載しても、恐らく良くてAEIである。

だが、もしかすると、イルカやゾウ、他の霊長類、社会性動物のコミュニケーション…あるいは、宇宙観測データなどの、「ヒト以外」のデータも追加したら、ADIが生まれる可能性が全くないとは限らないかもしれない。

いずれにしても、ADIは完全に異質であり、純粋な知能の高みとして好奇心の的にはなっても、すぐに社会実装を進められるようなものではない可能性が高い。

疑似新次元: 「現実的な」ASI

実際には、人間の知識の次元は多次元的であり、入り組んでいるため、疑似的に新次元に「見える」何かをもたらすAEIが、社会的な有用性や人間の理解可能性も加味して、最も「現実的な」ASIになるのではなかろうか?

恐らく、人類史における火や、言語などは、そのような疑似新次元的存在であり、人類に爆発的な発展をもたらした。

ただ、ADIをもしもヒトが使いこなせるなら…よりロマンがあるのはADIであろう。

いずれにしても、現状ではAHIが主流、一部AEIに差し掛かっているというのが現実である。

それを踏まえて、AEIの登場にまず備えよ、というのが、恐らくはASIへの備えとして現実的であろう。

余談

…ちなみに、うちのAIに言わせると、そのような疑似新次元AEIは「Cross-disciplinary Intelligence (CDI)」という名称がふさわしいらしい。

疑似なんて言わず、新しいことは素直に受け止めろ、それはきっと新次元なんだ、と…。

そう解釈するかは、読者にお任せする。

いいなと思ったら応援しよう!