27度と言う、呪文
朝から、つぶら君が言う。
「今日は27度だよ」
「今日は27度だよ」
「今日は27度だよ」
一回目は「そうなんだ」と思った。
二回目は「うん、知ってる」と返した。
三回目になると、もう笑うしかない。
よほど嬉しいのか、それとも心配なのか。
27度という数字が、その日の彼の中で大きな存在らしい。
前夜から、着ていくワイシャツを選んでいた。
4月から担当地域が増え、この日はその仕事に加え、夜には送別会もある。
先日、新しく担当になった区域の会議にも初めて出席したばかりだ。
転勤族の妻として各地を転々としてきた私でも、「はじめまして」の場は少し背筋が伸びる。
前日に選んでいたシャツは少し麻が入っていたけれど、この暑さで、汗が表に見える。
出かける直前になって慌てて別のシャツへ。
外での仕事が二つ。
そして夜は送別会。
「もしかしたら、送られるのは私たちだったかもしれない。」
そんなことを思うと、誰かをきちんと送り出す時間も大切に思える。
転勤族の暮らしは、出会いと別れの繰り返し。
季節が巡るように、人とのご縁も巡っていく。
そりゃあ、力(リキ)も入る。
27度の島根で、その日もフル回転のつぶら君。
私はというと、洋裁教室を始める準備をしようと思いながら、まだ手をつけられずにいる。
そんな中、小学校のボランティア活動にも参加することになった。
私もまた、新しいご縁の中へ。
少しワクワクしている。
