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タイ・カンボジア紛争で国境封鎖

タイ・カンボジア国境の3県で両軍の衝突があり、ベトナムでも大きく報じられています。ベトナムから見えているニュースやムードをnoteに共有します。単なる国境紛争ではなくカンボジアのギャングとタイ警察の戦いが裏にあったりと、状況はかなり複雑です。

タイのソムサック・テープスティン保健相によると、7月24日のタイ・カンボジア紛争で少なくとも11人の民間人と1人の兵士が死亡した。一方、カンボジア国内では今のところ死傷者は報告されていない。

前日の23日、タイ兵士が地雷の爆発で右足を失う事件が発生、タイはカンボジアとの外交関係を格下げし、駐カンボジア大使を召還し、カンボジア大使を国外追放すると発表したばかりでした。

(クメールタイムズが公開した動画にはカンボジアのロケットランチャーが発射される様子が映っています。)

カンボジアのクメール・タイムズが7月24日に公開したビデオには、両国の国境地帯での衝突が勃発した後、カンボジア軍のロケット発射装置が野原や道路からタイに向けて複数のロケット弾を発射する様子が映っている。
この動画でカンボジアが使用したランチャーの種類は不明です。カンボジア軍は、122mmロケット弾を発射するBM-21グラッド、PHL-81、PHL-90B、RM-70ロケットランチャーに加え、300mm弾を発射するPHL-03ランチャーや、それより古いモデルも運用しています。


ガーディアン紙の動画。逃げ惑う人々や避難の様子を伝えています。


タイのF-16戦闘機がカンボジアを爆撃したことを受け国境封鎖

両国は相手が先に発砲したと主張、タイ当局は国境付近の86の村から約4万人の民間人を避難させた。 … カンボジアからは砲弾やロケット弾が発射され、タイはF-16戦闘機1機がカンボジアの軍事目標を爆撃し破壊したと発表した。

タイからの反撃を受けてカンボジア側は市民にSNS発信しないように呼びかけ

カンボジア国防省は、ジャーナリストやあらゆるソーシャルメディア利用者に対し、明確な出所のない情報、画像、動画、特に軍事活動、塹壕、軍隊やあらゆる種類の兵器の動きを示す画像や情報を共有しないよう呼びかけた。。。。カンボジア国防省報道官のマリー・ソチェアタ中将彼女は、タイ側が午前7時4分にタモアントム寺院に登り、寺院の麓に有刺鉄線を埋めることで合意に違反し始めたと述べた。タイ側は2分間ドローンを発射し、午前8時46分にタイ侵攻軍はタモアントム寺院地域のカンボジア軍に発砲し、タクラベイ寺院、プヌムカット地域に到達し、攻撃の地理的範囲をモムテイ地域に拡大し、オッドルミエンチェイ州とプレアビヒア州の領土保全のために駐留しているワット・ケオ・シカ・キリスワラへの道路に戦闘機を使って2発の爆弾を投下した。


5月、6月にも紛争が

2025年5月29日
カンボジアの指導者は、タイとカンボジアの国境沿いの係争地域で隣国タイの部隊との短時間の衝突により兵士1人が死亡した翌日、国内に平静を呼びかけている。
フン・マネト首相は木曜日の書面声明で、国民は「未確認の情報が出回っていることでパニックになるべきではない」と述べ、カンボジア軍とタイ軍の衝突は望んでいないと国民を安心させた。

アルジャジーラ

タイ軍とカンボジア軍は木曜日、係争中の国境地帯数か所で銃撃戦を起こし、少なくとも1人が死亡、3人が負傷、東南アジアの隣国間の外交関係が急激に悪化した。

これを受けてフランスのマクロン大統領が調停に乗り出しましたが不発でした。

https://www.khmertimeskh.com/501709091/macron-offers-to-help-ease-tensions-between-former-protectorate-cambodia-and-thailand-in-border-row/

ほかにも6月にはタイのドローンがカンボジアに越境したてきたのを捕獲!とか小競り合いがあったようです。

軍事力・経済力ではタイが圧倒的に優位

両国の体力には大きな開きがあり、タイは人口で4倍、GDPは10倍も大きく、軍事力も以下のように圧倒的な差があります。

タイの軍事力(2023年/2024年版ミリタリーバランスなどによる)との比較

制空権がないカンボジアは実質的に戦争を出来る装備がないと言えます

しかし、カンボジアは多連装ロケットMLRSは大量に保有しています。ソ連からの伝統を受け継いたのでしょうが熱帯雨林気候で雨と木と泥だらけで道路インフラが貧弱な場所では重い戦車や精密な兵器よりも利用しやすくコスパもよいのではないでしょうか。

画像は借り物ですmm

タイとカンボジアは単に数字の差以上に国力に大きな差があります。カンボジアはポルポトの虐殺で一時は人口が600万人台まで激減し虐殺のターゲットが知識層や教育者であったため、1000万人以上に人口が急増した現在も極度の教育・専門家不足だからです。 カンボジアの平均年齢は26.5歳と非常に若く、その成長と同時に、教育や貧困といった多くの課題を抱えています。

複雑な国際関係

外国=アメリカな人が過半数とも言われる日本においては遠い話と思いますが、パワーバランスは当事国同士では決まりません。典型はウクライナ戦争でほぼ軍備がないに等しかったウクライナが戦っているのは欧米支援の代理戦争だからで、カンボジア・タイ紛争も拡大すれば同じ構図が浮上してしいます。

画像は借り物ですmm

これを一番恐れているのが周辺国、隣接するマレーシアやベトナムです。戦火が広がれば地続きなので難民が押し寄せてくることは目に見えているからでず。


両国が闘う本当の理由

国境紛争の発端は、カンボジアにおけるフランス植民地支配時代に作成された1907年の地図に遡ります。この地図はカンボジアが国境の一部について領有権を主張する根拠となりましたが、その曖昧さが解釈の相違を招き、タイはこれに異議を唱えました。

紛争を解決しようと1962年に国際司法裁判所などの国際機関が介入した後も、問題は完全には解決されませんでした。

しかし、これは表向きで本当の理由は政治家の都合で、カンボジア側が圧倒的な軍事的不利を承知で攻撃に踏み切る背景には、フン・セン前首相(ポルポトの軍司令官だった人)が首相退任後も上院議長として、事実上の一党独裁体制の維持のために「ナショナリズムを煽る中心」に居座っているからだそうです。 このフン・センという人が問題の中心で、ポルポトの部下であり、ポルポト崩壊後には政府に投降したポル・ポト派幹部を自宅に招いてシャンペンで乾杯、カンボジア国民に「過去は葬ろう」と呼びかけ数百万人の虐殺を「うやむや」にした張本人です。政府批判の集会があれば手榴弾を投げ込んだりと、ポルポト後もやりたい放題のようです。

この政治家を支えていると言われるのが、カンボジア人の性格「プライド」要素。これはベトナムでも同じなのですが、多くが若く知識は少なく貧乏で「プライドを害しやすい」脆弱な層をなしており、カンボジアではこれが政治の養分にもなっている悲しい現実があります。日本でも最近、躍進していますが極右政党のエネルギーの源泉はやり場のない自尊心をもつ大衆です。

しかし、この点ではベトナムは八方美人外交であり、市民に対して対外問題については基本的にはなだめる方向でSNSなどの外国批判などにも厳しい態度で対応するなど、カンボジアとは真逆の姿勢を貫いています。


タイ側もカンボジア関連で混乱

タイは2014年のクーデターで陸軍司令官が民衆を倒し2019年まで軍政の時期があり、その後も軍部が強い状態が続いています。
また現在のタイ政治にも問題がないわけではなくタクシン前首相はフン・センに会話を録音されているのか恫喝されています。

フン・セン前首相は26日、タイとの領土紛争が激化している国境沿いのプレアビヒア州で、避難民らを前に演説した。盟友関係にあったタイのタクシン元首相の一家に向けて「私を挑発すれば、タイの王室を侮辱した(タクシン氏の)発言を含め、秘密を暴露する」と警告した。主要紙クメール・タイムズが報じた。

つい最近はシナワット首相が「極悪人」フン・セン前首相との親密な電話会談が問題となり停職に。

タイのペートンタン・シナワット首相(38)は1日、カンボジアの強権的指導者だったフン・セン前首相とかわした電話会談の内容をめぐり職務を停止された。倫理調査の結果次第では解任される可能性もある。
ペートンタン氏が首相の座に就いたのはわずか10カ月前。ペートンタン氏の職務停止は、長年にわたって政治的混乱が続くタイに新たな不確実性をもたらした。
ペートンタン氏は、フン・セン氏に「必要なことがあれば私に言ってほしい」とも伝えていた。

この直後の8日、タイ警察がフン・セン前首相の子分であるカジノ・ギャングな親玉を逮捕。配下の詐欺拠点のコールセンターや誘拐労働にメスを入れました。

7月8日午前8時、タイ警察は、カンボジアのフン・セン前首相の側近、コック・アン容疑者を、ポイペトのコールセンター・ギャング組織で国際犯罪や資金洗浄に関与した疑いで、逮捕状を請求し、関連19カ所を捜索した。

この流れを見るとフン・セン側近のギャング摘発の報復と見えなくもなく、
タイの警察や軍隊とすれば政治家同士がマフィア対談的な事をしているのに命がけで戦わないといけない状況は大変でしょう。


紛争地域

地域的に問題となっているのは何世紀も前に建てられた歴史的な寺院などの地域で「聖域」として利用されているようです。
最近も旅行者が急に国境が閉じて観光できない!と一部で話題となっていました。

東南アジア全体の繁栄と安定のためにも、この際、国際社会がポルポト残党を成敗し、カンボジア市民が普通に幸福をを追求できるようになってほしいと願っています。


おまけ:フン・センの悪行(年代順)

人権侵害、権力乱用、非民主的な行為、汚職に関わる疑惑などを中心にまとめます。フン・セン氏は、1985年から2023年までの長期にわたりカンボジアの首相を務め、2023年からは上院議長として権力を維持しています。その間、国内外の多くの人権団体や国際機関から、以下の問題点が指摘されてきました。

1970年代:ポル・ポト政権下の関与と離脱

  • 1970年代半ば:ポル・ポト政権(民主カンプチア)幹部としての関与

    • フン・セン氏は、1975年から1979年のポル・ポト政権下で、東部地域の軍司令官を務めていました。この政権下では、約170万人とも推定される国民が虐殺や飢餓、過酷な労働によって命を落としました。彼自身は1977年にベトナムへ亡命し、ポル・ポト打倒のための勢力に加わりますが、その初期の政権への関与は常に批判の対象となっています。特に、後に首相となってから、ポル・ポト派の幹部を自邸に招き入れ、シャンパンで乾杯しながら「過去は葬ろう」と呼びかけたことで、虐殺の責任を「うやむや」にしたと非難されています。

1980年代~1990年代:権力掌握と民主化への逆行

  • 1985年1月:首相就任

    • ベトナムの支援を受けてカンボジア人民革命党(後のカンボジア人民党)を率いて首相に就任。以後、実質的に国内政治を掌握していきます。

  • 1993年:国連監視下の総選挙後における共同首相制の形骸化

    • 国連主導で民主的な総選挙が行われ、王党派のフンシンペック党が勝利しましたが、フン・セン氏はこれを認めず、自身が率いる人民党との共同首相制を強要しました。実質的にフン・セン氏が権力を掌握する構図を作り上げます。

  • 1997年7月:クーデターによる権力集中

    • 共同首相であったノロドム・ラナリット殿下率いるフンシンペック党に対し、武力によるクーデターを敢行。ラナリット殿下を国外に追放し、王党派の支持者や兵士を多数殺害したと報じられました。この事件により、フン・セン氏の独裁体制が確立されます。

2000年代~2010年代:人権侵害、汚職、言論弾圧の常態化

  • 2000年代:政治的敵対者の弾圧と殺害疑惑

    • 政権に批判的な活動家、ジャーナリスト、労働組合指導者などが不可解な死を遂げたり、投獄されたりする事件が相次ぎました。これは超法規的処刑政治的動機による逮捕として国際社会から強く非難されています。

  • 2000年代以降:大規模な汚職と資源の略奪

    • 政府高官や軍関係者が関与する**大規模な森林破壊(違法伐採)**や、貴重な鉱物資源の不正な採掘が横行し、その利益が政権幹部に流れていると指摘されました。国民の財産である天然資源が私物化されることで、貧困層へのしわ寄せが拡大しました。

  • 2000年代以降:土地収奪と住民強制排除

    • 政府や与党関係者、関連企業による広範囲な土地収奪が問題となりました。開発プロジェクトの名の下に、多くの農民や都市部の貧困層が強制的に住居や土地を追われ、適切な補償も行われないケースが多発しました。これに対する抗議活動は、しばしば暴力的に鎮圧されました。

  • 2000年代以降:司法の独立性の侵害

    • 司法機関がフン・セン政権の意向に沿って機能し、政治的な思惑に基づいた判決が下されることが常態化しました。これにより、公正な裁判を受ける権利が侵害され、政権に不利な人物が不当に裁かれるケースが多く見られました。

  • 2010年代半ば:主要野党に対する弾圧と解党

    • 2013年の総選挙で躍進した主要野党であるカンボジア救国党(CNRP)に対し、様々な嫌がらせや法的手段を用いた圧力をかけました。最終的に2017年には、国家転覆を企てたという根拠のない容疑でCNRPは解党され、党首のケム・ソカは逮捕・投獄されました。これにより、カンボジアは事実上の一党独裁体制となりました。

  • 2010年代後半:独立系メディアの閉鎖

    • 政府に批判的な報道を行っていた独立系英字紙『カンボジア・デイリー』が、多額の追徴課税を理由に2017年に閉鎖に追い込まれました。また、ラジオ局など他の独立系メディアも放送免許を取り消されるなど、言論の自由が極度に制限されました。

2020年代~現在:世代交代と裏での影響力維持

  • 2023年8月:長男フン・マネへの首相職譲渡と上院議長就任

    • 長期間にわたる首相職を自身の長男であるフン・マネ将軍に譲りました。これにより、王朝的な世襲による権力継承が批判されました。自身は上院議長に就任し、依然として政治の実権を握り続けていると見られています。

  • 2025年7月(最近の紛争関連)

    • ナショナリズムの扇動: 上院議長として、今回のタイとの国境紛争においても、カンボジア国民のナショナリズムを煽る言動を繰り返していると指摘されています。これは、政権の求心力を維持し、国内の不満を外部に向けるための常套手段と見られています。

    • タイ政治への干渉と恫喝: タイのタクシン元首相に対し、過去の秘密(タイ王室を侮辱したとされる発言)を暴露すると恫喝したと報じられています。これは他国の内政への露骨な干渉であり、地域外交の不安定化要因となっています。

    • カジノ・ギャングとの関連疑惑: 今回の紛争の裏で、フン・セン氏の側近とされるカジノ・ギャングの存在が指摘され、最近タイ警察がその親玉を逮捕する事態に発展しました。これは、フン・セン氏周辺が国際的な犯罪組織と繋がっている疑惑を示唆しており、今回の国境紛争に複雑な影を落としています。


参考:

タイの経済的躍進の解説動画
https://youtu.be/ignu9_gadzs?si=9e4KRwtopVe9cTMg

https://www.khmertimeskh.com/501694261/thai-drone-illegally-enters-cambodian-airspace-intercepted-by-cambodian-troops/


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